第4話 名探偵
第四話
「ぐすっぐすっ、夏樹先輩優しいですね。あっ私のことは楓でいいですよ」
鼻水が垂れて、せっかくの整った顔が台無しになっている。
「わかった、じゃぁ遠慮なく呼ばせてもらうよ。あと、麗華ちゃんは突っついてこないで」
「うるさいです。調子に乗って性犯罪者にならないように警告してるだけです」
「柳原さんもタメだし、名前でいいよね?」
「呼ばれるのは良いけど、私、基本的には名字で呼ぶことにしてるの。ごめんなさいね」
さすが姫様。そんなことだから友達できなくてボッチなんだよ。
でも、みんなに人気な麗華ちゃんはなんだか寂しいな……おっといけない、いけない。
「ふーん……まぁいっか。そうだ、それで幽霊が見えるって話なんだけど」
「ひっ」
隣から可愛らしい声が聞こえる。
「入院してたとき、毎日じゃないんだけど、なんだか覗かれてる気がしたの」
「それって、看護師さんが見回りに来てるだけじゃないの?」
「私もそう思って仲の良い看護師さんに聞いてみたの。そしたら、その時は別の部屋を見回りしてたっていうの」
なるほど…他に考えられるとしたら……
「他の患者さんが間違って入ってきたとか?」
「でも、退院した後も夜、バイトの帰り道とかでじっと見られてる気がするし!」
「うーん……」
「ね!? 絶対、幽霊が取り憑いてるんだって! 看護師さんも心霊現象がよく起きるって言ってたし!」
感情が昂っているのか、楓は顔をグッとちかよせてくる。それに合わせて麗華ちゃんの表紙もグッと厳しくなる。
「あんまりその男に近づくと祟られるわよ。あと、もうわかったわ竹村さん」
なんですと!? 名探偵麗華ちゃん!?
楓もいきなりの展開にポカンとしている。
さっきまでの怯えていた様子とは違って自慢げにお胸を張っている。あぁ、ドヤ顔の麗華ちゃんも可愛いなぁ。
「今日、バイトはあるのかしら?」
「う、うん」
「今日の夜、真実を暴きましょう」
もしかして、デートみたいなものでは!?
「夏樹先輩、ニヤニヤしてて気持ち悪いです」
「うそっ、……でへへへぇ」
「だ、大丈夫ですか? なんか相談する人間違えたかな……」
「大丈夫よ、それにこの人ほど、いざって時に頼りになる人は居ないんだから」
顔を赤らませて麗華ちゃんがこっちを見ている。うーん、全く身に覚えがないわけではないけど、期待に応えられるかどうか……
「ふーん……って時間ヤバっ! じゃあまた後でね!」
急いで連絡先を交換しバイトへと楓は向かっていった。
「元気な子でしたね。じゃあ、準備があるからまた後で会いましょう。戸締まりはお願いしても良いですか?」
「それは良いけど……夜、危なくないか?」
「ありがとうございます。そのための準備ですから。じゃあ失礼しますね」
身支度を済ませると麗華ちゃんも部室を去っていった。
……よく考えれば、夜2人きりとかデートみたいなものじゃん! どうしよう手とか繋いじゃおうかな! ドキドキしながら帰宅の準備をした。
〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、時間になった。
私服の麗華ちゃんもとっても可愛い。制服以外の麗華ちゃんは久しぶりに見るなぁ。
「なにジロジロ見てるんですか。気持ち悪いですよ。」
いつもだったらこんな罵倒でさえ愛おしいのだが、今は違う。
「変なことしたら潰すぞ小僧。」
夜なのにサングラスをかけてる、イカツイおじさんもセットなのだ。
「ひぃっ! こ、こ、この人誰? 幽霊より怖いんですけど!」
本当にお姫様でボディガードでもいるんだろうか?
「紹介しますね、このコワモテのおじさんは私のお父さんです。」
「小僧、お前が前から気に食わなかった。まさかそっちから会いに来てくれるとはな」
このままでは俺が幽霊にされてしまいそうです。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
美少女探偵麗華ちゃん
いつもありがとうございます。
コメントやPVが増えるごとに感動しております。
次回は明日更新予定ですのでよろしくお願い致します。
いぬお
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