第72話 経過

 朝、始まりで続き、どこから続いてるとも分からないのに。

 真新しさのない朝が始まりの続き。

 私達の時間は猫の時間以外は、普通に過ぎてゆく。

 猫が裏庭で見せてくれた時間の続きだけが簡単ではないことのようで止まって感じる。

 簡単に感じられるのは、進まそうと考えたこともない流れる時間だけだと思う。

 私が彼女のことで考えもしない何か、という漠然とした何かを損ない続けているなら失っている時間は止まればいいと思う。

 これ以上の変化を望まないという、殺人の理由を聞いた日に感じなかった何かが今、身体の内側にあるようで……手のひらが、ざらついた。

 

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