第26話 ギルドに行こう!(おいしい話には注意)
近況ノートに宣伝を書いた後、ひなは次に何をしていいのかを考えていました。
「そういえば、みちのさんは『ギルドに行くように』って言っていたけど、モコりん、ギルドって何?」
「ギルドかい? やっとやる気になったみたいだね。じゃあ行ってみようか。見た方が早いよ」
モコりんはそう言うと、はやく持てと言う感じで手を広げた。
◇
「ここがギルドさ、さあ入るよ」
モコりんは抱きかかえられているだけなのに、偉そうに言いました。ひなはドキドキしながら、ギルドのドアを開けました。
そこは……、とてもにぎやかな、混とんとした場所でした。ひたすら執筆をしている者。食事しながら感想を言い合っているグループ。酒を飲みながら読まれないとクダをまいている者たち。いろんな小説家と読者が入り混じっている場所でした。
「やあ、新人さんかい? 僕らのグループに入らないかい? うちは人数もいるしお互い星を付け合えばすぐにトップランカーになれるよ」
なれなれしく、ひなを勧誘する男が現れました。
「どういうことですか?」
ひなが聞くと、男は親切に教えてくれました。
「かくよむ国には、読まれない地獄があるのは知っているかい?」
「はい」
「だからさ、グループを組んで、仲間同士読み合うのさ。別に読まなくてもいいんだ。仲間が投稿したら星を3つ無条件で付ける。それだけがルール。そうすれば、おすすめに載るんだ。そうやってランキングを駆け上り、上位を目指す。それが僕たちのグループさ。素敵でしょう?」
ひなは少し考えてから、聞いてみました。
「星を付ける前に読まないんですか?」
「読んでもいいけど、多いでしょ会員。趣味に合わないのもあるし、ほとんど読んでないんじゃない?」
「じゃあ、出て来た食品は?」
「捨てるよ。だっていっぱいあるからさ」
ひなは悲しくなりました。せっかく作ったりんご飴が、この人たちといると捨てられてしまうのですから。
「わたしは私の作品を読んでもらいたい。捨てずに食べてもらいたいんです。あなたたちのグループには入りません」
そう言うと、男は「けっ」と舌打ちして「読まれない地獄に落ちるんだな」と言って去っていきました。
「ひな、よくやったよ。もし彼らのグループに入るならお別れするところだったよ」
モコりんはそう言ってひなをほめました。
「ズルはよくない。彼らはやがて運営から排除されるよ」
モコりんはそう言うと、通報のボタンを押しました。
やがて彼らはかくよむ国から追放され、新興国の片隅、スラム街に住むことになったのです。
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