第71話 猫目線(16)

 見ていて欲しいにゃ。


 きれいにしなくても、白猫にまた見てもらうことが黒猫の望みなのだ。

 やわらかいのを待ちながら、見るともなく見ているとぼーぅと考えてしまう時間が生まれていたのだが、足音でドアに注目する。


 いたのにゃ。


 ゴロゴロと喉をならして、手があたるのを受け流しガサガサとなる袋をちらりちらりと見ている黒猫。


 くださいなのにゃ、くださいなのにゃ。

 ……ぬっ、あっちいくにゃ。

 まつんにゃ。


 目ざとい猫を牽制するため、黒猫はやわらかいのを持ってる人間をぐるりぐるり、包もうとしている。

 その行動で、しばらくは近寄らないよと目ざとい猫が距離を詰めるのをあきらめた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る