第19話 遠距離攻撃

「カイルさん……。私一人で安全圏にいるなんて嫌です!」


「ん? 何か勘違いしているようだが、俺も安全圏から出るつもりはないぞ? ペガサスに乗ったままなら、ビッグサーペントの攻撃も届かないし」


「えっ? でも、それならどうやって攻撃するんですか?」


「ああ、エミリアにはまだ見せていなかったか。俺の『ハキ』スキルレベル6を使うのさ」


「ハキスキルのレベル6ですか?」


「百聞は一見にしかず。いくぞっ! はああぁっ!! 『刃気』!!!」


 カイルが振るった剣の先から、光の斬撃のようなものが放たれ、ビッグサーペントへと命中した。


「ギャアアァッ!?」


 ビッグサーペントが絶叫を上げ、大きくのけ反る。


「す、すごい威力ですね……」


「ああ。これは遠距離攻撃のスキルなんだ。これがあれば、水棲型の魔物なんざ一方的に倒せるぜ」


「カイルさんは、本当にいろんなスキルを持っているんですね。羨ましいです」


「ははっ。まぁ、これもエミリアのおかげだよ。いっしょにたくさんの狩りをしてくれたおかげで、こうして新たな力を手にすることができたんだからな」


「えへへ。そう言ってもらえると嬉しいです」


「さてと。さっさとトドメを刺すことにするか。このサイズだと死体は持ち帰れないから、魔石だけになるが……。それでもかなりの収入になるだろう」


「はいっ! ダンジョン発見の功績もありますし、ギルドからもたくさん報酬が出ますよ! またランクが上がるかも!」


「さすがにまだ早いさ。俺はCランク、エミリアはDランクに上がって日も浅いし。だがまあ、もう一つぐらい何か大きめの功績を挙げれば、すぐに上がるかもしれないな」


「おおおっ!」


「とりあえず、今は目の前の敵を仕留めることに集中しよう。と言っても、もう虫の息のようだがな」


 カイルの眼下では、ビッグサーペントが虫の息となっている。

 そして程なくして、カイルは無事にビッグサーペントの討伐を終えたのだった。

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