第8話 ドラえもん
「ドラえもんのどこがタヌキなのかしら」
「本人は
『ボクはタヌキじゃない!』などと供述しているようだが」
「むしろあの形でタヌキ型ロボットを自称されたら大いに困惑するわ」
「言うほどタヌキか?っていうまさにその困惑込みでのギャグなんじゃねえの?」
「考えましょう。
彼が本当はなんなのかを。
考えつかなかったらイソギンチャクでピーナッツ噛んでやるわ」
「やめてください」
「つーか本当はなんなのかも何も猫型ロボットだろ。
一応」
「分解したどら焼きの生地を魚型にして戻したら彼はそれをどら焼きと呼ぶのかしら?」
「たい焼きと呼ぶだろうな」
「現在の形状が猫型からかけ離れてしまっている以上、彼は『元』猫型の何かなのよ、残念ながら」
「その理屈だと事故で両耳なくした人も人型じゃないって事にならない?」
「ならないわ。
なぜなら人間要素が他にもたくさんあるからよ。
翻って、ドラえもんの猫要素ってなにかある?」
「ひ、ヒゲとか」
「あとは?」
「ね、猫を集める鈴付き首輪とか…」
「あとは?」
「しっぽ…」
「あのアケコンみたいなやつが?」
「すまんドラえもん…あたしじゃ庇いきれん」
「もともとドラえもんには猫耳くらいしかまともな猫要素が無かったのよ。
だから唯一無二のそれを失った瞬間、彼は猫型ではなくなった」
「そう考えると猫としてはケモミミ美少女以下だったのか」
「猫ではないとハッキリさせた所で本題ね。彼は何型なのかしら。
現時点では電球型、電マ型あたりが有力だわ」
「後者は勘弁してやってくれないか…あいつにも仕事があるんだ」
「ドスケベだわ。
正式には電マは純粋なる健康器具なのよ」
「だからって今更
『ボク電マ型ロボット!』とか自己紹介するドラえもんは故障が過ぎるだろ。
子供が怖がるぞ」
「お手伝い(意味深)ロボットよ」
「やっぱりそういう意味なのかよ!
別に電マとして見ても完成度高くないんだしさぁ、もうドラえもん型で良くねえ?」
「それだわ。
見た目で既存に当てはまらないなら彼の外見に新しい意味をつければいいのよ。
夢型ロボットなんてどうかしら」
「なんか怖い」
「みんなみんなみんな叶えてくれてしまう存在なのよ?
もともと怖いの」
「怖さ基準でつけてやるなよ!
もっとカワイイ系のやつは無いのか?」
「じゃあ森羅万象型」
「話を聞いてなかったのか何でもカワイイって言うオッサンから見た女の悪い癖が出たのかどっちだ?」
「森羅万象マジか↘わ↗い↗い↘。
尊み愛で推し〜」
「女の悪い癖を出そうとしてるオッサンだったか」
「森羅万象型ダメかしら」
「さらに怖さ増してるから。
『ボク森羅万象型ロボット!』なんて言ってくる動く仏像を押し入れに住まわせる気にはなれんだろ」
「このまぁるい頭が陰陽、すなわち万物を表しているんだぁ。
そこにボクの体が繋がってるでしょお?
つまり、万物はボクの思いのままってわけ。
うふふふふふぅ〜」
「具体的に怖さ描写すんな!
やだよそんな奴と友達になりたくないよっていうかたぶん森羅万象型ロボットは人間なんて塵芥としか見てないよ!」
「んもぉ〜しょうがないなぁ下等生物どもはぁ〜」
「やっぱり感じ悪い!
いや待て待て、ドラえもんどこ行った!?
いつ機械仕掛けの神に入れ替わった!?」
「立場が神を作ったのよ」
「たったいま森羅万象型の問題点が明らかになったぞ。
故障を深刻化させるネーミングは禁止だ!」
「彼の能力、いえ所持する道具からすれば妥当なネーミングだと思うけど」
「妥当じゃ困るってこと。
老若男女の愛する国民的キャラクターに似合う意味が欲しい」
「電マ型ね」
「国民をなめるな」
「アナルパール型?」
「電マじゃ物足りないって話じゃねー!
愛敬をよこせ!
ドラえもんの性能を濁しつつ性質を言い当てるような!」
「難しいわ。
かくなるうえは。
………………よし。ほうッ!ほうッ!」
「なにしてんの」
「膣を締めてるわ」
「イソギンチャクでピーナッツ噛もうとしてるっ!
やめてくださいって断ったろやめてください!」
「ほうッ今回は以上よほうッ!」
「よくこれで終われるな」
「あ、ふやけてきた。潰せそう」
「進捗を聞かせろって意味じゃないから」
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