童貞修道士、異世界転移してきたグラビアアイドルの同居人になる
烏丸英
起きたら裸の女の子がベッドにいた件について
「うん、うぅん……?」
ある朝のこと、ザルードという街で修道士として教会に仕えているライオは、起床の際に違和感を感じていた。
上手く言えないのだが、体の前面部が妙に温かいというか、不思議な柔らかさを感じるというか……とにかく、妙な感覚を覚えている。
寝ぼけまなこを擦りながら、ぼやけた思考のまま、腕を動かすライオ。
二度、三度とベッドを叩いた後、また少し腕を動かした彼は、何か大きくて柔らかいものを掴んだ感触に全身を硬直させる。
(……なんだ、これ?)
そこそこのサイズを誇るそれは、まるで水風船のような丸みと柔らかさを帯びているが……それとは違って確かな温もりがある。
結び目のような硬さを感じもするが、はてさてこれは何なのだろうか? と考えながら、ライオがそれを掴む手に軽く力を込めた時だった。
「あっ、ん……っ!!」
「!?!?!?」
すぐ近くから聞こえた甘い声に驚いたライオが一気に意識を覚醒させていく。
大慌てでベッドから飛び出し、今まで自分が寝ていたその場所を確認した彼が目にしたのは、ぐったりと横になっている見ず知らずの女性の姿だった。
「え? あ? ええ……っ!? だっ、誰っ!?」
「んんっ……! ふあぁぁ……なんだよぉ、もぉ……うるさい、なあ……!!」
「どうわあぁっ!?」
ライオの声に反応したその女性が眠そうな声で文句を言うと共に起き上がり、大きく伸びをする。
その瞬間、彼女の体を覆っていた毛布が剥がれ、その下に隠されていた一糸纏わぬ裸体を目にしたライオは、パニック状態に陥ると共に悲鳴を上げた。
きめ細やかで傷もシミも見当たらない白い肌。
大きく丸く、呼吸に合わせて微かに震えるたわわな胸。
細く引き締まり、無駄な贅肉を一切蓄えていない引き締まったウエスト。
折りたたまれている状態でも十分に長さがわかる脚に、白桃のような丸い尻。
美しい女体とはなんであるか? という問題に対する模範解答一覧のような彼女の裸体を目にしたライオは、羞恥と罪悪感に顔を真っ赤に染める。
このままではいけないと、神に仕える者として色欲を否定しなければならない彼は、大慌てで顔を伏せると共に謎の女性に対して大声で叫びかけた。
「かっ、体っ! 隠してっ!! 君、裸っ!!」
「およ? およよよよ……? ここって……?」
ライオの必死の叫びに女性も目を覚ましたのか、周囲の状況を確認するかのような言葉を発している。
一体全体、どうしてこんな事態になっているのか? 彼女は何者なのか?
その辺のことを確認しようと、顔を伏せたまま女性へと改めて声をかけようとしたライオであったが……次の瞬間、顔をぐいっと持ち上げられると共に、そこを覆っていた手を強引に引き剥がされてしまった。
「なっ!? ななな、何を……っ!?」
「この顔、この目……!! 日本人じゃあないよね……!?」
「ちょっ!? ち、近いっ! しかも君、まだ裸――っ!!」
両手で顔を掴んだまま、覗き込むようにしてこちらを見つめてくる女性との距離の近さにただでさえ赤くなっている顔を更に紅潮させるライオ。
この距離で見つめ合う形になって気が付いたのだが、彼女は抜群にかわいい顔立ちをしており、そこもまたライオのことを緊張させる大きな要因になっている。
だがしかし、今、彼に危機感を抱かせているのはうら若き全裸の女性とほぼ密着状態になっているということで、自身の胸板に押し当てられるたわわな二つの果実の感触をはっきりと感じ取っているライオにとっては、何もかもが理解不能で受け入れられないことであった。
「ふむ、ふむ……そうか、やっぱり私――!」
(顔近っ! か、かわいいっ! なんだか柔らかいものが当たってる!? でっかっ!? 柔らかっ!! 女の子の手も柔らかっ!! やっぱり顔近いっ!!)
初めての女性との触れ合いに情報の整理が追い付かず、パニック状態に陥っているライオ。
そんな彼の前で何事かをぶつぶつと呟いていた女性は不意に満面の笑みを浮かべると、両手を大きく上げて万歳のポーズを取りながら喜びを表すかのように飛び跳ね、そして――
「やったーっ! 私、本当に異世界転移できたんだ~っ!!」
「へぶぅうっ!?」
――その見事なたわわで、ライオの顎に綺麗なアッパーカットを決めて見せたのであった。
※教訓・女性の胸は武器
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