Dream Worker(没)

ぬのむめさうか?

第1章 夢を喰らう者達

第1話 ホルダー

目が覚めると手を伸ばしていた

#忘れられない夢。忘れてしまった夢。<藤野亮>


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くだらない音楽、どうも耳障りで仕方がない。…雑然、雑多、雑談、雑種、雑踏、雑味、雑音、雑念…。


「うるさいなぁ…」


声が漏れる。漏らさずにはいられない。なんだか気持ちが悪い。大江戸線から登った西口から東口にかけての新南口の通路は人が馬鹿に多くて、そのすべてが邪魔に感じてしまう、自分は心が狭いと思う…でも、みんな思ってるんじゃないか?思ってないやつはおかしいよ、だってこんなにも疎外感を覚えてしまえば…。改札前の道路沿いで、シンガーソングライターが歌っている、耳を澄ます聴衆の横で警察は静かに終わるのを待っているようだった。…彼らを見て、煤けた自分が何だか惨めになる。気分は一向に上がらない。


ふっと、目の端に燃えるような赤い髪が揺れた。その煌々と輝くような赤色に視線が釘付けになる…今まで見たどの赤よりも綺麗で、味わいのある色合い、惹かれて心臓が鳴る。…自分の血の一滴一滴が強く体を暴れ回り、あまりの熱に息を忘れた。


細く綺麗な人だった。肌は白く、唇は艶やかに、スラッと伸びる足、キャップに短パン、スカジャン、ボーイシュなファッション。目頭のメイクが切れ目をより強調させ、鷹のような赤い目がこちらをチラリと一瞥する。まるで一枚の絵を見ているようだった。


人混みに紛れる。赤色が小さく点滅した、僕の足は咄嗟に前に出た、見失わないように前へ、前へ……背の高い身長の男を避け、香水を臭いほどにつけた男とすれ違う。流れる人の波を掻い潜る。目の前のカップルが、自分の首にかけられたお揃いのネックレスを触った、少し可笑しそうに顔を崩している。……おかしい、見えない…見えない?…何を見ようと?おかしい…気がする……。後から女性が俺を追い越していき、横目に入ったその人の白い肌に黒髪が妙に映えていた。ショーウィンドウに映る自分が異物のように見える。おかしい……何を…追いかけていたんだっけ?女の子が電話をしてしきりに笑っている。


俺はポケットからワイヤレスイヤホンを取り出し、押し込む。アジカンの「Loser」が流れる。揺れる、揺れる、人の流れ、灰色の濁流、世界は相変わらず閉鎖的で、俺は小さな金魚鉢の水の中を流れていくように、流されて運ばれていく。ちっぽけな…

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夜魔 〜夢魔たちの幻想郷〜

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清潔な制服に身を包みんだ受付の担当者たちは騒がしく動き回る。

ライラ・レイは仕分けされた種子や書類を持って走り回り、自分の席に戻る


「ライラ、担当ホルダーの資料、それで全部?」


パスコフ・ユラの薄く青い短い髪が揺れた。主任である彼女は、受付の担当者に指示を飛ばしつつ状況を確認している。


「はい、ホルダーの方からのヒアリング、チェックも全員分終わっています。種子の確認もいくつか終わったそうなので、この書類を経理に出せば、ホルダーの方々に報酬を渡せます。」

「そう?なら、受付でアナウンスをお願い。書類にも書いておいたけどガイアスには、特別報酬。本人は受け取りに来れないそうだから、振り込みで対応して。」

「わかりました。」


書類を確認する。確かに書いてある、見逃していた…ガイアスさんが心配になりながらも手元の資料の整理を止めることはできない。それに後で確認すればいいことだ。今は仕事に集中。


ホルダーは、夢の種子を収穫する夢魔たちのことで、私、ライラ・レイはこの階層都市でホルダーたちの受付嬢として、サポートをしている。席を立って、報酬の支払いのために、経理の机に向かう。必要な資料を彼、彼女らに淡々と渡し、「支援部からの書類との報酬の齟齬もありませんね、不足があれば後で連絡します、報酬の支払いいただいて問題ありません。」と経理はいい終わるのを聞くと、その場をすぐに離れた。なんせ時間がない、今日は受付の中も外も何処もかしこも慌ただしい。総じて、朝の時間はこんなものなのだが、最近は何だがそれがより顕著に見える。仕事を終えたホルダーが受付に押し寄せてくるだが、小ぶりになった夢の種子のせい鑑定の数が増え、仕事がいつもより遅れている。受付はホルダーごとの結果を書類に記載、経理が資料の確認を行い、問題なければ判子。書類は設備部に回され、貸し出した備品関係の破損状況がないか、あるなら支払いについての資料を揃えられ、ホルダーへの請求が行われる。マイクに手を掛けるそこに影が差した。ふっと上に目をやる。


「ライラさん。今日はどう?空いてるかな?」

(空いてません!)


筋肉が立っていた。…どうして、こういう忙しい時に、話しかけてくるの…?時間を持て余してるのはわかるけど、見てよこの書類の山!報酬の受け渡し、全然終わってないの!!早く帰りたいの!!!…って言っても仕方ないか…。冷静に深く深呼吸をして、落ち着く。笑顔、笑顔…。


「ティンゼルさん、申し訳ないですけど、今から報酬の受け渡しを行いますので、お呼びになるまで席でお待ちいただけませんか?」


目の前のホルダーは本当に大きくて、さっきから筋肉しか目に入らない。隆起し過ぎた胸元のせいで、かつ背が高すぎて、座っていると良くて鼻の穴しか見えない。あっ、鼻毛出てる…


「ああ、すまない。でも、どうだろうか?丁度、海鮮の美味しいお店が空いてるんだ。今返事をしてくれたらすぐに予約するんだが、今日はいつ終わりそう?」


…なんでか伝わってない。だめこれ、もっとしっかり言わないと、気をしっかり保つために再度少しだけ拳を握り込んだ。


「ふふふ、すみません。ティンゼルさんのことも、なるべく早くお呼び致しますので。お席でお待ちください。」


先ほどよりもクリアにしっかりと言葉を発する。そして笑う、笑顔が武器だと、パスコフさんが言っていた。数秒の沈黙の後、私は顔を背け、書類の整理、呼び出しの順番を確認を始める。私の前にはまだ影が落ちている。


「仕方ない、また今度、改めて誘わせてもらうよ。」


そんな声が聞こえ、やっと踵を返してくれたようだった。良かったと、心の底から胸を撫で下ろしす。私は大分臆病なのだ、心臓が少しうるさい。…深呼吸…頭の中から余計なことを消え去らせ、アナウンスのためマイクに手をかけた。


「お待たせ致しました。G1窓口対象のホルダー方々、報酬のお渡しの準備ができています。お呼び致しましたらG1窓口までお越しください。」


そこからは、ひたすらにホルダーの方々への対応に追われた。今日は特に量が多いかったようで、裏では仕分けを総出で対処していた。受付は…というと、資料作成、整理。明日の仕事をスムーズに進めるためには仕方がない。各部門からホルダーの方への要望の資料に目を通しつつ、どう伝えるかまでしっかり考える。特に整備部から怒りのお言葉が降ってきていて大変だった、このままホルダーの方や、設備部、整備部の方に伝えたら角が立つので、言いたいことが伝わるように添削する。ホルダーの方も段々といなくなり、受付の外では鑑定士たちは鑑定を終えた夢の種子を、箱に詰めている。午前9時になって、やっと作業に終わりが見えてきた。


「…ガイアスさん。」


手元の資料に目を通す。ガイアス・ロイ、A級ホルダー。本日の成果は、5階層の夢の種子を6つ、うち1つは失敗。レポート欄には、どんな夢であったのか、攻略に至るまでの詳細が記されている。先ほどは気にならなかったが、資料の失敗の文字にどうしようもない不安を覚える。


「…攻略失敗なんて、うんうん何でも悪い方に考えちゃいけないわよね。」


欄には、準監視対象とすべきと記載されていたが何のことかわからない。そして、最後の欄に押されたG0という判子…。G0窓口なんてものはそもそもここにはないから、この判子は見たことがない。それこそ、このハンコが見るようになったのも最近のことで、攻略の如何に関わらず、時々押されているようだった。押された書類は受付に返却後、そのまま都市長室へと送られている。私にいつも、お菓子を渡してくれるおかしな人、髭面のクマみたいな大男であるガイアスの姿を思い出す。


