ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語
第22話 怒り狂った私は障壁で敵の大軍を弾き飛ばしてました
第22話 怒り狂った私は障壁で敵の大軍を弾き飛ばしてました
私は寝ぼけ眼に起き上がった。
「ウーーーー!」
龍ちゃんが外に向かって唸っている。
そこにノックの音がした。
「キャサリン、起きたか。なんか変だ」
「ちょっと待って、着替える」
仕方がない。
私は着替えようとした、時だ。
「ギャッ」
という声とともに、剣戟の音が響いた。
これは緊急事態だ。
「大丈夫か」
ハロルドが飛び込んできたのだ。
私は上を脱いだところだった。
「エッチ、変態」
私は思いっきり机の上の本をハロルドに投げつけていた。
「すまん、非常事態だ」
本はハロルドに命中したが、ハロルドが私を見ないようにして剣を抜いて言う。
私は仕方なしに、上着だけ着る。
そして、そのまま靴を履く。
「どうなっているの?」
私がムッとして聞くと、
「エイブ爺らは脇道から領内に放火を始めた敵の本体を攻撃に出たんだが、別働隊が攻め込んできたらしい」
剣を抜いて、扉の外を伺いながら、ハロルドが言う。
「敵の数は」
「全くわからん。まだ中にはそれほどいないはずだ、取り敢えず、外に出よう。最悪、逃げたほうが良いだろう」
ハロルドが言う。
「判ったわ」
取り敢えず、ハロルドが外に出るといきなり兵士が斬りかかってきた。
それを躱してハロルドが一刀のもと斬り伏せる。
「やばい、ここまで来ているということは、もう城門も破られたのかもしれん」
ハロルドについて部屋の外に出る。
廊下は血の海になっていた。私にお湯を持ってきてくれたポニーテイルの侍女も胸に剣を突き刺されて死んでいた。
私はそれを見て、プッツンキレた。何も非戦闘員を殺すこと無いだろう。
もう許さない!
私はやってやることにしたのだ。幸いなことに私は神から史上最強の障壁、ただし、3分間だけを与えられている。こうなったら3分間で片をつけてやる。
なんとか階下に降りて、外に出た時だ。城門が開けられて、そこからは大軍が中に入ってこようとしていた。
「ハロルド、最悪、私をおぶって逃げてね」
私はそう言うと、入ってこようとした、敵兵に向けて飛び出したのだ。
「おい、待てキャサリン」
「ウォーーーー」
私は慌てて止めようとして叫んだハロルドの声を無視して雄叫びを上げて駆け出していた。
丸腰の寝間着の女が飛び出してきたのだから兵士たちは驚いただろう。
馬鹿にした男たちが剣を抜いて私を制止しようとした。
ふんっ、愚か者、私は3分間はウルトラマンになるんだよ。
「行っけーーーー」
剣を向けた笑った男たちに向けて私は障壁を全開にした。
「ギャーーーーー」
一瞬で前にいた兵士たちが、吹っ飛ぶ。
文字通り瞬殺だった。
巨大な障壁の壁に激突したのだ。
「行っけーーーー」
私の叫び声とともに、どんどん障壁は敵軍を弾き飛ばしていく。
何しろ私の障壁は3分間は完璧だ。感知できる限りの兵士たちを吹っ飛ばしていく。
城門を突破した私の障壁は城門に沿って展開。
そのまま一気に敵兵をもと来た所へ追い返すように吹っ飛ばしだしたのだ。
途中の木も林も何もかも関係なしに弾き飛ばしていくのだ。
林の中に展開していた敵兵も関係なかった。根こそぎ吹っ飛ばしていく。
それも凄まじいスピードでだ。
障壁の光を見た兵士たちは次々にな弾き飛ばされて行った。
「この女ーーー」
私の周りに剣を抜いて後ろから斬りかかってきた男たちは、ハロルドが相手をしようとするが到底追いつかない。しかし、後ろから駆けて来た兵士たちも私は瞬時に弾き飛ばしていた。
ふんっ、こちとら3分間だけは無敵なのだ。今度はカラータイマーをつけようかと馬鹿なことを一瞬思う。
なんか敵兵の数が馬鹿みたいに多いような気がするんだけど。元々、二千人って聞いていたんだけど、これは1万人はいるんじゃ・・・・。
それ以上いるみたいだ。
なんか立派な鎧を着た男もいるみたいだったが、そんなのは関係なかった。
その時だ、私の感覚が、私の障壁に驚いて棒立ちになる敵軍のボスらしきものを感知した。
「よし、行けーーーー」
私は最後の力をもって障壁をその男に叩きつけてその男を弾き飛ばしたのだ。
そして、そこで意識が飛んでしまった。
「ガォーーーーー」
その薄れる意識の中で龍ちゃんの雄叫びが聞こえたのだった。
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