超超超のんびりな駅。基本かわいい生き物(稀に狂暴)と同僚の相手だけ。なお俺は(仮)駅員のままだが……。

くすのきさくら

第1話 (仮)駅員の日常

 とわか駅に俺が紛れ込んで1日目。何がどうなってこの不思議な世界。場所へとやって来たのかは結局わからないままだが。とりあえず俺はこの駅で(仮)駅員と昨日なった。

 まあほぼ強制的にだった気もするが――行く当てもない俺にはちょうど良かった。いろいろまだ確認しないといけないことはあるが。でも同じ人もいる『とりあえず頑張ろう。いつも通り何とかなる気がするし』などと意気込み。制服へと着替えを終えて、俺はこれからの仕事場。駅の方へと寝床の寝台車から向かうと。数十分後の事だった。


「規則正しい生活が出来ない奴は(仮)駅員のままだー!もっとのんびり生きろ!」


 駅舎内で駅長を待っていたら――駅長が来るなり突然キレたのだった。ちなみにこのとわか駅の駅長は俺より小さい。犬だから。正確には――柴犬だな。赤茶色の毛の柴犬が駅長である。あと、しゃべっているのは触れないでくれ。俺も説明が難しい。まだこの世界に来て1日目だからな。でもまあ簡単にまとめるなら――『ここ異世界だから』である。

 って、とりあえず俺は何故かいきなり駅長(柴犬)に怒られているのだが――何故?時間も守ったし。ちゃんと着替えも出来ているはずなのだが――。


「いや、えっと、昨日言われた時間の1時間前には駅に居ましたけど――あと制服の着方間違ってました?」

「お前は行動が早すぎるんだ!今日はその辺で寝転がっておれ!今日は何も教えんからな!出ていけ!」

「……えぇー」


 俺が初日から駅長(柴犬)に怒られた理由は、言われていた時間より1時間早く起きて準備して駅舎で待っていたかららしい。って、そんなことで怒られる俺――理不尽じゃね?遅刻より良いと思うのだが。って、いきなりこんなところに来たから寝れなかったというのもあるのだが。でも俺はここ数年の生活で睡眠時間など数時間あれば余裕というからだなので、今も元気なんだが――眠気はない。


「早く出ていけー。のんびりしておれ!」


さてさてどうしたものか。と思っていると、駅舎内にある部屋のドアが開いた。


「薫さん。おはようございます」

「あっ、カピバラさんおはようございます」


 ドアの方を見るとそこそこ大きな茶色の身体が。多分90センチくらいはあるか。というカピバラが俺と同じような制服を着て登場した。


「今日も駅長さんが暴走してますね。ってことで、周りの案内しましょうか?追い出されてましたよね?」

「それは――助かるかな」

「じゃあ行きましょう。ってその前に、朝ごはん外で食べましょうか。薫さんは?」

「あっ、まだ」

「なぬ!?朝ご飯も食べずに来たのか若造!とっとと食ってとっとと寝転がっておれ!」


 また駅長(柴犬)に怒られる俺だった。朝から何回も怒られる俺何故ー。

 ちなみに俺ここ数年空いた時間で何か食べればいいという生活のため。今のところ空腹とかはない。でも食べようと思えば普通に食べれるだろう。


「薫さんここだとうるさいですから。椎葉しいはちゃんも呼んで朝ご飯にしましょう。多分椎葉ちゃんももう起きてますから」

「俺が起きた時はまだ静かだったが――まああれからしばらく時間経ってるしな」

「ちなみに、薫さん。昨日の夜は椎葉ちゃんと何かありましたか?」


 カピバラがニヤニヤしている。いや、表情は変わってないはずなのだが――そのように昨日から見えている俺だった。ちなみにこのカピバラさん。女の子らしい。年は秘密。でも俺より年上の感じがしている。って、何を期待しているのか。このカピバラさん。


「何かあるわけないでしょ」

「えー、椎葉ちゃん仲良くなりたそうだったけどー」

「とりあえず駅長が睨んでますから外に行きましょう」

「ですねー、じゃ、駅長さんよろしくです」

「とっとと連れてけ」


 ツンツンしている駅長(柴犬)だがこれが通常運転らしい。昨日説明を周りの方々から受けた。あっ、あと、俺が駅長だけ。さんとか付けてないのは理由がある。


 この駅長……問題犬で、さん。とか付ける必要がないからである。まあそれはそのうちわかるだろう。


 その後はカピバラさんと、遅れて起きてきたペンギンさん。こちらは制服を着崩してきている。ちょっとやんちゃそうな感じだが――駅長よりしっかりしている。頼れる兄貴みたいな感じだ。こちらも身体は大きく100センチくらい。カピバラさんより大きい。えっと、キングペンギンだったかな?ちなみにオス。男である。とともに、寝台車。まあ説明は簡単にしておくが。今の俺の寝泊まりする場所。何故か1両だけポツンとある寝台車で寝泊まりをすることになっているのだが――まあその詳細はまた今度。ちょうどもう1人。呼びに行こうとしていた人が出てきたのでね。


「あっ、薫さんにペンギンさん。カピバラさん早いですね」


 俺達1人と2匹が寝台車の方へと向かっていると、寝台車から同じ制服を着た女性。汐ノ宮椎葉さんが出てきた。とりあえずこれでこの駅舎に住んでいる人と動物は全員である。

 それから俺は近寄って来た汐ノ宮さんに何があったか簡単に説明をした。


「いつも通りですね。じゃあ朝ご飯にして、そのあとはみんなで薫さんに案内しましょうか」


 説明終了後。汐ノ宮さんはちょっと呆れていたというか。問題犬と命名したのは汐ノ宮さんらしく。って、昨日も大変そうだったからな。まあ俺の説明はすんなり受け入れられたというか。

(仮)駅員となって1日目。駅長(柴犬)に初っ端からいろいろ怒られ。その後は駅長(柴犬)意外と朝ご飯のち。みんなに駅周辺を案内してもらいましたとさ。

 なお、この駅の周りは基本草原。どこまで言っても大自然だった。


 そうそう駅長(柴犬)は駅舎にずっといたとか。みんな曰く。いつも1人でなんかしているから来ないときはあれでいいとのことだった。

 ちなみに午後は運動をした。理由問題犬が問題を起こしたから。簡単に言うと、汐ノ宮さんからヘルプがあり。カピバラさんとペンギンさんとともに駅長(柴犬)を草原の中追い回したからである。

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