無能と言われた召喚者、詐欺スキルにて有能以上へと至る

第108話 失敗

エレノア達の後をつけたロウゲスは宿に戻るとニヤケが止まらなかった。

危機感が無いのかわからないが、簡単に後をつける事ができ、家にたどり着くとなんとも侵入のしやすそうな家であった。

見た事もない木の家で、斧を使えば簡単にドアを開ける事ができるだろう。

それに、あの家には大量にガラスが使われていた。

平民の考えそうな事だ。

ガラスは高級品だ。それもあの透明なガラスは相当な値段だろう。

王女を手に入れ、金を手に入れたからと言って自慢する様にガラスを使った家を建てたのだろう。

貴族の家ではそんな事はしない。

ガラスを使ったとしても人が通れないほどの大きさに抑える。

城の二階以上の忍び込むのが困難な場所には使ってあるが、あの様な平民の平屋に使う物ではない。

理由は単純でガラスは脆く、子供でも簡単に割ってしまえるからだ。

子供でも壊せるものがセキュリティに向いているはずもなく、族に簡単に侵入を許してしまう為、使われる事はない。

強い強いと持ち上げられて調子に乗ったのだろう。

しかし、ロウゲスに取っては都合がいい。

雇った手下を連れて夜中に忍び込んでやろう。

平民に嫁ぐとはいえまだエレノアは結婚前、寝室は別だろう。

自分が眠る家で寝取られたとあってはとんだ笑い物だろう。

夜も更けた頃、ロウゲスは仲間を引き連れて森を移動していた。

「なあ、ほんとにエルフがいるんだろうな？」

「ああ。エルフは好きにしていいからきちんと頼むぞ」

「ああ、楽しみだなぁ、兄貴、あれからだぞ！」

「わあってるよ。俺はもう1人の貴族様だ。なんでも誇り高きドラゴニアの騎士だったそうじゃないか、騎士様の顔が歪む所はさぞかし楽しいだろうなあ」

ロウゲスが雇った2人もかなり性格は歪んでいる。

なんでも、元々はダスティブの冒険者だったらしい。

冒険者はエリートだと聞いていたが、こう言う性格の歪んだ奴もいる様だ。

ちょうど国が滅んだ原因であるムツキに恨みもあるようだし、冒険者は傭兵よりも実力が保証されている為、雇うにはちょうどよかった。

そうこうしているうちに家の明かりが見えてきた。

「ちょっと待ちな」

「なんだ？」

ロウゲスが呼び止められた事に反応するが、それに返事を返さずに、雇った仲間の1人が動いた。

「流石に護衛はいるようだな」

瞬時に見回りの騎士を気絶させて戻って来た。

「まあ、これで動きやすくなるだろう」

「流石兄貴っす！」

実力はしっかりあるようで、雇った甲斐があるというものだ。

ロウゲス達はそのままムツキ達の家にたどり着いた。

「なんだよこれ、簡単そうだな」

冒険者達もガラスを見てロウゲスと同じ意見のようだ。

そのままロウゲス達は家の明かりが消えるのを待って、行動に移した。

なるだけ音を立てずに侵入しようと試みるのだが、ガラスはびくともしない。

それどころが、サイレンがなって衛兵が集まって来たので、ロウゲス達は撤退を余儀なくされるのだった。