第14話 日常生活

 雨が降り続く毎日。

 元々が砂漠の地であったために、いきなり大雨を降らせてしまうと大洪水を起こしかねない。

 王都内は周りの水堀があるので平気である。

 だが、王都の外側に関しては災害にならないよう、慎重に水の加護を与え続けていた。


「……お嬢様。突然ですが明日、玉座の間にて国王陛下主催の表彰式を行うことが決まりました」

「国王陛下主催? もう身体は回復されたの?」

「そのようです。お嬢様はご出席をお願い致します」


 なるほど、誰かが表彰されるのであれば喜ばしいことだ。


「分かったわ。私も表彰される方のお祝いをしっかりと見届けて──」

「……いえ、そうではなくお嬢様の表彰です」

「え!? 私が表彰?」


 国王陛下に表彰されるようなことに心当たりがない。

 カルム様とは毎日のようにお会いしていたのでようやく慣れてきたが、国王陛下とは未だにお会いしたことがない。

 病気だったそうで、顔を出せなかったそうだ。


「……王都中を活気づけたのだから当然の成り行きかと。式用の服を用意したいので、早速ではありますが準備の方を」

「それは聖女としての義務を果たしただけで表彰とは別の気もするのだけれど──」

「……任務がどうこうというよりも、お嬢様が王都を救ったことは事実。誇っていいと思いますよ」


 とは言われても、誇れるほどじゃない。

 まだ救えているのは王都だけなのだから。

 カサラス王国全てに水の加護を与えるにはまだまだ時間がかかる。


「……うーん、やはり正装となるとお嬢様の魅力を更に引き出すためには……うーむ……」

 イデアはパーティーのドレス選びのときと同じように、あれでもないこれでもないと真剣に考えてくれている。


「別にそこまで考えてくれなくても良いのよ?」

「……ダメです! 公の場で皆が見るのです。お嬢様に一番似合う格好を選ばないと」


 今までこれほど私のために、真剣になって考えてくれる付添人がいなかったから嬉しかったのだ。


「……あぁー、これも違う! お嬢様が可愛いから余計に難しい。正装選び、ここまで難易度が高くなるとは……」


 聞いてて恥ずかしくなってしまった。

 衣装選びに長い時間をかけ、ようやく決まったときには、私自身も驚いてしまうほど可愛らしいコーディネートだったのである。

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