第22話

今日は休日で、

ゆっくり過ごそうとしていた良太だったが

会社の同期に誘われ

急遽、遊びに行くことになった。


萩原秀人


秀人とは、同期の中でも一番仲が良く

良く一緒に出かけていたのだ。

今日も急に誘われたが

秀人なら一緒にいても面白いので

すぐに出掛けることにした。


「秀人、今日はどきに行くんだ?」


良太は、

どこに行くのかも聞いていなかった。


「今日は、とりあえず買い物行って飯食って

女の子が多そうなとこ行ってからの

飲み屋コースだな!」


秀人とはいつもそのコースだった。


「またそれかよ!

ナンパもしねーくせに

女の子が多そうなとこ行ってどうすんだよ!」


「見てるだけで幸せじゃん!!!

ナンパ失敗したら俺、泣いちゃうもん!!!」


良太もビビリだが秀人もっとビビリだった。

そんな秀人に


「馬鹿かお前は!

だから彼女も出来ねーんだよ!!!」


「うるせーよ!お前も一緒じゃねーか!!!」


と、いつもの件をしてから

買い物に向かった。



電車に乗りながら良太は


「今日は何買うんだ?」


と、秀人に聞いた。


「とりあえずモテそうな服!!!」


秀人は、アホだった。

仕事はできるが私生活は

ダメダメで彼女が出来ても

いつも振られていた。

理由がいつも


「思ってたのとなんか違う。」


が、多いらしい。

可哀想な秀人だった。

だからいつも男友達とばかり

遊ぶようになってしまったらしい。



電車を降り

街をぶらぶら歩きながら

何を買うわけでもなく過ごし

昼飯を食い

女の子が多そうな場所に向かった。


「女の子が多そうな場所ってどこなの?」


と、聞いてみたが秀人は


「そんなもん分からん!!!

とりあえず歩いてれば女の子がいっぱいだ!

それだけで俺は幸せなんだ!!!」


本当にアホだと思った。

救いようがないアホだが

見ていて面白いからよしとする

良太だった。


そんな事で時間を潰しながら歩いていると

見た事がある女性が前から歩いてきた。

良太は、近付いてくる女性を見て

だんだんと固まり始めた。

そしてロボットのような動きで

Uターンをしようとした時には遅かった。

良太はいつも遅いのだ。


「熊谷君だよね?」


名前を呼ばれてしまった。

秀人がいる手前

無視するわけにもいかず


「ソウダヨ。

ヒサシブリダネ。」


ロボットのような棒読みで

良太は、返事をしたのだ。

ロボットのような返事を返した相手は


一番最初の彼女にして

初めて寝取られた彼女の

四ノ宮花蓮だったのだ。


良太は、今すぐにでも逃げ出したいが

秀人が近くに寄ってきて


「誰だよ?この清楚美人は?

おい誰なんだよ!!!」


と、テンション上がりまくりで聞いてきた。


確かに、

花蓮は今でも清楚な見た目で

美人になっていた。


だが、みんなから責められすぎて

可哀想だとも思っていたので

複雑な気持ちだった。


秀人はテンションが上がり

勝手に自己紹介していた。


「俺、良太の同期の秀人って言います!!!

この後よかったら一緒に飲みいきませんか?

良太とも話がありそうですし?」


本当にマジで余計な事を言いやがった。


「お話はしたいのですが、

熊谷君は嫌がると思います…」


花蓮は俯きながら答えた。


良太の心は


「気まずいよ。

今思うと俺が強引過ぎて

花蓮が断れなかっただけなんだから

責任なんて感じなくてもいいのに

申し訳なさすぎる。」


とは思っていても、

そんな事言える勇気もない。

秀人は、


「大丈夫です!俺が付いてますから!!!」


マジで意味がわからない。

秀人が付いていて

何が大丈夫なのかが。


「大丈夫だよな!良太君?」


秀人の謎のプレッシャーがすごい

目力が半端じゃないのだ。

良太はこのプレッシャーに負けた。


「大丈夫だよ。」


としか言えなかった。

花蓮も


「ありがとうございます!

よろしくお願いします!」


と、断ればいいものを

飲みに行く事を承諾したのだ。

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