第17話 暗黒街の親分視点 古代竜を怒らせて、伯爵邸は崩壊しました

俺の名前はビル・カーソン、ロンド王国の王都の暗黒街を仕切っている。


2年前からだ。

そう、俺はその頃の暗黒街のボスに命を狙われていたのだ。

俺はいちびって色んなことをしすぎたのだ。ボスの女に手を出したのがバレてボスの逆鱗に触れてしまったのが最後だった。その女はボスの怒りを見るとあっさりとボスに乗り換えやがった。俺は何も知らずに女のところに行ったら、そこにボスが待ち構えていたのだ。


間一髪で川に飛び込んで難を逃れたが、俺はナイフで刺されてもう、虫の息だった。


やっとの事で上がった岸で、俺をピンク頭の女がニヤリと笑って見ていやがったのだ。


こいつに通報されるのか。


俺は年貢の納め時だと思った。


その女が手をかざしやがったのだ。そして、


「ヒール」とやくざ者のの俺なんかのために聖魔術をかけてくれた。俺は命をこの聖女に救われたのだ。俺の命の恩人だった。


礼を言う俺に


「礼を言う前に、さっさと暗黒街のボスになって頂戴。それからあんたには働いてもらうわ」

と聖女アデラはいいやがったのだった。


俺はどのみちこのままでは死ぬしか無い。


俺を裏切った女もろともボスを殺して、俺は暗黒街のボスになったのだ。


アデラの依頼はえげつないものが多かった。


真面目なシスターを傷物にしろとか、伯爵を借金地獄に落とせだの、その妻を娼婦にしろだの・・・・人間としてどうかという内容のものが多かった。


俺が躊躇すると、


「なんだ。あんたもここまでの男なの?」

と、しなだれかかってきて、言いやがるのだ。


「何だと」

切れた俺はアデラに襲いかかったが、それもこれもアデラの手の中で踊らされたって感じだ。


俺はアデラを俺のものにしたが、それもアデラの計画通りという感じだった。


そう、暗黒街のボスの俺が、どちらかというとアデラの男の一人という感じだった。


アデラは俺に聖人と呼ばれていた教会関係者を暗殺させて、教会組織を陰から乗っ取って、教会を掌握、いつの間にか王太子の心と体まで手に入れていやがった。


そして、最後の仕上げとして、婚約破棄した公爵令嬢のキャサリンとかいう女を俺たちに襲わせて、娼館に叩き売れとのことだった。



でも、そこでさすがのアデラも躓いたのだ。


その公爵令嬢の反撃を受けて厳しい修道院送りになってしまったのだ。


別れ際にアデラから指示が来た。


その令嬢を慰み者にして二度とお天道様の下を歩けないようにしてと。


令嬢はハロルドなんて剣技に長けた男を護衛にしたので、やむを得ず、山賊共に依頼したのだが、その山賊共が殲滅されたのだ。


俺は驚いた。100名以上いたのに、壊滅させられている。


まあ、山賊がいなくなったのは、俺たちの勢力を他国まで伸ばすチャンスなんだが。


しかし、公爵令嬢を処分するにはあのハロルドという男が邪魔に思えた。


俺は行き着いた伯爵邸で襲うことにしたのだ。


伯爵はベルファストの暗黒街に借金があって、それを帳消しにしてやるとの交換条件で俺たちの依頼を話した。


まあ、コチラも出費がかさんだが、伯爵家は今後のベルファストでの拠点になりうる。


20名で乗り込んだ俺らは、その令嬢を騎士らもろとも、眠り薬で眠らせたのだ。


公爵令嬢は、さすがロンド国のシェフィールド公爵家の令嬢だけあって美人だった。


騎士達を縄で縛った俺たちは、その公爵令嬢に襲いかかろうとした。悪魔のアデラは20人全員で令嬢を犯せとか悪魔の命令をしてきたのだ。


伯爵もそういった事は好きみたいで、遠縁の令嬢を犯す仲間に入れて欲しいと宣ってきた。伯爵でもゲスなやつはいるのだ。




まずは俺が味見しようと令嬢に近づいた時だ。


その時は令嬢の胸の中から緑の犬みたいなのが出てきたのだ。


「なんだ。犬を胸の中に入れていたのか?」

「そんなに、この犬が大事なのか」

俺たちは大笑いした。


犬は俺たちに向けて牙を出して威嚇してきた。


生意気な。


俺は犬を思いっきり蹴り倒そうとした。いや、蹴ろうとしたのだ。


しかし、それは鋼鉄みたいに硬かったのだ。


「ギャーーーーー」

俺は足を思いっきり痛めて、その足を掴んで叫んでいた。


俺は地面をのたうち回るハメになった。。


犬はそんな俺を見てフンっと馬鹿にしたように見下しやがった。


もう許せねえ、


俺はナイフを振りかざすとその犬ころを突き刺したのだ。


バキンッ


しかし、なんと剣が折れてしまったのだった。


「えっ」

俺は固まってしまった。


次の瞬間俺は犬の前足で叩かれて、建物の壁に突き刺さっていた。


まさか、俺様がロンド王国の暗黒街のボスの俺がこんな犬ころにやられるなど信じられない。


しかし、犬ころは「グォーーーーー」


と咆哮するとみるみる大きくなって強大古代竜になったのだ。伯爵邸を壊しながら。



俺はただただそれを見るしか出来なかった。


死ぬ間際に大音響の古代竜の咆哮が響き、次の瞬間伯爵邸は崩壊していた。


そして、俺の頭上に古代竜の足が振り下ろされたのだった・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る