第2話 LIFE〜変わる環境〜

「えっ!?同居!?」

「そう。3世帯でね」

「3世帯っ!?」



お姉ちゃんと母親から突然に言われた、まさかの同居生活。


羽那山家と耶吹家。

お姉ちゃんと尋渡さん。


この間、お姉ちゃん達からそういう話が出ていたのだろう。


私は知らない情報だった。




「私、自由きかなくない?」

「大丈夫よ」


「お姉ちゃんは、尋渡さんと結婚するわけじゃん!それはそれで良いよ!だけど私が尋渡さんの両親となんて」


「そんな心配する必要もないし」



「干渉されるみたいで嫌だよ!妹さんは?なんて言われたりするんでしょう?家の両親の立場とか、お姉ちゃんに恥かかせないように良い子振るなんて私は絶対に嫌っ!」


「…藍李…」


「一緒に住むなら、私、出て行く!」




私は家を飛び出す。




「藍李っ!」





私は一人街に出た。







ポツ……




ポツ……




雨が降り出す。




その途中――――



「彼女、一人?こんなに濡れちゃって風邪引いちゃうよ〜」


「放っておいて下さい!」




私は走り去った。







ドンッ ドサッ

誰かとぶつかると同時に地面に転ぶ。




「…っと…すみません…大丈夫ですか?」

「…すみません…」

「…あれ?君は…陽南の……」

「えっ…?」



ドキッ


顔をあげると、そこには、お姉ちゃんの旦那さんになる尋渡さんの姿があった。



《…尋渡さん…》



「……………」



私は走り去ろうとしたが、グイッと引き止められた。




「何処行くの?こんなに濡れるまで。風邪引くよ」



「………………」



「藍李ちゃん?」

「…ごめん…なさい…」

「えっ?」

「私…」



下にうつ向く私。


涙がこぼれる。




「……………」



「今日、お姉ちゃん達から、3世帯同居の話を聞いて…」



「うん」



「お互いの両親は良いかもしれないけど…私は…お姉ちゃんの妹だけで、尋渡さんの義理の妹なだけ。私は…居候みたいじゃん…未成年で高校生なんだよ…」



「…藍李ちゃん…」



掴まれた手をゆっくりと離す尋渡さん。


私は背を向ける。



「今までの自分に居られなくなるって…良い子ぶんの合わないし、ありのままの自分でいられない。お姉ちゃんみたいに良い子じゃないし比べられたりして、私のせいで羽那山家に恥かかせたくないの!」




私は振り返る。



スッと髪に触れる尋渡さん。


そしてスーツの上着を羽織らせた。



ドキッ




「みんな不安なんだよ。結婚は両家と親族。沢山の人間関係が関わってくるから。羽那山家は耶吹家は…って色々な意見があって…家族内の問題は色々と出てくるものだから」



「………………」



「でも…結局は二人の問題だからって…それが現実だから」



「…尋渡さん…」



「周囲が何て言おうと自分の家族はいるし、家族との信頼関係が第一だから。藍李ちゃんは、そのままで良いと思う。何も悩まなくても良いんじゃないかな?」




「…………………」




「取り敢えず、俺の所においで。体温めなきゃ風邪引く。羽那山家には俺から連絡しておくから。心配してるだろうし。家、飛び出して来たんだろう?」



私はコクリと頷く。




「本当、学生の時って、何も考えず好きなように勢いで突っ走るから自分の思うがまま。なるようにしかなんねーって冒険して壁にぶち当たんの!幾つになっても変わんねーんだろうな」




「大人になったら…少しは落ち着くものじゃないの?」


「結婚して子供出来たら落ち着くんじゃ?それまでは変わらない気するけど…」


「尋渡さん…ずっと変わらなそう」

「えっ!?そ、そう?」


「うん。子供と一緒に騒いでそう!お姉ちゃん苦労しそう!」



「えーーっ!陽南に苦労はさせたくない!」



「クスクス…だからこそ、そんな親子を…お姉ちゃんは呆れつつも、微笑ましく見ているんだろうな〜…きっと…」


「藍李ちゃん…」




「幸せな家庭が…目に浮かぶよ。幸せになってね。尋渡お義兄ちゃん」



「えっ…?」

「だって…義理の兄でしょう?」

「ま、まあ…」

「やだ!もしかして照れてる?」

「ち、違うし!」




私達は騒ぎながら、私は尋渡さんのマンションに行く事にした。



私達、3世帯の生活が始まろうとしていた。









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