第35話 ハロルド視点4 キャサリンは最強の古代竜をペットにしてしまいました。

翌日ダンジョンに潜る準備をした。キャサリンの装備なども揃える。


キャサリンははしゃいでいたが、キャサリンが本気出せばダンジョンも崩壊するんじゃないかとそれを俺は怖れた。


俺の馬にキャサリンを乗せて走らせると、馬に乗せられるのは初めてみたいで、本当に固まって必死に掴んでくる。こんなので冒険者なんて絶対に無理だろう。


目的地に着いて地面に降ろした時はもうヘロヘロで、地面にぺたんと座り込んでしまった。


「もうダメ」

なんか叫んでいけど、俺の手にもはっきりとキャサリンの手型がついているんだけど、どれだけ強く握っていたんだか?



しかし、魔物はダンジョンの外にまで出ていたのだ。


「危ない!」

その時、キャサリンの後ろに現れたゴブリンを倒すために、ナイフを投げる。

「ヒィ」

固まったキャサリンの横をナイフが通過してゴブリンに命中した。

「ギョエーーー」

後ろではゴブリンが胸にナイフを突き刺されてゆっくりと倒れた。


「敵襲」

「魔物が攻めてきたぞ」


直ちに大声で騎士達が叫んで、戦い始めた。

俺はキャサリンを後ろに庇う。

俺は次々にゴブリンを退治していった。

ゴブリンの集団はあっという間に殲滅させられていた。



「いやあ、みなさんの戦っておられるのを見て、とても参考になりました」

キャサリンがしおらしく言うが、こいつは見ていただけだ。まあ、いきなり暴れられて全員が吹き飛ばされても仕方がないのだが。


「ふうん、そうかよ。じゃあ今度からは自分の身は自分で守りな」

俺は突き放してみたが、

「ケチっ、それだけ剣が出来るんだから、やれるところはやってくれたらいいじゃない」

キャサリンがいう。


「ケチって・・・・」

何だ・・・・俺は絶句していた。


「キャサリン様、若。痴話喧嘩はそのくらいにして、ダンジョンに参りますぞ」


「エイブ、これは痴話喧嘩ではないぞ」

「そうです。ハロルドがケチなだけなんです」

エイブさんの言葉に文句を言うが、エイブたちは無視して、全員で一団となってダンジョンに入っていった。


しかし、まあ、出るわ出るわ次々に魔物が出てきた。


何故これだけ魔物が出てくるんだ?


俺の疑問の答えは巨大な洞窟の中にいたのだ。



「ギャオーーーーー」

そこには巨大な古代竜がいたのだ。


「危ない。散開しろ!」

俺はみんなに命じていた。


しかし、古代竜は圧倒的に強かった。


俺たちがいくら戦おうがびくともしないのだ。


そんな中、古代竜が一番弱そうに見えるキャサリンの真横に着陸して鼻息でキャサリンを弾き飛ばしたのだ。

慌てて立ち上がろうとしたキャサリンに古代竜がニヤリと笑っているのが見えた。


こいつ遊んでいやがる。


「キャサリン!」

俺は大声とともに古代竜めがけて駆け出した。

俺は必死だった。いくらキャサリンの障壁でもこれは無理だ。

俺は必死に氷魔術を発動して、氷の槍を古代竜に次々に叩きつける。

しかし、古代竜はビクともしない。


「ガオーーーー」

俺の必死の一撃も古代竜にハエでも叩き落とするように、前足で叩き落されたのだ。


俺は地面に叩きつけられたショックのあまり、もう立ち上がれなかった。



「もう許さない。私のハロルドに、よくもやってくれたわね」

キャサリンが切れていた。

いくらキャサリンでも無理だと俺は思ったのだ。

しかしだ、キャサリンは古代竜の横っ面に障壁で殴りつけたのだ。


ズッコーーーーン!


絶対王者の古代竜が横の崖を破壊しながら頭から突っ込んでいった。


嘘だ! キャサリンの障壁が効いたのだ。俺は唖然としてみていた。



「ガォーーーー」

怒りのあまり、目を怒らせ、頭を振りながら古代竜はキャサリンに突っ込んでいったのだ。


逃げろと俺は心の中で叫んでいた。今度は無理だろうと。でも、必要は全くなかったのだ。


キャサリンは障壁のアッパーを古代竜にもろに食らわせて、上体を起こすと、左右に障壁を展開、

左右からパンチを浴びせてサンドバック状態にしたのだ。そして、最後は渾身の力を込めて巨大古代竜を地面に叩きつけたのだ。


ドカーーーーン


凄まじい大音響とともに古代竜は次の瞬間地面に頭から叩きつけられて、埋め込まれたのだ。


古代竜がキャサリンに破れさった瞬間だった。


しかし、長生きしている分古代竜はあざとかった。


なんと次の瞬間縮小して見た目は可愛いペットみたいになったのだ。


そして、その生き物は、気絶したキャサリンに向かって尻尾を必死に振っていたのだ。

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