「怪我とかしてないといいんだけど…資料を見ても特別なことは特にないし、大丈夫だよね…」


机の上の、ベルが鳴る。ユアさんからの連絡だ。


「あっ、早く終わらせないと!」


先ほど添削した書類を持って、都市内便へ向かう。その後も雑務に取り組み、時間がすぎ、仕事が完全に終わったのは午前11時頃だった。


「もう、嫌、はぁ〜、疲れた〜。」


背中が硬い、きっと伸びをしたらポキポキと骨がなるんじゃ無いかと思う。恥ずかしいからやらないけど…


「ライラ先輩、今日も一段と忙しかったですね。お疲れ様です。」


隣のG2の窓口のフランが話しかけてくる。


「うん、フランもお疲れ様。」

「この後、ご飯でも食べに行きませんか?」

「元気だなぁ〜、フランは…」


時計を見る。もう、正直帰りたい、そして寝たい。そんな感情につられてかつい、疲れ切った笑いが出てしまう。


「ごめん、もう眠くて眠くて、今日は帰るね。」


フランは、そんな私に申し訳なさそうに手を振ってくれる。


「いえいえ、また誘わせてください。」

「ありがとう、お疲れ様。」


そう言って、体を机から引き剥がして、ロッカールームに向かう。軽く汗を拭き、着替えると退勤表に名前を書いて退勤した。外に出て、ふっと上を見上げる…いつもと同じ私たちが働く、階層都市BUGが怪しく緑色に光っている。夜魔には朝がない、だって太陽がないから。私は映像でしか太陽を知らない見たことがない。だから、概念的には夢魔にとっての太陽はこの塔だと思っている…綺麗だなぁ、子供の頃はグリーンジャイアントなんて名前をつけて、みんなで怖がっていたっけ…懐かしい…。私はいつかアレが動き出して、自分が踏み潰されたりしないだろうか?実は目も無いけど、こっちをいつも見ていやしないかと怖くてしかったなかったものだ。もう大人だからそんなことは思わなくなったけど。


少しセンチな気持ちになって、前を向く、自宅に向かう道すがらにはちょっとした商店街が並ぶ、階層都市BUGは街の中央に位置していて、そこから離れた四つ坂は、ちょっとした所なのだ。道を照らす明かりが幻想的で、心が癒される。やっぱりライトは暖かいオレンジ色が一番いいなって…つい思ってしまう。夢魔の休むこの時間になると、店の灯りはより明るくなって優しく夢魔の世界を包んで、働き終えた人たちが楽しそうにお酒を飲んでいる。四つ坂を降り切ると、灯りは少なくなる。静かな闇に、街灯がゆらゆらと揺れている。四谷方面に更に歩いてゆくと木造の家々が並ぶ。家の前が傘を被った道になっていて、確か、雁木って呼ばれているんだっけなんて、全然わかんないんだけど…木造だからか、歩いていると、ふっと中から足音が聞こえてきたり、声が聞こえてきたり…そうして私は自分の家にゆっくり向かう。雁木を抜けた木造の3階建、この家は都市から提供されたもので割と大きい。ルームシェアの建物だから、他の人を起こしてしまわないように扉を開け、まだ少し声が聞こえる居間を回って、部屋に入る。荷物を化粧台近くに置いて、服を着替え、疲れ切った体をベットにダイブさせた。枕の横のスイッチをつけるとベットの横には青とオレンジと黄色の小さなランプが部屋を仄かに照らしている。ああ、落ち着くなぁ…


「忙しかったけど、もうすぐボーナスも入るし、これでまた新しい家具も…本も…服も…買えるよね…また、明日も頑張らなくちゃ…」


柔らかい布団に抱かれて、電気を消すことも忘れて、私は瞼を落とした。

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西暦2023年7月12日 夜


私、ライラ・レイの夜は早い。午後7時、少し寝坊してしまったから、急いで坂を駆け上がっている。早い夜だから店はほとんど閉まっていて、道を街灯が仄かに照らしている。店からは音もほとんど聞こえない。通勤する人たちがチラホラと見える。受付からロッカーに向かい、急いで身だしなみを整え、鏡の中の自分に笑いかける。午後8時(20時)、人間や動物たちが寝静まる少し前、私たちの1日の業務が始まる。


「よしっ」


受付に向かうと、昨日雑務処理した書類たちが、同僚たちと支援部の人たちが協力し運ばれていく。私もその流れに混ざり、支援部に処理した書類を引き渡す。手元からそれらが全てなくなるのを確認すると受付に戻り、昨日の業務内容と今日の業務内容の確認を済ませた。午後9時からミーティングが始まるから、それまでにやらないといけないのは…やっぱり業務管理表かな?


