第21話 親友はSっ気ありの朴念仁です
イオの説明によると……
人間誰しも魔力を持ち、完全なる無能力の方が珍しい。
ただ、『実際魔法として体現出来るかは別になる』と言う話で、殆どの人が常時魔力を拡散させて生きている。
お互いの魔力は干渉しない……
「だけど、お前は違うんだよ、ミウ‼」
少年は興奮しきりだが、少女はどんどん冷静になる。
どうやらミウは、他人の魔力を保存出来る体質らしい。
多分今までだって受け取った。
古い記憶を探れば、この世界での両親は父は水、母は風の魔力を持っていたと聞いている。
まあ、微々たるものだったのだろうが。
サチの鑑定魔力、オルトの土の魔力……
普通の魔力量では意味がない。
しかし、魔力量特大のイオならば?
「指を立てて、ライターの火をイメージして?」と言われやってみたら、いきなりそこに炎が生まれた。
魔力なしのミウが人生初魔法に大成功。
「へへ。さっきオレがたっぷり注いでやったからな。」
悪役みたいに笑うイオ。
6歳のセリフじゃない。
って言うか、わかってやってるな、糸。
やっぱSっ気あるよ、この子。
つまり今ミウは、イオの魔力に満たされている。なるほど『魔力の器』だ。注ぐ魔力によっては、どんなタイプの魔法使いにもなれる。
「魔力がどこまで受け取れるのか?どれくらい保っていられるのか?量と持続力は調べないといけないけど。」
「言い方。」
「?……オレが魔力を渡す限り、お前は全属性のチート魔法使いだし、もし王太子の傍にずっといればハルトそのものも魔力になる。って事は、完璧な子供が生まれるはずだ。」
そんな実験みたいな、と思ったが、言いたいことは理解した。
両親はためらわず捨ててくれたが……
真実を知れば全ての貴族に狙われる、大き過ぎる力だった。
自分に過ぎたる力だった。
不安が顔に出たのかもしれない。
「大丈夫‼ミウはオレが守るから‼」
無自覚女ったらしだ、元親友の少年が言う。
「あと、これからガンガン、魔力は注いでいくぞ‼その方が絶対安全だし、使い方も覚えて貰った方がいいし‼」
うわーい‼
それはちょっと……
「嫌だよ、糸‼あれ、凄く気持ちい……悪いんだから‼」
全力拒否の折衷案は?
スラム横の3DKで、その夜から2人、同じベッドで眠ることにした。
無理やり注いだ魔力は気持ちが悪い(?)なら、常時漏れ出ている魔力に慣れさせておけばいい。
寝ている時なら大丈夫だろうと、そのままイオの抱き枕になる。
うわーっ、マジ、ヤバイ、これ。
睫毛長い。
柔らかい少女の体とは違う、骨太の手触りがして……
イオは、糸じゃないけど、糸でもある。
女の子同士の感覚でいる親友は、たぶんこの先ミウの乳房が膨らんでも、生理が始まっても、抱き枕にする。
6歳同士、子供同士だからいいけど……
頭の奥がグラグラする。
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