就活を諦めた
自己紹介にもある通り、アカハラにあっており、自分の時間などという暇はなかった。
「実験が終わっていないのにゆっくり昼ご飯食べるじかんがあると思ってるの?学生生協に買いに行くなら、戻ってくる移動時間に食べるとか頭使えば?」と言われ、研究者になるということは、人間らしい生活を奪われるということなのか、と考えたあの瞬間と先輩の顔は鮮明に覚えている。これが後のトラウマの原因となっていることは間違いない。
それくらい時間を搾取されているのだから、ゆっくり企業研究や業界研究する余裕もないし、そのための体力も残されてはいなかった。とりあえずこの地獄から抜け出すことができるなら、就職浪人でも仕方ないという覚悟までしていた。
7月までは特に何も考えずに過ごしていられたが、周りが就活を始めたときに、自分が置かれている環境がおかしいのだと気がつかず、ただ実験に追われて過ごした。受験勉強もできるはずもなく、教員採用試験もあっさり不合格。そんなもんよね、と落ち込むこともなく、流石に修士の学位を持って無職では、学費を払ってくれた親に申し訳ないので、私立高校の試験を受けることにした。面接は自信がないが、試験だけなら通る自信があった。この訳の分からない自信が、この後の人生を狂わせるとは、この時の自分に知る由もない。
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