「ファァ・・・」


…しまった…欠伸が止まらない。う〜ん、洗面台で顔を洗ってくるべきか…でも、化粧落としたくないし、なんとか耐えるしか…あっ、また欠伸が…すると、私の頭の上に紙の束が降って来た。


「ライラ。顔洗ってきても良いのよ?」


そんな風に意地悪な声が空から降ってくる。


「…痛いですよ、パスコフさん〜。」


そんな風に軽口を叩くと、パスコフさんは、しょうがないと言った表情で笑ってこちらを見ていた。


「お・は・よ・う。」

「おはようございます」


この知的な女性は、階層都市1層で受付全体を取りまとめている主任、パスコフ・ユアさん。短く切り揃えられた髪が、カッコイイ女性って感じで、私の大好きな人。彼女の顔は整っていることもあり、真面目な顔が人によってはかなりの圧迫感を得るようで、新人の子などは良く泣いてしまうこともある。次の日に目元を隠すように色の濃いメガネをしてきた時には不覚にも可愛いと思ってしまった。私はついふにゃりと笑いながら、パスコフさんに挨拶すると、彼女はどうしようもないといった風な顔でこちらを見る。


「ほら、またパスコフって…ユアって呼びなさいって言ったでしょ?パスコフって可愛くないから嫌なの。あと髪、食べてるわよ。」


パスコフさんは指を自分の口の端に持ってゆく。私は急いで、唇に挟まった髪を抜き、髪を後ろにまとめた。顔赤くなってないかな…?恥ずかしいっ。


「昨日は寝れた?」

「はい、ユアさん。」


パスコフ、カッコイイのになぁ…。


「昨日は忙しかったから、まぁ今日ばかりは、多少は?、仕方ない部分はあるから…多めに見ますけど、受付嬢がそんな顔してちゃダメよ?」

「えへへ〜。」


頬引っ張る手が優しく、ついニヤケてしまう。パスコフさんが、何かが面白かったのか、そんな私を見て笑いを堪える。


「っ…まぁいいわ、今日もよろしくね、ライラ。」

「はい!任せてください。」


9時になると、受付は一斉にホールに向かう、ミーティングでは、受付業務以外で発生する書類案件や、私達、支援部へ他部署から依頼があった際に、ユアさんがその仕事を割り振ったり、進捗を確認する場だ。


「ライラさん、おはようございます。」


ロヴァネス・フラン。私の直属の後輩で、今は隣のG2窓口を担当している。


「おはよう、フラン。」

「寝不足ですか?」

「いやだ、顔に出てる?」


つい顔を抑えてしまう。目元にクマでもあるのだろうか?


「いいえ、ただ何とくそんな気がしただけです。」

「そう?ならいいんだけど。」


そうは言ってくれたけど、後で鏡を確認しないと…さっきパスコフさんにも言われたしね。隣のフランをふと見やる。ピシッと制服を着こなしている。私よりもよっぽどしっかりしているように見える。…配属当初は小鴨みたいについてきて、真面目で、健気で、可愛いいって印象だったのに…。なんだか少し寂しい。


「はぁ…」

「え?大丈夫ですか?」


嬉しいけど、悲しいそんなため息が出てしまう。


「ごめん、何でもないの。それより、ミーティング始まるわよ。」


ホールの中心にいるパスコフさんが、それぞれの担当窓口を呼ぶ。


「それじゃあ、ミーティング始めるわよ。まず、A窓口、イエル・スラ」

「はい、まずテスターの方から試作品のレビューを受け取っています。開発部を刺激するような内容が含まれているため、一部添削させていただきました。不具合による操作不能状態こそあったものの、ホルダーの方にも怪我は無かったので幸い問題になることはないかと思われます。開発部としてはB96の実用化に向けて、引き続きテスターの方に使用感や不具合の報告をお願いしたいとのことでした。」


A窓口は開発部門とホルダーの仲介を主に行なっている、テスター専門(罰ゲーム)の窓口となる。ホルダーを支援する試作品を作り、テスターとなったホルダーからその使用感を聞いたり、実際に実地に赴いて動作を確認する。こういうのは大体罰ゲームだから、ペナルティとしてホルダーに振りわてられる。とはいえ、危険な作業だから手当もしっかりある…あまり多くはないけどね…


「よし、次!B窓口。」

「はい、銀行取締役ライオット・エルファ氏から、都市長の面会を希望する連絡を受けています。今年度の盤絵の基準について、意見をもらいたいとのことです。」

「わかった。都市長には私から伝えておく。」


B窓口は、外部との連絡窓口となっている。お偉いさんは大体ここを訪ねてくる。

他の窓口の報告も終わり…


「G窓口、ライラ・レイ」

「はい!…」


窓口全ての報告が終わり、パスコフさんの掛け声の元、全員が一斉に動き始める。大体の準備はみんなミーティング前に終えてるから、受付嬢は、弛緩した雰囲気でおしゃべりをしていて、私が持ってきたお菓子とイエルちゃんが持って来た紅茶で朝の長閑な時間が受付の中に流れている。


