第31話 ソフィアは念願だった再会をする……だが
帰りの馬車にて。
私はいつもどおりに外を眺めながら旅として楽しんでいた。
忙しいといえばそうだけど、すっかりスローライフのような生活が送れていて毎日が楽しいのだ。
さて、王都まであと半分くらいで到着するあたりだ。
たしかこのあたりって、私が初めてケルベロスと対峙した場所だろう。
あのときは、こんな長距離をよくもまぁ歩いてこれたなと思う。
そんな呑気な気分でいたのだが、急に寒気が走った。
「うぅ……」
「どうされましたか?」
「なんか……、ものすごい魔力を感じたような気が……」
「……? 私も魔力を感知する力はありますけど、なにも感じませんよ?」
おかしい。
私の魔力ってたしか特殊なものだから、感知能力はないはずで、今までもこのような感覚は経験したことがない。
その私がなにかを感じたということは、もしかしたら……と思った。
すぐに馬車から外を見渡す。
「やっぱり気のせいだったのかな……」
「精神的にもお疲れなのかもしれませんね。ひとまず外の空気を吸って休憩されますか?」
「ありがとうございます……。ご迷惑かけて申し訳ありません」
「いえいえ、ソフィア様には大変お世話になっていますからね。ソフィア様の健康を第一に考えて行動しましょう」
アーヴァイン様は優しいなぁ。
などと浮かれていたが、二度目の寒気が走った。
今度は気のせいではない。
明らかにとんでもない力がこちらに向かってくる感覚があったのだ。
再び、すぐに外を見渡す。
「あ……あ……もしかしてあれは」
遠くてハッキリと見えないが、馬車よりも速いスピードで、黒装束を纏った女性らしき姿がこちらへ向かってきている。
私が魔力を感じることができる相手なんて、思い当たる人物は一人しかいない。
そう思ったのも束の間、黒装束の女性はあっという間に私の目の前に姿を見せた。
「成長したわね……ソフィア」
「リリス様……、いえ、お母様!?」
ようやく念願だったお母様と会えた。
どことなく私の外見に似ていて、目の周りは私とそっくりだ。
間違いなく魔女リリスは私のお母様だろう。
「募る話もあるだろうけど、まずは、そこのゴミに用事があるから」
お母様はもの凄い殺気を放ち、私たちの正面にいる馬車にその力が向けられた。
殺気だけで馬が驚いてしまい、急停止した。
まさか……。
このとき、私はものすごく嫌な予感がした。
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