僕の事件簿

クリーン

第1話 雨での出会い

窓の外では雨の音が鳴り響いている。明日から学校が始まると言うのに、こんな天気じゃ気分も上がらない。何かして時間を潰そうと思うがゲームも飽きてしまった。漫画も読もうと思うが、ある程度までさっき読んでいたから読む気も無くなった。ご飯でも食べようかな~。自宅は二階建てで自分の部屋は二階の方にあり、リビングが一階にある。当たり前だが。僕はベットから起きて、一階に向かった。リビングに行くと、テーブルの上に置き手紙があった。僕はテーブルの方に行き、手紙を手に取った。手紙を開いてみると、母からのだと分かった。

「急に手紙でごめんなさいね。お母さんはちょっと遠くの方へ出掛けないと行けなくなってしまったの。いわゆる単身赴任て所かしら?とにかくこの事をあやに言ったら、一緒に行くって言って聞かなかったの。だから一緒に連れてってます。帰るのは二ヶ月ちょっとになります。少しの期間だけどお父さんと仲良くしてね。 母より」

と書いてある。お母さんは大手企業の副社長で、よく遠くの方に行くのが多々あった。その度に僕の妹で、小学二年生のあやは一緒に付いていった。どんなに遠くでも近くても、グズリながら最終的には付いていった。まぁ僕は構わない。別に妹を憎んでいるわけではないが、まだ小さいからしょうがないと思う。ちなみにお父さんはお母さんと同じく大手企業の社長をしている。夫婦揃って会社の経営をしている。そして今でもテレビで時々取り上げられる程の会社になった。だが、そんな凄い会社の経営を管理しているお母さんとお父さんにはある違いがあった。それが努力の違いだった。お父さんは目の前の所から契約をしっていって、周りとの関係を強くしていった。一方お母さんの方はお父さんと違って遠くの方とも契約を結ぶようになり、お得意の範囲を広めていった。だがお父さんはそんなお母さんの行動に悪いとは思ってはいないが、少し心配をしていた。お母さんはすぐに思い立ったら行動していたので、家族のことをあまり考えていなかった。そんなお母さんを見たお父さんはある時帰ってきたお母さんにあることを言ったと言う。

「ちょっと休んだ方が良いと思うぞ?最近お前移動してばかりではないか?あやももうすぐ小学二年生になるらしいんだってな?あと、翔だって高校生活楽しんでるらしいぞ?たまには子供の顔見て落ち着いたらどうだ?」

とお父さんが言ったらしい。するとお母さんが、

「じゃああなたが行ってくれるの?」

「え?」

「あなたが周りしか見てないから、私が行かないと行けないんじゃない?私だって好きで行っている訳ではないの?当然あなたが言ったとおり子供の顔を見たいのは当たり前よ?親だもの。だけどね、私この前会社の子にこう言われたの。何で遠くの方まで行かないのですか?周りだけだと弱くないですか?会社的にって言われたの。私は言われてよく考えて行こうと思ったわ。もちろんその子にも声をかけたわ。するとその子は、私はまだひよっこなので行きたくです、そもそもこういうのって副社長とかの仕事じゃないですか?って言われたわ。所詮私たちはこういう使われ方なのよ。だからこういう事しかできないの。だから、あなたが行かないのだったら、私が行く。それしかないのよ。私たちには」

その日は二人ともよく眠れなかったらしい。会社の経営者は大変なんだなぁと思った。僕もその話をお父さんから聞いたときはどういう声をかければ良いのか分からなかった。だから、お母さんがいるのは一ヶ月に三回。よくて一週間だった。僕は手紙をテーブルに置いて。台所の方に行った。冷蔵庫を開けると何も無い。いやそれは言いすぎた。詳しく言うと食べられそうなのがあまり無い。僕は冷蔵庫を閉めて、外の方を見た。雨はそこまで強くなかった。

