第20話

次の日の仕事は、

新規の営業先を回る事となっていた。

新規は、緊張する。

何度か挑戦させてもらったが上手くいかずに

終わっていたのだ。


朝の朝礼でも

新規営業先獲得は最重要案件に上がっていた。

午前中の時間にまず新規を回り

会社に戻り昼を挟んで

午後も新規の営業先回りと

取引先に回る事になっていた。


良太は、午前中に新規3軒を回ったが

明確な返事を貰えずに会社に戻った。


昼飯前に、落ち込んだ顔をしていたら

結城部長に声をかけられた。


「どうしたんだ熊谷?

上手くいかなかったか?」


「そうなんです。

明確な返事を貰えずに終わってしまいました。」


良太は、正直に答えた。


「飯でも食いながら話すか!」


良太の近くにいた、

同期と後輩も一緒食べる事になり

昼飯を食べながら

結城部長は、


「上手くいかなかった事を

反省できることは

とてもいい事だぞ!」


と、言ってくれた。


「だが、反省するだけでは

次も同じ結果になってしまう。

反省したのであれば

その反省に対して改善が必要になる!

どうして決められなかったのか、

明確な返事をすぐに貰えないのは何故か、

その事を考える必要があるな!

例えば、電気屋に行き

冷蔵庫を探していたとしよう。

そこに店員が来て

今は、洗濯機がおすすめなので

洗濯機を見ましょう!と言われたら

お前達はどう思う?」


結城部長は、質問してきた。


「洗濯機はいらないですね?」

「冷蔵庫じゃないなら自分で探します!」


自分の考えを伝えていた。


「そうなるよな!

でも俺達の仕事は、

それに近いのかもしれないな!

営業先の会社が

俺達の勧める商品や商材を

本当に欲しいのかわからない。

欲しい物は自分で簡単に探せる時代だ、

ネットでも簡単にものが買えてしまう。

だから本当に欲しいと

思ってもらうことが大切なんだ!

さっきの話に戻ると

冷蔵庫を探している人がいたら

冷蔵庫のついでに洗濯機もと伝えれば

洗濯機も見てくれたりはするかもしれない。

でも見るだけで終わりだろう。

だが、冷蔵庫を選びながら

洗濯機は何年使っていますか?

洗濯機は横型ですか?縦型ですか?

そして洗濯機に対する今の悩みを聞き出す!

そのお客様の情報を

瞬時にマーケティングをしていき

その悩みには、

こんな機能がついた洗濯機がおすすめですよ!

などと、悩みを解決できる商品を

こちらが提示する。

これで買うかは、お客様次第だが

自信を持って勧めれば

買ってくれるお客様も増えるかもしれない!

だからこそのマーケティングだ!

今の時代には、

情報が溢れている!

その情報を情報のままにせず

知識に、経験に変えなければいけない!

営業先の会社の情報を引き出し

その情報に合った商品・商材を提案して

判断してもらう!

あとは経験だな!

新規10軒回れと言われて

10軒だけ回るだけでは伸びないんだ!

言われたことをやっただけになってしまう。

10軒回れたら15軒

15軒回れたら20軒と

どんどん増やしていかなければ

自分のポテンシャルを測ることは出来ない!

一回経験してしまえば

15軒も行けるようになるし

20軒も行けるようになる!

だから決められた数字は、

最低条件だと思って

その数字を超えた後が大事なんだぞ!

それが経験になり、知識に変わる。

その知識を活かして

相手が今、何を求めているのかを

先読みするように常に意識していく!

先読みして欲しい商品・商材を提示すると

信頼が生まれやすくなる!

そうすれば、自然と取引先になり

取引先の方から、こんな商品・商材がないかを

聞いてくれるようになる!

こちらを信頼してくれるようになれば

いつに間にか数字は伸びていくし、

お前たちの評価にも、

自信にも繋がるんだ!

お前たちは、みんな素直だ!

素直になれず意固地になってる奴を

沢山見たきたがある程度で止まってしまう。

素直な事は大切な武器だと思う!

だからお前たちなら

今言った事なんて簡単に出来るはずだ!!!

俺はお前たちを

信頼しているし、

期待してるから

安心して新規にぶつかってこい!!!」


結城部長は、しっかりと檄を飛ばしてくれた。

みんなも、信頼していると言われて

嬉しかったのか、

やる気に満ち溢れた顔をしていたのだ。








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