不死身の聖女

金木犀

第1話

天井に煌めく、神々の創造を描いたとされるステンドグラス。


壇上の上には誰が入っているかも分からない大理石で出来た棺が、ガラス張りのケースの中に入れられている。




「この少女に、神々の御加護があらんことを――」




そう告げたのは、聖職衣を纏った中年の女性だ。その視線は目の前で跪いている少女に向けられている。




「今までありがとうございました。この教会に神々の祝福があることを祈ります」




返されたのは鈴が鳴るような声。しかし、その声はどこか無機質で、まるで感情の一切を捨て去ったかのようだ。




「本当によく頑張ったわね」


「....はい、私にはこの道しかありませんでしたので」




先程の無機質な声とは違って今度は、どこか強い意志を感じさせる声だ。




「それでは」


「...元気でね、アメリア」




少女、「アメリア」は立ち上がり真っ直ぐに扉を目指す。


女性がどこか名残惜しげに手を伸ばすが、アメリアは振り返ることなく扉の外へ足を踏み出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る