迷子の意図的な転落
とーとろじー
第1話
美鈴に出会ったのは中二の時だったと思う。私たちは友達の友達という関係で知り合いになった。クラスが離れていて中二の間はあまり関わりがなく、時々偶然会ったら挨拶をする程度の仲だった。私たちが仲良くなったのは中三になってからだった。私はD組で美鈴はB組だったが、D組の私の友達の日向が美鈴と仲が良く、日向に会いによくD組に来ていた。美鈴はお昼はたいていD組に来て私たちと食べていた。美鈴はB組の子たちとはあまり仲が良くなかったらしい。
美鈴はよく愚痴を言う子だった。私は人の話を聞く専門の人で、友達の愚痴などたくさん聞いていたが、あまり楽しくないものが多かった。だが、美鈴の話は聞いていても平気だった。美鈴の話はどこか他の子のものとは違っていた。美鈴は、どことなく大人びているというか、物事をより深く考えているような、そんな子だった。美鈴は家庭の事情や人間関係など、自分の悩みなどについても話してくれた。私は美鈴が私のことを信頼してくれていて、すべてではないにしろ自分の心の中のことをそのまま話してくれているように感じた。
美鈴はリスカをしていた。美鈴はそれを時々私に見せた。私は何も言わずに、不器用にそうっと傷を撫でた。どう対応するのが正解だったのかわからない。日向は美鈴にリスカをやめてほしいと言っているらしかったが、美鈴のリスカは止まらなかった。家庭環境と学校での人間関係に悩んでいるらしく、それによるストレスが原因ではないかと思われた。美鈴は小学校の時、いじめにあっていたらしかった。中学でも、同じクラスの人たちとの関係はあまりよくないようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます