巻かれるゼンマイ編
まずは学校から!
私はさっそく計画を実行に移した。まずは一日の大半を過ごす学校のオルゴールからだ。地下にある機関部への入り口は校舎の裏手にあった。目立つ場所でもないくせに、入り口にはしっかり警備のおじさんがいる。別に怖い人じゃないけど、お願いしたって入れてくれっこないだろう。
私は何か使えそうなものを探して学校の中を彷徨った。狂ったメロディーがあちこちから聞こえる学校を動き回るのは最悪に気持ち悪かった。あっちで聞いたメロディーにやっと慣れ始めたのに、こっちでは違う狂ったメロディーが鳴っている。
酷い目眩に襲われながら、私は職員室にやって来た。すると社会の鈴木先生の机の上に、木でできた外国のお面があったので、私はこっそりバレないようにそれを借りることにした。
不気味なお面を被っておけば、正体がバレることもないから安心だよね?
私はお面を被ると、地下への入り口に向かった。入り口にはやっぱり警備のおじさんがパイプ椅子に座っていた。太ってて、汗をたくさんかいてて、とっても力が強そうなおじさん。
藪の中から警備のおじさんに向かって石を投げるか、それとも大声で助けを呼ぶフリをするか迷ったけれど、他の人が集まると困るから、石を投げることにした。
手作りのパチンコで小石を飛ばすと、見事におじさんのこめかみに命中した。続けてもう一発!
こちらに気付いたおじさんが、カンカンになって追いかけてくる!
「待ちなさい! この糞餓鬼めが!」
おじさんは腰に結んだ警棒を振り回してこちらに走ってくる。私はあわてて茂みの中に隠れて聞き耳を立てた。
「どこに行ったぁ〜? 悪い子どもめ……とっ捕まえてやるからな〜? そこか!!」
「ギャン!!」
どうやら茂みに隠れていた動物がやられたみたい……
こっそり茂みから覗いて見ると、おじさんに尻尾を掴まれてダラリとぶら下がった狸が、頭から血を流してぐったりしていた。
私はそれが自分だったらと思うとゾッとした。いたずら程度であんなに本気でぶつものなの?
私は怖くなったけれど、ここまで来て引き返すわけにもいかない。おじさんの気配に聞き耳を立てながら、見つからないようにこっそりと地下に忍び込んだ。
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