そして、21時半、BUGの入り口が開け放たれる。入り口からは、最初は少なく、だんだんと寄せてくる波のように多くのホルダーが入ってきた。さて、気合い入れないと!10代から50代まで、ホルダーは年齢層の幅は大きい。危険な仕事でもあるから、若い子はいつも多いが、熟練のホルダーはどうしても少なくなってしまう。だから、ホルダーが不足するってことはないけど、大きく増えることもまたない。


あるホルダーはいった

(太陽を見てみたい。偽物じゃない、その光を浴びたい。)


あるホルダーはいった

(名声、巨万の富が欲しい。金がなきゃ守れないからだ。だから金が欲しい)


あるホルダーはいった

(私、海が見たい。海岸線ってどんな風だろう。沈む太陽ってどんなに綺麗なんだろう。想像もつかない。)


あるホルダーはいった

(ずっと深くまで、世界を知りたい。俺たちはどこから来て、どこに行くのだろうか?その答えがあそこにはある。)


みんな違う。でも、誰もが何かを求めている。止まっていたら叶えられない願いを叶えるためにここにいる


「あの…」


歳にして15歳くらいの少年だろうか、胸にホルダーであることの印もなく、頼りなさげにこちらの窓口の前へやってきた。


「すみません。…ホルダーになりたいのですが。」

「ようこそ、階層都市BUGへ。新規のご登録ですね。」

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その頃、階層都市1階 都市長室

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都市長のジャイコフ・ワァウは、ため息のままに椅子へ深く腰をかける。心なしか、肩が凝って仕方がない。息も浅くなっていることがが自分でもわかった。


「ワァウ都市長。」

「わかっている。」


目を瞑る。ウユラ・ナユは緊張した面持ちで、私の次の言葉を待っているのだろう。私の机の上にあるのは、4階層、5階層の近年の変異種の発生頻度だ。例年と比べて、その量は明らかに増している。そして、G0と印が押された資料。もう資料と睨めっこをしている時間はない。調査も行き詰まりつつある…安全策は、騙し騙しの策は通じない。わかってる。長い嘆息の後、私はウユラ・ナユを見据えて言う。


「悪いが、クァリフを呼んでくれ、机の資料はもう片付けていい。」

「わかりました。」


私の指示にウユラは答え、その綺麗に磨かれた眼鏡を少し持ち上げると、資料を手に部屋を出て行こうと扉に歩み寄り、今まさにその扉に手をかけようとした瞬間、扉が開け放たれた。


扉の先には、黒と金の混ざった短髪、その髪には後に伸びる刈り込みに沿うように金色の髪飾りが垂れている。ダグラ・ハク、都市に数少ないA級ホルダーの1人。そして、高位の貴族でもある。彼は、許可なく部屋の敷居を跨ぎ、私の許可も待たず来客用のソファに腰掛けた。


「いやぁ〜ジャイコフ、元気?調子はどうだい?僕の調子?そりゃ、もう大変だったよ。最近は家の仕事もやっているからね、ホルダーの仕事を少し減らさないといけないかもね。まぁ、無理に割り当てを減らそうとは思ってないよ?ただね、こっちだって暇じゃないんだ。そうは思わない?ていうかジャイコフ、君、クマできてるけど大丈夫?」


ふざけた調子、勝手に話を展開し、揶揄うような視線に少し、イラつきを覚える。…深呼吸…最近寝つきが悪いせいか気が立っている。ウユラに目を向けると、突然のことに尻餅をついて、相当驚いたのか口をパクパクしている。


「ん?ウユラちゃん。そんなところに座って、どうかしたの?」


今気づいたと言ったふうに語りかけているが、底意地の悪さが窺える…それにしてもダグラがここにきたという事は…ともあれ、まずウユラを何とかすべきか。


「…ウユラ…ウユラっ……ウユラ、しっかりしろ!!」

「はい!都市長。」


私の声に気を取り戻し、ズレた眼鏡をなおした彼女は、いくつか落としてしまった資料を拾い直して、さっとその場に立ち上がる。まだ幾分か気が混乱しているようで、目の焦点が少し揺れているように見えた。


「すまなかったな、ウユラ。ダグラには後で、私からちゃんと話しておく。」

「…あっ、はい。失礼します。」


ふらふらと扉から去っていくウユラを見送りながら、気を取り直し、ソファに偉そうに座る男に目線をやった。


「嗚呼ぁ、ジャイコフよくない、よくないよ?ウユラちゃん、あんなにフラフラしちゃって、働かせすぎじゃない?」

「その口調を改めろ。私はお前の友達でもなければ、同僚でもない。私は都市長、お前はホルダーだ。」

「はいはい、わかりましたよ。都市長殿、怖いなぁそんなに怒らないでよ。飴でも舐める?」


ポケットから取り出した飴玉をひらひらとさせて、飄々と答えるダグラの顔からは全くと言っていいほど、悪びれた様子を感じられない。忠告が聞くような相手ではないと分かりつつ。


「知らないわけではないだろうが、ここは許可された人間しか入ることを許してはおらん。」

「許可なら取ったさ、受付の人とすこーしお話ししたら快く通してくれたよ?」


そう言ってこちらに見せつけるかのように、腕から垂らした、貴族の証である三又の槍を見せつける。光景が目に浮かぶようだ。きっと受付も対応に困り、結局面倒を嫌ったパスコフが通すことにしたのだろう。どうせこの事でパスコフに怒られることを想像すると嫌気がする。


「ここで貴族の権威を振りかざすなら、今後一切のホルダーの資格を剥奪する、2度はない。…外ではどれだけ偉かろうと、ここではお前は1ホルダーだ。」


忠告に全く興味がないように、三又の槍をハンカチで拭いている。


「…用があってきたんだろ。手短に済ませろ。」


こちらが聞く姿勢をとると、ダグラは何のことかわからないような顔をした後、そうだそうだと言った顔で、ソファで寛いでいた身体を起こし、棚ものを物色するように目を向け、歩き出した。


「うん、まぁ、そうだね。そうだった、用があるんだ。…ジャイコフがお説教なんてするから、つい忘れちゃってたよ。今日は聞きたいことがあって来たんだ。」


続きを促すように、目線をキツくする。それを見て、クスッと笑うと

ダグラは、面白いものを見つけたっと言った風に、私の棚の熊の置物を手に取り、遊び始めた。


「最近大変そうだし良ければ、僕が手を貸してあげるよ?」


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階層都市1階 G1窓口ライラ・レイ

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「まずこちらをお渡ししますね。」


緊張した面持ちの少年に、パンフレット渡す。友達と登録に来たのか、隣の窓口の少年をチラチラと見ながら、不安そうにしている。短く切り揃えられた黒髪クロード・セイと言うこの少年を見ていると何だが初々しいくて、保護欲が…おっといけない、いけない。これは私情…


「フフ…緊張しなくても大丈夫ですよ。」

「あっ、えっと、…すみません。」


彼の拳はカウンターの下に隠れていて、上半身からでも握り拳をキュッとしているのがわかった。あがり症なのかな?目線も泳いでいるし


「いいえ。それでは、早速、そちらを開いていただいた上で、説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「…はい、よろしくお願いします。」

「それでは説明をいたしますね。こちらのボードをご覧ください。」


そう言って操作すると、ライラと少年の間の黒いボードに映像が流れる。全部で5階層の塔の内部が映し出された。仕組みに驚いたのか、目を少しキラキラさせている。実際に都市外でこのようなものを見るのはきっと稀だろう。


「階層都市BUGは、生きとし生けるもの夢が混在している場所です。あなた方ホルダーは、階層都市内で夢に干渉し、夢の種子を持ち帰ってきてもらいます。夢の中では、様々な姿に変化することが可能です。さらにご自身の想像の成長によって、性質が各々変化します。例えば、火を出せるようになったり、自分の分身を作り出したり、音波を飛ばして周りの地形を把握したりと様々です。この力を使い、交渉、盗む、強奪様々な手段を用いて、可能なら夢の主人を刺激させずに、穏便に夢の種子を手に入れてください。全夢魔が実現可能なこれらの能力ですが、ホルダーの力量次第で制限がかかります。制限は大きく分けて3つ、変身時間、変身強度、そして、トウキです。トウキは先ほど言った成長の結果で得られる能力のことです。新人の方はまず、変時間と変身強度を高めてもらうことになりますね。ここまでで、何か質問はありますか?」

「ありません。」


ボードには、説明に合わせて、図が展開されていく。それをじっと見て、真剣に聞いてくれているのがわかる。


「それでは、説明を続けますね。夢の中には、夢の種子で生成されたものであれば、持ち込みが可能です。食料、道具類、特殊なデバイスなど、大抵のものは夢に持ち込めますが、不用意に夢を荒らすと見なされたものは基本的に制限がかかります。」


