第4話:サファイアの決断
無理矢理馬車に押し込められたサファイアは、本気で怒っていた。
獣人に拉致された事実もだが、この事を知った婚約者の反応を思っての事だ。
怒り狂った婚約者を
婚約者と相談すると言ったのに力尽くで拉致するなど、本当に本能で動く動物と同じだと、横に座る獣人を冷たい視線で眺める。
助けを求めれば、おそらく
しかしそれでは、何の解決にもならないとサファイアには解っていた。
この動物達は、自分の婚約者には謝ったとしても、反省は一切せず、また他の人間を力尽くで拉致したりするのだろう。
何度人間側が訴えても改善されない法律。
番かそうで無いか位は人間にも判断出来る事は、身を持って知っていた。
サファイアには、
そして【番詐欺】に遭うのも、今回が初めてでは無い。
何事もなく無事に解放されているのだが、周りの好奇や同情、蔑みの視線に耐えられずに引越しを繰り返していた。
成人するまでは一緒に暮らしたいという家族の要望でこの大陸に住んでいたが、そろそろ限界かもしれない。
婚約者が。
「獣人を滅ぼせば、問題解決だ」
最近の婚約者の口癖である。
何度訴えても無くならない【番詐欺】。
同じ国で何度も訴えるので、そのうち「慰謝料詐欺か?何度も拉致されたって言うが、お前が誘惑してんだろ?」と逆に詐欺を疑われる始末だ。
それでも人間族と獣人族の関係改善の為を思って、真摯に対応するように国に訴えていた。
この国でも、もう3回目の【番詐欺】である。
大陸にある国は、全て巡った。
さすがにサファイアも、もう見捨てても良い気がしてきていた。
今回の対応で、全てを決めよう。
訳ありで番の存在を明かせなかったが、もう良いと思った。
獣人の男の屋敷に到着したようで、馬車が速度を落とした。
出来るだけ身分が上の家だと良いな。
その方がこの国の本質が判りやすいから。
サファイアはそんな事を考えながら、馬車が停まるのを待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます