第7話

 職場は監督下に職員がいることで一種の満足を得ているのかと思った。私はその注意を聞き入れず食堂でパソコン操作をしていると、同僚がやってきて、

「係長の機嫌が悪い」

と教えてくれた。私はその同僚を信頼してはいなかった。係長の意見と言って自分の意見を言いに来たのだと思った。善人の顔して平和の使者的役割を装い、本当は毒針を指しに来たと思った。私おそらく大抵の職員のものであろう意見を無視していた。私が帰宅のために職場の机に戻ると、係長と自称善人なその同僚が部署の隅で何か話をしていた。係長がこちらを見ていた。私は心の中で馬鹿な人間だと思って彼らを笑った。彼らの言い分を憶測すると私の働き方が不満なようだった。私は引き出しからロボットを取り出して、異常が無いことを確かめた。ロボットの上面と横にはカメラがついていた。その映像をパソコン画面で確かめると係長と善人同僚が二人で引き出しを開け眺めている姿が写っていた。私は腹立たしく思ったが、相手にするのも疲れるので、そのまま帰宅した。電車で帰りながら、映像の音声データを確認した。

「最近この引き出しをよく見てますね」

「これは何だ」

「いつもその箱の中に書類を読み込ませているようです」

「開けられるか」

「無理ですね」

「写真を撮って調べてみよう」

善人男が写真を撮った。私は恐ろしい思いであった。私の机を勝手に開けることに周りの職員は誰も止めるものがいなかった。そして録音された告げ口や文句の数々

。彼らは中を開けてみて私の秘密を探っているつもりであろうが、見られているのは自分たちの汚い心であることには気づいていないだろう。映像には別に三人が写っていた。

 

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