第11話 暗闇に閉じ籠ってから 5&6

光より闇を好み

天使より悪魔を好み

血を肉を貪る魔物を好む


太陽を嫌い

人の群れを嫌い

神を憎む


夜を纏い

仮面を被り

偽りの自分を演じる


暗闇が心を落ち着かせ

独りがすべてを封じ込め

闇が彼を支配する


私は彼に魅了され

暗闇へと溶けていく

すべての物が飲み込まれていく


私は彼を愛し

彼は私に何を問うだろう


同じように暗闇を好み

同じように悪魔を好み

同じように血を肉を貪る魔物を好む


同じ空間

同じ暗闇

交わる黒と黒


救われるより

闇に留まりたくなる感覚

腕を切ったときの安定感

暗闇の中にいる心地好さ


私は どうしたらいい?



***



暗い海の底

漂う血の匂い

真っ赤に染まった手

何度洗っても消えない血の跡


切った感触が手に残って消えない

もう どれだけの血を被っただろう

血の香りが体の中まで浸透していく


身体の感覚を奪ってゆく

人の感覚を貪ってゆく


身体が焼けるようにとても熱い

血の海に投げ出されてしまう

心が赤色に捕らわれて逃げられなくなってしまう


目に映るのはたくさんの死体

同じ顔が苦痛で表情を歪ませたまま

体中を切り刻まれて形がない


いつになったら終わるのだろう

私の終わりはいつ来るのだろう

私は誰に殺されるのだろう


取れない血の跡

血色に染まってゆく自分


私はいつ死ぬの?

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