第6話 女のロマン

「男のロマンがドリルなら女のロマンはなんなのかしら」

「別に無いだろ」

「ドリルが男性器の暗喩なら女のロマンはダイソンかしら」

「すごくイヤ」

「女の口マン(くちまん)は吸引力の変わらない唯一つの!」

「シモい」

「とうっ!我が名は口マン!アンパンマンの類いだ!」

「シモではなかったが、どこなのそこ!?」

「言わずもがな上品よ。上の口だけに」

「言われてもわからん」

「はっはっはガパオくん今日もスパイシーだね!」

「なんかエスニックなキャラ付けされた」

「はいここでガパオくんいつものセリフ。

口マンの個性を際立たせるやつ」

「お、おなかすいたよ〜」

「違うわ。ゲッヘッヘ口マンじゃねえか相変わらず牛みてえな乳ぶらさげやがって…可愛がってやるぜ脱ぎな!よ」

「よし、とりあえずメテオスマッシュされろガパオくん」

「口マンのパトロールはダウンタウンの裏路地まで網羅されてるからこんな事は茶飯事なのよ」

「名前はアレだが仕事は生真面目だな…あと世界観が暗い」

「襲いかかるガパオくん。そこへ必殺の口マンバキューム!ずぞぞぞぞ。はいイッて」

「う、うひぇやえやぁ〜ビクンビクン。

…結局女性器の暗喩ではあるのか」

「スッキリしたガパオくんは語りだします。『そうか…進化とは…ゲッターとは…。ありがとうございました口マンさん。これからは働いて税金を納め他人を愛します』」

「賢者タイムってそういう事じゃないと思う」

「そういう事にまでもっていくのが口マンのヒーローたる所以なのよ。

食欲の悩みを解決して平和を呼ぶアンパンマン、性欲の悩みを解決し平和を呼ぶ口マン。どう?ロマンあるかしら」

「ヒーローではあるかも知れんけど、対比がドリルからアンパンマンになった時点で色々違う」

「ライバルキャラも考えたのに。梅毒マン」

「ほぼバイキンマンじゃねーか」

「下の口が濡れて力が出ないわ」

「なに見ただけで発情してんだよ」

「梅毒マンは死ぬほどいい男なのよ。

それでいてコンドーム着けない検査しない避妊しない相手を選ばない認知しないの五無主義者なので街は大混乱だわ」

「口マンってゴッサムシティで活動してんの?それでそのヤリチンとどう戦うのさ」

「今度こそ大丈夫だから!その言葉を信じて毎度毎度体を許す口マンだけど、毎度毎度新しい病院のお世話になって梅毒マンを殴り飛ばすわ」

「今度こそ見かけた瞬間に無呼吸連打決めろ」

「死ぬほどいい男だから憎めないのよ」

「ああ〜敵のリアリティが世界観の明度をどんどん落としていく…」

「口マンは男に騙され女に石を投げられながらも戦うダークヒーローなのよ」

「もうこれバッドエンドしか無いタイプの同人エロゲだろ」

「興味わいたかしら」

「全体的にありがちなネタだと言っている」

「ずぞっぐぼぼぼぼぼぼ!」

「あたしの耳バキュームすんな!」


「というわけで改めて。

女のロマンとはなんぞや?」

「玉の輿とか?」

「魅力的ではあるけどロマンとは言い難いわ。辞典によるとロマン①一般に長編小説を指す。②夢と冒険に満ちた事柄。だもの」

「その定義だとそもそもドリルもロマンではねえな」

「ドリルが長編小説を指している可能性が微レ存…?」

「せめてそこは②だろ!」

「女にとって夢と冒険に満ちた事柄…整形かしら」

「カッコ悪い」

「ロマンの定義から見直しましょう。

辞典によるとロマンチシズム①古典主義・啓蒙主義・合理主義に反抗し、感情・空想・主観・個性・形式の自由を重んじた文学上・芸術上の思潮・運動の一。とあるわ」

「ドリルはこっち感あるね。

気持ちよくてカッコよければ他はどうでもいいって勢いがまさにドリル」

「女が同じ勢いを求める1例を挙げるなら、男を打倒できれば他はどうでもいい現代フェミニズムかしら」

「世界の半分カツアゲするチンピラ勇者が女のロマンか?ついてけねえし、ついていきたくもねえな」

「それだわ。そもそも男の対である必要はなかったのよ。とにかくカッコイイものを使ってカッコよくなればいいんだわ」

「ふむ」

「基本に立ち返ってみましょう。ギガダイソンブレイクウゥゥ!カッコイイかしら」

「ダイソンから離れろ」

「ギガアワビブレイク?」

「女性器の暗喩から離れろ」

「ドリルの対という形式には拘らないにせよ、女のロマンと呼ぶからには女の象徴を取り入れてみたいわ。

おっぱいミサイルとかどうかしら」

「おまえおっぱい飛んでってる女見て憧れんの?」

「ダメ?じゃあお尻ミサイル」

「部位の問題じゃない」

「髪の毛針!」

「鬼太郎」

「霊毛ちゃんちゃんこ!」

「おい鬼太郎!ちゃんちゃんこ着てるのが既にかっこ悪くない!?」

「飛ばす所がなくなったわ」

「まず飛ばそうとせんでいい。

女の象徴飛ばしちまったら残るのは小賢しい現代アートだぞ」

「弾数制限の無い武器でなくてはならないのね」

「武器じゃなきゃいかんのか?」

「慧眼だわ。マツイ棒やレミパンが女のロマンでもいいのよね」

「あたしが間違ってました」

「シャアアアイニングフィンガーマツイぼぉおおおおおおう!隅!サッシ!排水溝ぉおおおおおう!」

「取り返しのつかない事をしてしまった」

「《約束された料理の器》レミ……パァアアアアアアン!!」

「約束された料理はレトルトなのでは」

「なんとか着地できたわね」

「混沌にね」

「今回は以上よ」

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