二階堂虎珀と奇妙な体験

カンツェラー

第1話 白いドレス

私の名前は、二階堂琥珀(こはく)、30歳独身だ。

普段は某投資会社に勤めている。

これは、最近私の身に起きた奇妙な話だ。


ある日の週末、

私は、地方の古城のカフェに息抜きしに車を出した。

心地よい初夏の風と木々の隙間からもれる日を感じながら、

私は目的地の古城カフェに到着した。


日本にもこんな歴史感漂う古城が地方にあるのかと感動した。

カフェで紅茶とケーキ、レーズンサンドを嗜んだ後、

食後の運動にもと思い、その古城を散策することにした。

お店公認の散策エリアをプラプラと歩く。


鳥のさえずりに癒されていた時だった。

遠くで綺麗な白色のドレスを着た女性が横切るのが見えた。

気の向くままにそちらに向かうと、上階へと続く階段があった。

少し迷ったが行ってみることにした。


二階には、長めの廊下があり、随所に部屋があった。

興味心で廊下を歩く私。

通り過ぎる各部屋にさりげなく目をやりながら突き当たりまできた。

白いドレスの女性は、見当たらなかった。

少し残念に思いながら来た道を折り返す。

始めの階段まであと二部屋までの所まで来た時だった。

視界に一瞬、白いドレスが映った気がした。

付近の部屋を覗くが、女性の存在はなかった。


気のせいかと再び残念に感じて階段を降りようと曲がろうとした時だった。

階段の正面の部屋の真ん中の大きな鏡の中にその女性はいた。

恐怖心は、全く感じなかった。

彼女の容姿は端麗で、それは見事な美しさを見せていた。

彼女は、私と目が合うと優しく微笑んだ。

私は、一瞬時が止まるのを感じた。


「ここ上っていいのかな〜?」

「んー、どうだろ」

下の階で若いカップルの話し声が聞こえた。

それにハッとして、もう一度鏡を見たが、彼女はもういなかった。

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