王国宝2 王珣を阻む

司馬道子しばどうし配下の一人である王徽おうきが、王國寶おうこくほうに宴会に同席するよう誘ってくる。王國寶は普段から酒の席にても驕り高ぶっていたため、尚書左丞しょうしょさじょう祖台之そだいしに向けて袖を払って怒鳴りつけ、更にはお盆や杯、果てには楽器などを祖台之に投げつけた。祖台之は敢えて抗弁をしなかった。こうして王国宝は再び褚粲ちょさんより弾劾を受けた。


ここで詔勅が下る。

「王國寶は性分のまま暴走しすぎである。このような者が長ずることなぞできはしまい。とは言え祖台之も懦弱であれり、監察官を勤め上げられるだけの強さを期待することもできぬ」

こうして両名ともに免官となった。


とは言え、間もなくして復職。この頃、いよいよその横暴ぶりが度を超すようになった。皇帝の住まう清暑殿せいしょでんの隣に建物を建てたりなどし、孝武帝はますますそのつけあがりぶりを嫌うようになった。それを聞いた王国宝は恐れ、孝武帝にこびへつらい、今度は司馬道子との関係を疎かにするようになった。これに今度は司馬道子が激怒。內省ないしょうにて王国宝と出会ったときに正面切って面罵し、剣を投げつけてくる。ここから両名の旧交は途絶えた。


この頃王雅おうががまた孝武帝よりの寵を受けていた。その王雅が孝武帝に王珣おうしゅんを推薦する。孝武帝は夜、王国宝や王雅とともに酒宴を開いていた。孝武帝は少々酒が入った状態で王珣を召喚せよと命じる。間もなく王珣がやってこようか、と言うタイミングにいたり、王國寶は自らの才覚が王珣に下回っていることを自覚していたため、王珣の登場によって孝武帝よりの寵を奪われることを恐れ、言う。


「王珣はまさに今の名流。酒を帯びて面会するものでもございますまい」


このため孝武帝は面会を中止した。そして王国宝のこの言動を忠義あるものであると称えた。こののち王国宝の娘を司馬徳宗に嫁がせようという話が出たが、その話がまとまるよりも前に孝武帝が死亡した。




後驃騎參軍王徽請國寶同宴,國寶素驕貴使酒,怒尚書左丞祖台之,攘袂大呼,以盤盞樂器擲台之,台之不敢言,復為粲所彈。詔以國寶縱肆情性,甚不可長,台之懦弱,非監司體,並坐免官。頃之,復職,愈驕蹇不遵法度。起齋侔清暑殿,帝惡其僭侈。國寶懼,遂諂媚於帝,而頗疏道子。道子大怒,嘗於內省面責國寶,以劍擲之,舊好盡矣。

是時王雅亦有寵,薦王珣於帝。帝夜與國寶及雅宴,帝微有酒,令召珣,將至,國寶自知才出珣下,恐至,傾其寵,因曰:「王珣當今名流,不可以酒色見。」帝遂止,而以國寶為忠。將納國寶女為琅邪王妃,未婚,而帝崩。


(晋書75-4)




おいおいなんだこの都合のいい悪もんは……一部エピソードに「いかにも悪役になるよう余計な属性をゴテゴテ付け加えた」にしか見えねえぞこれ……ここに書いてあるような人間をどうしてそんなホイホイ復職すんだいいかげんにしろ。えぇえ、王国宝伝、マジで信じる気になれない……よっぽど王恭司馬道子どっちにとっても不都合な人間だったとまでしか想定できない……と言うか王徽と祖台之なんで登場したのここ? 話の筋があんまりにも見えなさすぎてわろた。Zhウィキさんも王徽まわりの話スルーされてました。まぁやむない。


ともあれ、

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054885731454

ここに最後の王珣面会にまつわるエピソードが載っています。斠注は王愉の所でドチャクソ楽しい注を付してくださったのに、何故かここでは文字の異動しか教えてくれません。いや確かに一文字の異動で微意が変わったりとかもありますけど、それにしたって、もうちょっとこう……。

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