第16話
結城部長の話を聞いたあと、
先輩と二人で仕事帰りに
美容室に予約して
すぐに髪を切りに行った。
どんな髪型にするかも全く決めていなかったが、
「清潔感のある髪型で!!!」
と、美容師さんに丸投げした。
「かしこまりました!」
と、イケメン美容師さんが爽やかに言ってくれた。
「こんな感じでどうですか?」
「めっちゃ清潔感出てます!!!
ありがとうございます!!!」
良太は単純だ。
だが、そこが良太の良いところでもある。
次回予約もしっかり入れて
1ヶ月に一回は髪を切ることにしたのだが。
次の日、仕事に行くと
先輩が早速、
結城部長に髪を切った事をアピールしていた。
良太も報告に行くと、
「本当にお前たちは、素直で素晴らしいよ!
髪型もすごく似合ってるぞ!!!」
と、すぐに褒めてくれた。
子供に返った気持ちで
ニヤニヤしてしまった。
その日から清潔感を意識する様になった。
朝起きてから顔を洗い髭を剃る
そして髪型をセットする。
当たり前のことなのだが
清潔感を意識しながらやって見ると
他の人のことも気になるようになったのだ。
寝癖のまま電車に乗っている人や
髭のを整えていない人
髭の剃り残しがある人
色んな人がいる事がわかってきた。
その人達を見て
不潔と思うことはなかったが
もっとこうしたら良いのにとは思ってしまう。
自分のこんな感じに
見られていたんだと初めて気付けた。
清潔感を意識しただけで
見えてくる世界も変わることに
良太は気付き、
毎日気を付けなければと思ったのだ。
意識を変え始める事が
大切だと思った良太は、
次に服装も気になり始めた。
休日に買い物に行こうと思い
私服に着替える事にした。
髪型が良くなったのに
服装が変わらない。
だから、髪型と服装に違和感があるのだ。
今までは、
オシャレにも少しは気を使っていたが
最低限だけだった事に気付いた。
仕事はスーツなので
スーツに合う髪型をしていれば
なんとかなっていた。
だが、私服は違う、
スーツのようなキッチリとした
服は持っていなかったのだ。
「服を買いに行こう!」
買い物の予定に服も入れて出掛けた。
歩きながら、
どんな服装がいいのか考えたのだが
良太にはわからなかった。
「店員さんに聞けばいいか!」
良太は、
わからないことは聞いてしまえば
一番良いと思っていたのだ。
某アパレルショップに入り
聞きやすそうな店員さんに
どんな服装がいいか聞いてみた。
おすすめされた服を試着して
全部買う事にした。
全部買う事もないのだが
良太は、せっかく選んでもらったのだからと
買う事にしたのだ。
服を買い込んだ事で、
帰りも良太は、るんるんだった。
次の週は、
友達と出掛ける予定だったので
新しい服を着ていったのだが
「髪型とは合ってるけど
体型とは合っていないんじゃない?」
と、言われてしまった。
ショックで昼食は、
大盛りしか食べられなかったのだ。
服装が変わっても体型が変わらないと
に合わないようだ。
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