ゴー トゥー ヘル! ~神に叫喚地獄に行ってくれと言われた俺は、取り敢えず火星移住用コロニーで頑張ります!~
さんご
プロローグ
第1話 目覚め
俺が目を覚ますと、そこは真っ白な世界だった。
最初は目がおかしくなったのかと思い、両手で目を擦ったんだけど、そのお陰で手がちゃんと見えていることから、目の異常などではないということが分かった。
だけど、なんだこれ?
一体どうなってんだ?
寝ていた身体を起こして、周りをキョロキョロと見回し、床とか壁の境もなく真っ白な空間に困惑しながら、目につく所に人や物などが存在しないのを確認して、次に自分の身体を見る。
裸だ。何も着ていない素っ裸だ。
身体を触ってみるが、特に痛いところなどもなく、ちゃんと触った感覚もある。
何も着ていないが、特に寒いわけでも暑いというわけでもなく、快適な環境っぽい。
俺はいきなり訳の分からない状況に放り込まれて、ちょっと頭が混乱してきた。
何故ここにいるのかは分からないが、俺は自分でここに来た覚えはない、ハズだ。
だったら、誰かに連れてこられたというのが妥当な考えだとは思うが、そんな相手に心当たりなどは一切ない。
ここが何処だかは分からないが、何か理由があってここにいるんだろうから、そちらの方からも考えてみる。
まず、俺が覚えている最新の記憶は……何だったっけ?
ああ、そうそう。
たしか残業で帰るのが遅くなって、コンビニによって不人気の残り物の弁当を買って、自宅に帰る途中……だったよな?
その時に、何かが起きた?
いや、分かんない。
全然、覚えがない。
全く、思い出せない。
何なの?! 一体?!
俺を裸に剥いて一体何をする気だ?!
ナニをする気か?!
こんな冴えないおっさんな俺が好みなのか?!
やめてっ! お家に帰してっ! 助けてっ、おがーざーん゛!
「アハハハ。そんな事はしませんよ。絶対に。
安心してください。」
うおっ?!
急に声がしたと思ったら、気付かないうちに人が傍に居た?!
誰だ?! っていうかどっから現れた?!
あっ?! こっち見ないで! ちょっと横向いてて!
俺は慌てて大事なところを両手で隠して後ろを向いたが、みすぼらしいお尻をガン見されるのも心に来るものが有るので、向きを細かく変えて斜め後ろからの相対を選択した。
そして、現在の状況を引き起こしたであろう人物に警戒しながらも、詳しい事情を問いただすべく振り向く格好で声をかけた。
すごく下手から。だって怖いじゃん?!
「あ、あの~。ここは何処でしょうか?
というか、何故自分はここにいるんでしょう?
そして、なんで全裸なんですか?
詳しい事情を知っているのなら是非とも教えてください。
あと、自分の服が残っているなら返して貰えませんか? 」
俺は質問しながらも、相手の情報を少しでも得ようと詳しく観察した。
突如出現した人物は多分男性、で? 良いんだよな?
顔は素晴らしく整っていて、そこらのイケメン芸能人じゃあ太刀打ちできない感じだ。
だが、そのせいで女性っぽくも見える。
声も透き通った綺麗な感じで女性でもおかしくはない。
まあ、綺麗に整った黒髪が短髪だったことから、何とか男性だと判断できたんだけど。
これで金髪ロングだったら、女神様と崇めていてもおかしくないくらいだ。
えっ? 女神様? っていうか神様?!
俺はここまできて漸く、自分が遭遇している状況が小説やアニメなんかで頻繁に使い回されている、死んだ後に天国で神様と会うっていう、テンプレ展開とそっくりなことに気がついた。
あぁ~。なんか自分でも納得がいった感じで、頭の整理がいきなりついたな。
そうか。俺は死んだのか。
なんで死んだかは分からないが、天国っぽいここに来ているってことは誰かを助けたとか、神様のミスで死ななくても良かったのに死んでしまったとかなんだろうな。
まあ、いわゆるテンプレだよな。
そうか~。俺ってば死んじゃったか~。
まだまだ若くて、って言っても三十代に入ったばかりの独身だが、一応結婚も視野に入れたお付き合いを始めたばっかりの女性もいたんだけどな~。
まあまだアレをするような関係までには至っていなくて、清い交際って感じだったから、相手にもそう深刻なダメージは及ばないだろうって事だけは、不幸中の幸いってなもんなんだろう。
でもそうか~、俺ってば天国にいけるのか~。
うん? 天国じゃなくて異世界転生とか転移とかの方かな?
だとしても、それでも良いかな。
いや、チートな能力とかが貰えるのならそっちの方が良いまで有るぞ。
一体どっちなんだ? なんか急にワクワクして来たな!
期待を込めて神様らしい人に熱い視線を送ると、彼はやれやれといった感じで話し始めた。
「そうですね。
貴方の予想通り、ここは貴方たちに天国と呼ばれている領域だと考えてもらって間違いありません。
そして、貴方の想像通りで、貴方は死亡しました。
ですが、貴方の死は確定した行程通りのもので、我々のミスや事故ではありません。
人の運命は全て、あらかじめ決められているんですよ。
ここまでは良いですか? 」
「は、はい。なんか失礼なことを考えてしまってすみませんでした。
というか、やっぱりこちらの考えていることが分かるんですね。」
「はい。我々はそう形付けられていますから。
貴方の想像通り、私は貴方たちの言うところの神という存在八百万のうちのひとつです。
ですが、別段敬って貰う必要などはありません。
これは、我々に課せられた仕事を、ただ淡々と行っているに過ぎないからです。
まあ有り体に言ってしまえば、掃除をしても塵に感謝などを求めてはいないでしょう? 」
「は、はぁ。」
なんか凄くぶっちゃけた話をしだしたぞ! 大丈夫か?!
っていうか、この思考も全部読まれているんだよな?
だったら、取り繕って喋っても何も意味はないのか。
何か、こっちはもう喋らなくても良いんじゃないか?
「ええ。それで構いませんよ。
こちらは続けて喋りますが、貴方はこちらの思考が読めませんので気にしなくて結構ですよ。
貴方は素直に色々考えて貰って構いません。
別に怒りませんからね。
理由はもう分かるでしょう? 」
俺たちのような塵に対して怒っても仕方がないからですよね?
「はい、その通りです。
では、お話を続けましょうか。」
ニッコリと微笑んだ神様の笑顔は、とっても眩しかった。
――――――――――
なんか操作を誤って下書きに戻してしまっていたので、
二話目を六時間後に連投します。
読んで頂いた方、困惑させていたら済みませんでした。
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