第11話「達也への痕」
「大好きだよ、
「ありがとう、俺もだよ」
そう言って生まれたままの強さで力強く抱きしめてくる
付き合ってた頃が懐かしくなるくらい積極的だな。
ただそう考える頭の中は後悔と不安でいっぱいだった。
猫と言いながらなし
もう恋人でもないのにこんなことをしていたら、猫以上に
そんな心配を
「ねえ、猫に戻して」
その手には、さっき外した赤い首輪が握られている。
それを受け取ると、少し嬉しそうに
「よかった外してくれて……」
「今なんて言った?」
その言葉の
「何でもない、早くつけて」
そう言うと彼女はまた首輪をつけやすいようあごを上げていた。
「わかったよ」
さすがに二回目となるとコツがつかめていたようで、一回目よりも簡単に巻くことができる。
「ほら、これでいい?」
「ありがとう」
「猫なのに人の言葉を話すのか?」
「……にゃっ」
少しの間のあと、少し照れくさそうに笑いながらそう鳴いた。
鳴けと言えば鳴く、今の
おかしい、普通に付き合っていたころはこんな感情なかったのに。
そんな俺に心配そうな顔をしながら「どうしたの?」と聞いてくる茜を見ると、なにか理性の
「達也?」とさらに心配そうな声を出す彼女を押し倒すと、先ほどやられたように首筋に思い切り吸いついた。
爪が刺さっているんじゃなないかと思うほど強く抱きしめられると、その痛みで一気に現実に引き戻される。
口を放すと、目に涙を浮かべながらも精いっぱいの笑顔を見せながら言った。
「大丈夫、だよ」
いったいどういう意味で言ったのだろう。
痛くないって言いたいのか。
止めなくていいってことなのか。
刺激しないために意味もなく言うこともあるよな。
そんな考えが頭を
「ごめん風呂入ってくる」
頭に置かれた手をどかすと、彼女に目を向けることなく部屋を後にする。
廊下へ出ると、陽菜が楽しそうな笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
まるでなにが行われていたか全部知っているかのように。
「なんだよ」
「どう茜ちゃん飼ってみて?」
「別に……」
吐き捨てるようにそう言った。
実際また関われるようになったのはうれしいが、こんな関係でいいのだろうかというも不安感はいつになっても晴れる気配がなかった。
「その割には楽しそうだったけど」
「何のつもりだよ、いきなり部屋に
「今日から二人の部屋じゃん。だからなるべく一緒に居たほうが仲良くなれるかなって思って」
へらへらと笑いながら「スキンシップも大事だよ。ただお互い傷つけ過ぎないようにね」と付け加えた。
「わかったよ」
適当な返事で切り上げ風呂に行こうとしたとき、彼女は言った。
「責任取る気がないうちは、茜ちゃんをどうにかしようと思わないでね」
凍った刃のように鋭い目から逃れるように視線を
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