制限がかかる具体例として、画面に銃火器、毒ガスなどが挙げられる。少年は、真剣な面持ちでうなずき、一つ気になったのか、目線をあげて私の目をみてくる。


「あの、基本的にと言うことは、許可される場合もあるんですか?」

「はい、その通りです。都市への貢献度と、特に都市長からの信用の高い探索者であれば、許可されることが多いですね。」

「A級の方々のことでしょうか?」

「ランクはそのまま、貢献度と信用度に直結しますから、ただ、B級の方の中でも一部許可を得られる方はいますね。」


そして、横からチラシを出して、彼に渡す。


「持ち込み許可がある物品についてはそちらにも記載されているので、後で確認してみてくださいね。基本的な装備品は情報部に申請して許可が降りたら使えます。彼らは都市内のすべての情報を統括し、提供する役割を担っていますから、詳しいことは情報部まで問い合わせてください。他には何かありますか?」

「はい、分かりました。大丈夫です。」

「はい、それではこちらのボードをご覧ください。ご存知かもしれませんが、BUGの階層は1層が最低級脳、2層が低級脳、3層が富豪人間脳、4層が平民人間脳、5層が貧民人間脳というように分類分けが成されており、上の階層にいくにつれ、夢が安定せず、持ち帰りが難しくなりますが、夢の種子は大きくなり実入りが良いと行った様になっています。」


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階層都市1階 都市長室

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「大変そうか。そう思う根拠があるのか?」


私の問いに、興味がないかのようにダグラは相変わらず、熊の置き物を手で遊ばせている。そして、適当に発せられたダグラの言葉には、誰もが知る当たり前の事実が述べられていく。


「そもそも夢の種子とは何か?それは人の願望の塊だよね。それを奪おうとすれば、夢の主から抵抗を受ける。また、夢の種子によってその性質は様々で、家、朝食といった場面が存在すれば、建材や食べ物になる。この夢の種子は僕たち夢魔の体を作る食事であり、建物を作る建材であり、僕たちが着ている衣服を作る糸、もしくは衣類そのものになるわけだね。さて、ジャイコフ。」


ふぅと一息つき、手で遊んでいたものを棚に戻すとこちらに向かって、彼は笑った。


「…ねぇ、夢の種子の収穫率下がってるんだよね?何でかな?教えてくれない?」


ダグラの言葉に私は答えない。答えられない。彼の都市への貢献度は異様に高い、それは設備への投資、夢の種子の回収の実績に至るまで様々だ。もし彼が普通のA級であれば、きっと彼を頼っていただろう。しかし、彼は貴族だ。それも多くの貴族を統率し、グラム家と並んで、裏表を牛耳ってきたハク家のものだ。奴隷制を終わらせた正義のグラム、そして、形を変えて夢魔を支配するハク家。悪い話は後を立たない。


「小耳に挟んだんだけどね、最近、3階層、4階層、5階層は更にか…取れる夢の種子の量が激減してるっているんだってね。種子自体も小さくなっているものがあるとかないとか。…人間は減ってないし、むしろ最近は増えてるのに、なのにおかしいよね〜。異変が観測されたのは上位の層で、1、2階層には影響がないっていうのも、何でかなぁ?君はどう思う?…3層より上ってことは、人間の間で何かあったのかな?夢を見る人が少なくなった?そうかもしれない。確かに昔に比べて夢の中には魔女もいない、神もいない、悪魔も、化け物もほとんどいなくなったよね。平和になった。…でも、それは夢の質が落ちる原因になっても、数が減る説明にはならないよね。大前提、人は誰しも夢を見る、無意識という夢を、ね。…つまり、僕が何を言いたいかというとね、ジャイコフ。…夢自体がどこかに抜き取られているんじゃないかってことだよ。」


怪しく、笑みを浮かべる。まるでこちらが何を考えているのかお見通しで、反応を面白がっているようにも見えた。


「そうか、それは荒唐無稽な話だな。」

「荒唐無稽かな?おさらいしようか。元々、BUGは僕ら夢魔が生きるために必要な夢の種子を安定して手に入れるための装置のようなものだよね。必要な分だけ取って、乱獲しない。成長しきってない種子を狩ると、次が育ちづらくなるからね。それに、階層に割り振ることで、夢魔の死亡率の減少、そして同時に収穫率も増加する。」

「…」

「人間の夢なら大抵僕らが設定した基準は満たしている。昔は初期不良ってこともあるし、枠から出ちゃうこともあったけど、悪夢や集合夢だって最近は外れたことがないんだ。そこから外れて、他の階層の夢を吸っているなんて、ほぼあり得ないんだよ。ホラーだ。だけどね、ジャイコフ、問題はそこじゃないんだ。僕は思うんだよ。仮に無くなったとされる夢の多くが基準から外れていたとしても、新しい基準を設けて設定すればいい。そしてホルダーで攻略する。不測の夢はそうやって収穫して来たんだろ?…なのにどうして今回はそうしていないの?そんなにイレギュラーなのことなのかな?…今まで消えた分の夢の種子の規模を考えるとその不測の夢の中には相当大きな夢、夢の種子がある…はずだ。違う?」

