第153話 海の入り口の兵士

ボロネに連絡を入れた結果、シードラゴンはボロネと同じくらいの強さらしく、ムツキが行けばそれだけで問題なく海でゆっくりできるだろうとの事であった。


その為、シーランド国王に海に入る許可を一筆書いてもらい、ムツキ達は海の方へと向かう。


海に入る場所にはバリゲートが張ってあり、兵士が複数名、国境の関所よりも厳重に守られていた。


ムツキ達の馬車が近づいて来ると、兵士達はピリついた雰囲気で馬車を迎えた。


「止まれ! ここから先は立ち入りが禁止されている! 無理に押し通る場合はどんな貴族であろうと攻撃を許可されている!」


兵士達が武器に手をやりながら、リーダーであろう兵士がムツキ達の馬車に呼びかけてきた。


ムツキは馬車を止めるように指示して、国王に書いて貰った書状を見せた。


兵士は、書状を確認して、頷いたが、ムツキに対して少し申し訳なさそうに話をした。


「書状を確認して、通行許可が出ているのは理解した。しかし、通行にはもう少し時間を貰えないだろうか? 基本は人を通せるように門を組んでいないので開けるのに時間がかかるのと、一応こちらでも早馬を出して陛下に確認を取りたい。御璽が使われていて正式な物だとは理解している。貴方が陛下よりも敬わなければいかない御仁達だという事も分かりました。しかし、手違いがあれば国が滅ぶのです。後に私の首を不敬罪で飛ばしていただいても構わない。よろしくお願いします」


兵士のリーダーが深々と頭を下げるのを見て、ムツキはここに配置されている兵士は選りすぐりの人材なのだろうと思い、快く話を受け入れた。


早馬を出そうとも往復で1日はかかるだろうから、ムツキ達は許可を得て、関所の端を借りて宿泊の準備をする


周りに知らない兵士がいるという事で、いつもよりもセキュリティを入念にしておく。


その後は、食事の準備に取り掛かる。


今回は汁物にして兵士達にも振る舞う事にする。

炊き出しのような物なので、定番の豚汁を兵士達に行き渡るように、ムツキ達はいつもよりもたくさんの量になるが、夫婦で楽しく調理するのであった。



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