第24話

話を聞くことにした良太だったが、

花蓮の話を聞き始めて後悔していた。


「熊谷君たちみんなに見られてしまった後

時田君と話して一日学校を休む事にしたんだけど

次の日学校に行ってすぐに

みんなに責められちゃって、

泣いちゃったの…

熊谷君となんで付き合ったんだとか

熊谷君と付き合っているのに

なんで時田と浮気したんだとか

全部聞かれて、時田も最後は泣いていたの。」


と、花蓮が暗い感じで話始めた。


「全部俺のせいじゃん。

気まずい、申し訳なさすぎる。」


声にならない声をあげていた。

花蓮の話はその後も続き、


「その日からみんなからの

冷たい目線に耐える日が始まって、

学校を辞めようかと思った事もあったけど

辞める勇気もなくて…

時田君と二人で過ごしていても

私が責めれれてばっかりで

上手くいかなくなっちゃって…

私が悪いから仕方ないんだけど、

心の支えがどこにもなかったの…

そんな時いつも思い出すのは、

熊谷君のことだったの。

熊谷君はいつも

一生懸命に気持ちを伝えてくれた。

私の事を好きって言ってくれたし、

デートにもあんなに誘ってくれた。

なのに私は、一度もその誘いに乗らなかった。

断ってばかりで、自分の事しか考えていなかった

そんな人を裏切った私は最低だし、

裏切られた熊谷君は、

私なんかより何倍も辛いに決まってる。

そう思って卒業まで耐えたの。

熊谷君にも何度も謝りに行こうと思ったけど

学校で会うことは出来ないし、

いつに間にか連絡もつかなくなっていたから…

時田君とは、卒業と同時に別れたんだ。

みんなに見られた日以来

二人で出掛けた事もなかったから

付き合っている感じじゃなかったけど、

周りのみんなに監視されてたから

時田君は別れられなかっただけだと思う。

私は、それでも時田君を好きだったから

付き合っていたかった。

でも、私がした事はそんな簡単には

許されることではないんだって

改めて思ったんだ。

それからは、大学でも目立たないように

生活してた。

社会人になっても同じかな。

だから、

熊谷君に会えたら

ちゃんと謝りたいってずっと思ってたの。

今日は、本当にありがとうございます。

こんな私の話を聞いてくれて。

あの時は本当にすいませんでした。」


花蓮は、対面に座りながら頭を深く下げながら

改めて謝ってきた。

良太は、


「あの時みんなに聞いてからとっくに

許すとかじゃなくて、

逆に申し訳なさすぎるって思ってるし

俺もアプローチが凄すぎたし

強引に付き合わせてしまった。

あの時は四ノ宮さんの話なんてほとんど聞かずに

俺がデートしたいって気持ちだけで

行動してたから

今思えば俺の方が悪いんだよ。

本当にすいませんでした。」


本当に申し訳なくてたまらなかった。


秀人は、何故か号泣していた。


「なんて健気なんだ…

なんて一途なんだ…

シクシク、シクシク。」


と、馬鹿にしてんのかと思うような泣き方で。


しかし良太は

秀人の好きなタイプの女性を

思い出したのだ。

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