「しょうがない。近くのコンビニでなんか弁当でも買うか」

僕はそう思って、二階の自分の部屋に戻って、部屋着から普通の服装になって。一階の方に戻り、玄関の方に向かった。お気に入りの黒の靴を履いて、傘立てから自分のビニール傘を手にとって、ドアを開けた。外を見ると、車通りもそこまで多くもなく、人通りも少ない。だろうな、ここは田舎と都会の狭間にある所だ。多いときは多いが、少ないときは少ない。なので僕は出かけるときは人通りが少ない方を選ぶ。今日は当たりだった。僕は傘を開いて、コンビニの方に向かった。コンビニまではそこまで距離があるわけではない。だがだからと言って近いわけでもない。なので毎回雨が降った日は傘が必要となる。そう思い歩くとコンビニに着いた。僕は入り口の近くまで行ってから傘を閉じて傘を傘立てに置いた。コンビニの中に行くと、少し温かい。暖房でもつけているのか?優しいなと思った。僕は弁当の売場を見た。よくある米と唐揚げみたいな弁当が多いが、今回は親子丼や中華丼などの丼物が多い。僕はどれが良いのか選んでいると、隣から声が聞こえた。

「あれ?よく見たら翔君じゃない?久しぶりじゃん。どうしたの?もしかしてお昼?」

振り返ってみると、同じクラスの楓花舞だった。舞さんはクラスのなかではトップクラスに入るほどの可愛さを誇っており、その魅力は他校でも噂が流れるぐらいだった。もちろん学校内でも人気は高く、今まで色んな男子から告白されては断ってきた。まさに高嶺の花であった。そんな舞さんに比べて僕はそこまで目立っておらず、女子と付き合う気はさらさら無かった。そんな僕には一つ噂がついていた。それが今この状況でもあるように舞さんと友達、いや幼なじみぐらいの仲ではないのかの噂が出ている。実際僕と舞さんは仲は良いがそこまででは無かった。たまたま話が合うだけだった。まぁ今はそんなのどうでもいい。

「舞さんこそどうしたのですか?もしかしてお昼を買いに?」

「いや~冷蔵庫見たら食べるものがなくての、仕方なくだよ?けど今日は丼物が多いね」

「確かにそうだね。舞さんはどれにします?」

「えー?じゃあ翔君はどれにする?」

「僕?僕は親子丼にしようかな」

「じゃあ私も同じのにする。あ!せっかくだからさ、一緒に食べない?ちょうど家が近いからさ」「え?良いの?逆に迷惑じゃない?僕なんかが行って。ましてや一人で食べたいでしょ?」

「いやそんなこと無いよ?むしろ二人で食べた方が楽しいってもんじゃない?」

「そう?じゃあお言葉に甘えて」

ぼく達は弁当を持って、レジに向かった。一緒に出したので、舞さんがお金を出す前にぼくが早めに出してお釣りを貰ってコンビニを出た。すると舞さんがこっちを見てきた。

「良いの?私の分も出して貰って」

「良いよべつに。家に上がらせてもらうお礼だよ。気にしなくて良いよ」

すると舞さんが微笑んでくれた。

「ありがとね。翔君ってそういう優しさがあるから良いのよね~」

「なになに?もしかして口説いてる?」

「な?!バカなこと言わないで!ほら行くよ」

そういって、舞さんが歩いっていった。僕も後を付いていった。なぜか舞さんの歩きが速く感じる。いつもこんな感じだったっけ?まぁいいや。そう思っていると、舞さんの家に着いた。意外と白とかベージュとかの家かと思ったら黒の落ち着いた家だった。

「あれ?あっけにとられている?まぁ無理もないか。お父さんがね、こういう家が良いって言うからねしょうがなくよ?まぁ今では慣れたけど」

「いや、別にそんなことは…無いけど。なんか意外と言うかノーコメントで」

「なにそれ?!まぁ良いか。ほら入って!」

そういわれて僕は玄関の方に足を踏み入れた。靴も揃っていて、綺麗になっている。早速舞さんが二階に上がっていったので、僕も後を付いて、階段を上がっていった。二階に上がると英語で舞って書いてあるプレートがドアの前にかけてあった。舞さんがそのプレートがかかれているドアを開けた。

