第46話ドラゴニア城到着
ドラゴニア城にレットドラゴンが舞い降りた。
その背中には3人の人間が乗っており、その中の1人の男が門番に声をかけた。
「連絡もせず突然の訪問すいません。えっと王様に謁見する事は可能でしょうか?
あ、こちらエクリア帝国の王女のエレノアさまです」
門番は、男の言動やチグハグさに頬をヒクつかせた。
ドラゴニア王からは到着したら通せと仰せつかっている。
それは、先触れの手紙が届いた後だった為、この男の言動ではあの手紙の主ではない様に思える。
しかし、自国の王の命令には従わなければいけない為、ドラゴニア王に伝令を走らせる事にした。
そもそも、この様な事態になっている原因は3人のうち1人。ムツキの行動にあった。
シュナイゼル王は、ムツキたちが旅に出たのを少し後に妻であるエリザベートから聞いた。
国家間の礼儀として、シュナイゼルはドラゴニア聖国に先触れを出し、ムツキにもそれを伝える為の伝令を出した。
ここで、常識外の齟齬が起こる。
シュナイゼル王が聞いた話では、ドラゴニア聖国のドラゴンペトレと話ができるように少しレベルを上げてから向かうと言う話だった。
その為、余裕が有るだろうと早馬ではなく、普通の馬で手紙を運ばせたのだ。
しかし、ムツキの準備は予想に反して早く、先触れは挑発じみたタイミングでドラゴニア聖国に到着した。
そして、ムツキに伝令は届かず、ムツキとしては、ドラゴンで向かう程のインパクトが無ければペトレには会えないだろうし、ドラゴンの方が空を飛ぶのだから移動が早い。
だから、失礼になろうが、これから傘下に入れと十分失礼な事を言いに行くのだから、行ってから謝ろう。の精神でドラゴニア聖国までやって来たのだ。
なので、ムツキはここに自分が来る事が伝わっていることも知らないのである。
伝令が帰って来て、なんの問題もなくムツキたちは城内へと通される。
ボロネは城には入れない為に、直接城の後ろに聳える岩山へと飛んでいく事になった。
ムツキ達がボロネに乗って行かず、城の中を通るのは、様式美と言うやつである。
ムツキ達は、城の中を通って、謁見の広間のような所へ向かうのかと思いきや、そことは別の、小さな扉へと案内された。
その扉の前には、壮年の男性が待っており、その前まで来ると、案内の門番がその男に膝をついて報告をした。
「連れて参りました。陛下」
「ご苦労。
そちらはエクリアの姫君だと聞いている。ペトレ様に謁見を望むのはそなたでよいか?」
門番の言葉を聞いて陛下、つまりドラゴニア王はエレノアにそう質問した。
「いえ、私ではなくこちらのムツキ様ですわ」
エレノアはドラゴニア王の質問に端的に答えた。
ドラゴニア王はムツキの方に顔を向け、頭の先からつま先までをじっくりと見た後、口を開きかけるが、その言葉を発する事はなく、飲み込んだようだ。
「ペトレ様からお前達を通すように言われている。ついてくるがいい」
ドラゴニア王はそう言って小さな扉を開けると、ペトレのいる場所まで続く階段を登っていく。
ムツキ達はその後に続き、ついにペトレと顔を合わせる事になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます