第11話 過ち

「お姉さん、酔ってるけど、一人で平気かい?」

「はい、大丈夫です。ご心配なさらないで下さい」



フラつく、姉・陽南の姿。



「あれ…?…あの人…」



偶然、近くを通りかかった尋渡さんの弟・友矢。




「陽南さん」



俺は迷わず声をかけた。




「…誰…?あー…えっとー…誰だっけー?あっ!そう、そう、そう!尋渡のジュニアだ」


「いや…ジュニアって…ちげーだろ?それ!子供だから」


「…別に良いでしょう?」


「…相当酔ってますけど、大丈夫ですか?」



「……………」



「んなわけ…ねーか…」



「仕事の付き合いで飲んでー…カラオケ行ってー…ねえ、ところでさ、ジュニアは何してんの?ナンパ?まさかねーー。ジュニアはモテモテだから、ナンパしなくても女の子、たーーくさん寄ってくるからねーー」




「陽南さん、連絡は?尋兄に連絡したの?」


「尋渡は、出張だよ」


「えっ!?こんな時に出張?じゃあ、妹は?えーと…」

「藍李…」

「あ、そう、そう。藍李ちゃんは?」

「あの子は、友達の所に泊まるって」



「えっ?じゃあ、家族は?両親とか?同居してるんだし、誰かに連絡…」


「こんな姿、見せられるわけないでしょう?馬鹿か?ジュニアは!」


「いや…でも……。あっ!じゃあタクシー拾いましょう?停めま…」




グイッと引き寄せ、キスされた。




「…ちょ…」

「…たまにはハネを伸ばしたいの…」

「ハネ伸ばすって…キスして言う言葉(セリフ)かよ!?」


「別に減らないでしょう?」

「いや…減るとか減らないとかの問題よりも、心配…」

「ジュニアん家に行こう!」

「えっ!?俺の所!?」


「何?都合悪いの!?あっ!まさか…!高校生で実は同棲中の彼女いるとか!?」


「いねーよ!」


「じゃあ良いでしょう?一人暮らししてんだから!ほらっ!良いから連れてけっ!ジュニア!」


「いや、だから!ジュニアじゃなくて友矢だから!」

「友くーーん♪」



「………………」



そして、彼女はタクシーを呼び、俺も乗せるとタクシーは、俺のマンションに向かった。




「………………」



部屋に戻ると、俺は、陽南さんをベッドにおろす。





その直後――――




グイッと抱き寄せられ、キスをされた。




「ちょ、ちょっと!陽南さんっ!」



2度目のキスに驚く中、離れようと抵抗する俺を陽南さんはしっかり引き止めるように抱きつくような仕草をする。



「陽南さんっ!離し…」

「別に初めてじゃないんでしょう?」

「そういう問題じゃねーだろ!?尋兄いんだろ!?」

「…いるよ…」

「…だったら…!こういうのはどうかと思うけど!?」



「………………」




陽南さんは、俺を離すと、荷物を手に取った。




「…陽南さん?」

「…帰るね」

「えっ?どうやって帰んの?泊まれば?」

「頭を冷やすつもりで歩いてでも帰る」

「何かあったら遅いし辞めた方が良いと思うけど?」

「大丈夫。あなたといると過ち犯しそうだから」




帰り始める陽南さん。




グイッと引き止める俺。


そして、彼女にキスをした。




「…友矢…君…」



再びキスをすると、そのまま、ベッドに倒し、彼女の両手を押さえ股がった。




「過ち犯しそうって?つーか…過ち犯すってさ…あんたの中には俺がいんだろ?」


「…えっ…?」


「俺が気付いてないとでも思った?」




そう言うと俺は彼女にキスをし、そのまま深いキスを続け、露わにした肌に更に下へ下へと唇を這わす。



「…ま、待って…友…」


「今更、何?ここまで来て後悔してんの?さっきの勢いは?」


「…それは…」


「結婚してる身分で、弟の俺に先に手出したのあんたじゃん!酔った勢いの衝動でキスして…それって、あんたが俺を求めてんだろう?」



「…そんなもりは……」




「じゃあ…何?」


「………………」



「正直、あんたを兄貴から紹介されて、スッゲーイイ女じゃん!兄貴にはもったいねーって思ったよ!親しそうに話してっけど…紹介されたあんたは俺を見た瞬間に変わった」



「…………」



「別に自分に自信あるわけじゃねーけど、あんたの事は引っ掛かってた。で?どうすんの?」


「…えっ?…どうするって…」


「今ならまだ間に合うし、ブレーキかける事は出来るけど?」


「そんなの……」


「…今、迷ってるくらいなら最初から酔った勢いでキスしてくんじゃねーよ!」


「…それは…」


「…後悔するしないは、あんたの気持ちの問題だろう?だけど…あんたが俺に想いがあるなら後悔というよりも…兄貴に対する申し訳なさだろう!?」



「………………」




俺は彼女を抱いた。













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