「さぁ、入って良いよ」

僕はそう言われたので、腰を低めて部屋の中へ入っていった。部屋の中を見ると、青を基調とした落ち着いたような部屋になっている。すると、舞さんが弁当を出して聞いてきた。

「お弁当温かい?あれだったら電子レンジで温めてくるけど…」

正直弁当は少しだけ冷めていた。だが、余計な迷惑をかけたくないと思ったので、

「いや、大丈夫だよ。温かいから」

「そう?じゃあ私のは冷めているから温めてくるね。ちょっと待っててね」

そう言って、舞さんがお弁当を持ってしたの方まで行った。その間僕は弁当を食べずに座って待っていた。部屋の中をよく見るとベットの近くにはクマのぬいぐるみやネコのぬいぐるみなどが多くあった。机の上を見ると勉強をしていたのか、ノートと教科書が置いてあった。

「やっぱりちゃんと勉強をしているんだな。僕も見習おうかな~。ん?これは…」

手に取ってみると、それは写真だった。しかも二つ置いてある。一つは子供の頃の写真だろうか?やっぱり昔から顔が整っているな。羨ましいな。もう一つを見ると、学校での写真か?よく見てみると部活動の写真みたいだった。だがメンバーの人数が二人しかいないな?うちの高校では部活動を作りたい場合は最低でも三人は必要となる。だが写真を見ると、二人しか写っていない。しかももう一人は…

「お待たせ。お弁当温め終わったよ。待たせちゃったね。さぁ食べようか」

後ろを振り返ると舞さんがお弁当を持って帰ってきた。僕は慌てて写真をもとの場所に戻した。そして何事もなかったかのように自分の弁当の近くに座った。舞さんもお弁当をテーブルに置いて座り込んだ。

「じゃあ食べようか?いただきます」

「いただきます」

そう言いながら、箸を持って親子丼を食べ始めた。いざ食べてみると、ダシがよく出ていてコンビニで売られているとは思えないような味だった。

「う~ん美味しい。これは絶品ですよ。学食でも出してほしいなぁー」

「確かに。これはいいね。けど舞さんだって親子丼作れるんじゃないの?」

「えー作れるかなぁ~。まぁ今度頑張ってみるよ。その時はぜひ毒味を」

「毒味って。僕で実験すんなって」

そう言いながら、箸を進めた。意外と舞さんも僕も速く食べ終わった。

「あれ?意外と速かったね。ごちそうさまでした。器は片付けとくよ」

「良いの?ありがとう」

「良いよ。袋に入れとくから。それより翔君ってさ、部活動やってないの?」

僕はそう聞かれてドキッとした。

「まぁ入ってないかな。どれに入れば良いのか分からなくて結局そのままなんだよね」

「そうなんだ。じゃあ明日から始まるからさ、今のうちに決めようよ!早速だけど、具体的にどういうのがやりたいの?」

「え~?そうだなぁ…運動系は苦手だからパスでしょ。文化系も絵とかは苦手だし」

「そうか~。じゃあ難しいね」

僕は必死に考えた。そのうちにある事が頭の中でよぎった。

「あ!そういえば舞さんって部活動入っているよね?あれって何の部活なの?」

「私?あ、まさか写真を見たね?」

「いや、別に見たくて見たわけではなくてたまたま見ちゃったって言うか…」

「まぁ見られたのならしょうがないか。私はね、最近新しい部活を立ち上げたの」

「その部活動って?」

「それが、探偵部って言うの」

僕は必死に頭の中を整理した。いきなり凄い名前が出てきて驚いてしまった。

「え?探偵部ってことは何か事件を解決していいるってこと?そんな非現実的な事がまさか現実で起きているなんて…」

「まぁそうなんだけどね、まぁその来る事件ってのもね、半分は学校の事、もう半分は学校外のことが来るのよ。だから毎日忙しくて」

「そうなんだ。けど部活って三人からじゃないと成立しないんじゃないの?」

「まぁ今は二人なんだよね。ただこの前先生に向かって休み明けまでには三人にしてみます!って言っちゃったの。私ってすぐにいっちゃうからさ。どうしようかな~って思ってたの」