「…夢は未知だ。基準に外れることもあるだろう。それに、収穫の量の減少は私も危惧しているが、原因はいつもの星の巡りというやつだ、今までも良くあったことだろう、そのスパンが少し長いだけだ。それに直接的な原因があったとしても、私たち夢魔にはどうすることもできない。わかっているだろうダグラ、夢を覗くことしか出来ない我々にはできないことも、わからないことも多いんだよ。」

「あくまでそういうことにしたいんなら別に構わないけど、原因、本当にわかってないの?……教えてくれるなら、叔父さんにも話さないであげるよ?」


ダグラの叔父、モルメット・ハク。前都市長のヴァリス・カイと過去、BUGの支配権について争った経歴を持つ。ダグラの言うことは間違っていない、間違っていないが、残念ながらこれは儲け話ではない。あまりにも問題がありすぎる。


「ジャイコフ、僕は君を助けたいんだ。」


何を知っていると問いただしたくなるのをグッと堪え…私は答えた。


「……用がないなら帰れ。」


都市長室は誰もいないかのように静まり返る。ダグラはじっと私の目を見下ろすように覗き込んいる。


「…そうか、なら仕方がないね。」


長い沈黙の後、そういうとダグラは出口に向かって歩き出した。しかし、直ぐに出ていくと思われたその背中がドアノブに手を近づけて止まる。


「穴が見つかったらしいね。」

「…」

「その穴があれば、集合夢に入れる。」

「…」

「価値がないものは誰も拾いもしないけど、そうじゃないものはすぐ無くなってしまうものだって。僕はちゃんとわかってるよ?…ねぇ、ジャイコフ?」


扉が閉じられ、再び静寂な空間になる。

都市長は机の上の紙で、手汗を拭う。


「価値のあるものか…果たしてそう言い切れるなら、こんなに悩みはしなかったさ。それにしても、そこまで知られていたとはな…」


椅子に深く腰をかけて、目元を揉む。最近はあまり休めていなかったせいか、気の緩みだけで眠気が襲ってくる。頭の中で、ダグラの言葉を思い出していた。


(僕は君を助けたいんだ。)


信じられるわけがない、今、ハク家の中でも立場が微妙だということは知っている。中立などと謳っているがその目的は明らかだ。だが、都市外に助けを求めなくて、本当にいいのだろうか?目を閉じる、無駄な思考が、バラバラに解けて雑念が消える。


(ジャイコフ、この頭でっかちが!!)


もう、叱ってくれる人はいない。ヴァリスさんなら、どうしただろうか?つい口から笑みが溢れた。


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階層都市1階 G0窓口ライラ・レイ

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「基本的に1、2階層では問題ありませんが、3階層以上となる悪夢が現れます。悪夢は人を縛り、夢が人に与える知恵、真なる知覚、魂の喜びを奪う。悪夢は好戦的なため、万が一、悪夢に遭遇した際は、新人の方には対処が難しので、アラートが鳴ったら直ちに夢から離脱してください。集合的な夢に関しても同様です。いいですね?」

「はい。」

「実際の訓練の際にまた説明があると思いますが、夢から出る際は、目を瞑って、夢に入る時に通ったポータルを想像すれば戻れるようになっています。最初は先輩ホルダーの研修で安全に学べますので、ご安心ください。」


最初は緊張して大変だった彼は、少し和らいでくれたようだ。


「手続きはこれで終了となります。後は明日、先輩のホルダーの方と設備部の方が、施設の案内をしてくださることになっているので、お時間をお間違えのないようによろしくお願いします。クロードさん。今日からよろしくお願いします。」

「はい、ライラさん。こちらこそ、よろしくお願いします。」


急に名前で呼ばれて少し赤くなった顔で、嬉しそうに笑う顔に、私は少し笑ってしまった…バレてないといいんだけど。


*************

1話後書き


作者です。1話いかがだったでしょうか?

拙い文章ですが、最後までお付き合いいただき、感想等いただけると幸いです。


この物語の発着点は、バク(獏)なんですよね。なんだったら、子供の頃に親の本棚にあった三丁目の夕日です。みんな知ってるかなぁ。僕はあの世界が大好きなんですよね。なんとなく怖くて暗い細道、帰り道。あそこの奥には何がいたんですかね。東京は明るくなりすぎて、なんだか暗くて怖い人混みも無くなっちゃいました。悲しいですね…


僕はそんな何かありそうな暗闇、洞窟。そんなワクワクする奥が描きたいといつも思ってます。

それでは第2話で。

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