第12話 物語でよくある事

ムツキはここ数日魔物を狩る事に明け暮れた。


これまでの自宅でテレワークと言うインドアな生活から激変した青空の下での活動の開放感、そして、魔物を倒すと言う異世界転移を実感できる充実感からハイになった結果の行動である。

収納魔法は見せないほうがいいと言う事なので、倒した魔物の殆どは倉庫の肥やしとなってしまっているが、そんな事は関係なかった。

救いなのはこの収納魔法は項目で収納できる方式で、ゲームの様に99か999まで収納できると予想できる。収納魔法Gは50項目収納できるから、まだまだ収納に余裕があるので、傭兵ギルドへ売るのは魔物を3から5体位を荷車を借りて売りに出している。

駆け出しにしては上等で宿食事代位にはなる。


ちなみに魔物を売った受付嬢からスキルをゲットしたので魔物を売っても《マルチ》は有効の様だ。


本日は調子に乗って魔物を倒しながら随分遠くまで来てしまった。

ゲームの様に街の周りでしょっちゅうエンカウントするものでも無いので魔物と戦っていれば必然的に街から離れていく。


周りの魔物をあらかた倒し終わった時、遠くから悲鳴が聞こえて来た。

戦闘中なら聞こえて来なかっただろうしステータスが上がってなければ聞こえなかったであろう。

しかし、聞いてしまったものは見に行かなければいけないだろう。

魔物と戦う事に慣れて調子に乗っていたムツキはそうして悲鳴の聞こえた方へ向かった。


辿り着くとそこには、テンプレートよろしく豪華な馬車が魔物に襲われていた。


周りにいる護衛達はやられて伸びてしまっている。

最後の1人も今ちょうど吹っ飛ばされた後、馬車に叩きつけられて気絶してしまった。


馬車を囲む魔物はオーク。だと思う。豚頭の人型魔物。これまで四足歩行の動物に毛が生えた様な魔物ばかりだったのでようやくファンタジーじみた魔物に出会えた事に少し感動してしまう。

しかし感動している暇など無く、ムツキは馬車と魔物の間に飛び出した。


「馬車の中の人、無事ですか?」


ムツキは呼びかけるが馬車の中から返事は無い。御者の人も気絶しているし、馬車が止まった時の衝撃で頭でもぶつけて気絶したのだろうか?


とりあえずは中の人の安否の確認をするにしても目の前の魔物を先に倒さないと行けない様だ。


目の前のオークは7体ほど。一体は体が大きく、その周りの6体は取り巻きの様だ。


「お前たちの相手は俺だよ。分かるか?豚野郎」


一体がブヒィィィイと叫びながら走り出して蹄をムツキに叩きつけて来た。

ムツキは蹄を弾き返すが中々の衝撃で今までの動物型の魔物とは違う様だ。


弾いてできた隙を突きてオークの額を剣で貫いた。

オークは断末魔も上げずに絶命する。

剣を抜いて次のオークに備えようとするが、剣がオークの頭蓋骨に引っかかって抜けない。


ムツキが焦り出したその時、例のアナウンスが聞こえた。


ピコン、レベルがアップしました。


これによってムツキのステータスは激増した。

力任せに剣を引き抜くと、オークを瞬く間に倒していった。

ステータスのおかげで先程のオークは何だったのかと言うほど動きも遅く見え、簡単に倒すことができた。

何体か倒した後、剣は中程から折れてしまったが、その折れた剣でも残りは難なく倒す事ができた。



戦闘が終わったので馬車の中の人が無事か確認しようと思い、馬車のドアノブに手をかけるが、ステータスが上がった影響かドアノブごとドアを半壊させてしまう。


まずい。そう思ったと同時に馬車の中から人が動く気配がした。

同時に気絶していた護衛の1人も意識を取り戻したのか身じろいでうめき声をあげた。


「まずい!」


ムツキは馬車を壊した事を咎められるのは不味いと思い、ステータスに任せて一目散に逃げ出したのだった。



-ムツキ-level5


HP65536

MP65536

攻撃力65536

防御力65536

魔法攻撃力65536

魔法防御力65536


スキル:割愛

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