僕はそう聞かれてどう答えて良いのか分からなかった。下手に頑張ってねって声をかける勇気も無かった。

「そうか。頑…」

勇気を持って頑張ってねって声をかけようと思ったら、舞さんが近づいてきた。

「え?ちょっと近いですよ舞…さん?」

すると舞さんが話し始めた。

「ねぇ、翔君さぁ?良かったらさ、探偵部に入ってみない?この際だから」

「え?僕が?まぁ入って良いなら入りますけど…良いんですか?僕が入って?」

すると、舞さんが笑顔になって僕から離れた。

「良いの?!ありがとう!嬉しいな。じゃあもう部員だね。よろしく。先生には私の方から言っておくね。後は…部長だけなのよね~」

「そういえば、部長さんってもしかしてですけど、あの写真に写っていた舞さんのとなりにいた、あの子ですか?」

「そうだよ?あれ?もしかして苦手?」

「いやそんなことはないけど、ちょっと恐いなぁと思っているだけ」

「そうなんだ。まぁ詳しい話は明日の放課後で。あ!雨も止んだみたい。もう夕方だし早く帰らないと親に起こられちゃうよ?」

「まじかもうそんな時間か。じゃあもう帰るね。じゃあまた明日」

僕は自分の荷物を持って階段を下って玄関の方に向かった。自分の靴を履いてドアを開けると、雨はもう上がっていて水溜まりが多く出来ていた。僕は舞さんの方を向いて、

「じゃあまたね」

「うん、またね。明日も元気でね」

僕はそう言って、舞さんの家を出た。家の方までは意外と距離があった。歩いて帰るには疲れはしないか?どっちでも良いけど。

家に着くと、幸いにもお父さんがいた。

「お、お帰り。友達の家か?」

「まぁそうだな。お風呂は沸いてる?」

「ああ。ちゃんと沸かしといたぞ。先に入って良いぞ」

「そうか。入るわ」

僕は荷物をテーブルに置いて、お風呂場に向かった。服を脱いで、お風呂に入った。シャワーを浴びると、なぜか心が温かくなる。なぜだろう?

お風呂から出ると、お父さんがご飯の支度をしてくれていた。今日はカレーのようだ。

「今日はカレーか。お父さんも料理得意だね。」

「まぁ、レシピを見て作ったがな」

「いやそれにしては凄いよ。いただきます」

食べてみると、とても美味しかった。お父さんのカレーは前にも食べたことがあって、そのときも美味しかった。僕が食べていると、お父さんが話しかけてきた。

「そういえば、この前この近くにあるお花屋さんで取り入れてない花が来ているらしいぞ」

「ほーそうなんだ。それはどうなんだろう?お店の方からすれば迷惑なの?」

「まぁ今んところそこまでお金はかかってないから良いけど、このまま続けば余分なお金がかかってしまうからな」

「ふーん大変だねぇ。さてと、ごちそうさま」

「お皿は洗い場に置いといて。もう寝るのか?」

「いや、少し時間が経ってから寝るよ」

「そうか。おやすみ」

「ああ、おやすみ」

僕はそう言って、自分の部屋に向かった。自分の部屋に入ると、部屋着に着替えてベットに寝転んだ。今日は凄いことがあったなぁ。まさか探偵部に入ることになるとは…。明日から大変な事になりそうだなぁ。もう寝るか、僕は部屋の電気を消して目を閉じた。よく眠れそうだなぁ。


今日起きた出来事が僕の日常を変えていくことを今はしらなかった。そしてこの出会いによって舞さんの日常をも変えてしまうことも・・・


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