ソライエ

シッケ◯

遡る前に、切れた

革靴を履きいつもの様に部屋を見渡し、扉を閉める

そして外で靴紐を結び持ち物を確認


小声で

着替え、オッケー

ハンカチ、オッケー

スマホ、オッケー

イヤホン、オッケー

定期、、、あれ?


カバンをあさり、10秒ほど、


奥の方に見つけた

焦った、よしオッケー


外から部屋に向かい


行ってきますと一言


団地の一室、皆が起きるより少し早く家を出る

この時間なら座れるからだ。


少しでも寝たい、

色々昨日は有った、寝不足だ。


暑いのはしんどいし応える、とポツリ



営業先に赴いてからの出勤の為会社には午後着だ。


会社につくやいなや、汗で濡れた服をロッカーで着替え、ベタベタの服をジップロックに入れ、着替えのインナー一式と、ポロシャツ、スラックスに


よし、スッキリした、


エアコンの効いた部屋につき、デスクの椅子に座りもたれかかった途端、眠気が


あー、ヤバい

涼しいと眠気が、

あー、メールこんなに来てる

もお〜

サイバー攻撃されないかなぁ、

そしたらメール見ないで済みそう


えへへ

不気味に一人笑って



現実に戻ると


眠気と戦いながら、メールとにらめっこをし、重要度順に並べてると…



高貴さ〜ん

高貴さ〜〜ん!


広いオフィスに大きな声が響く


俺は見渡すと、


ごめんねなに?っと少し声を張り答える


声の主である彼のデスクからこちらにヒラヒラと手のかざしノシノシ


真夏なのにカーディガンを羽織、華奢な大男が此方に来た


前田さん呼んでますよ!なんか緊急らしいですよ、又社長に可愛がられて、ずるいですよね〜!


なんで僕じゃないんですかねぇ、良いですねぇ、お幸せにですねぇ、


いや、仕事滞るから嫌なんだよあの人にあうの、この前もしっかり残業になって…、


あー、ハイハイそうですか話し込むほど仲良しですもんね!はよいけよと言わんばかりに雑に背中を押され催促された


理不尽なジェラシーに、だんだんイライラしながら



しぶしぶ、い・つ・も・の。

37Fの社長室へ向かう。

扉を開けると他の部屋よりエアコンが効いてないのか少し蒸しっとした空気が出迎えた


奥の大きなデスクのパソコンで作業して居る彼女がいる、肩まである黒髪をゆるっとパーマにしており、スラッとキレイなモデル体型の女性に対して、


はい、社長、


来ましたよ。


開口一番に、素っ気ない一言を浴びせた




あ、高貴?

・・・・・・なにそのかお。


笹本から聴きました。

緊急って。


いや、大したようじゃ無いだろうなって

(また探るんだろ下らないこと。)



あぁ、たしかにあなたにとってみたら大したことない事かもねぇ。


飄々と話し始める前田さん、この人前置きめっちゃ長いんだよなぁ。


高貴はさ、寂しい時どうしてるの?


不意に訪れる、悲しみの延長だったりとか、楽しみにしてたドラマとかシリーズ映画が終わっちゃった時とか、お気に入りのアーティストが活動休止、解散なんて時、恋人と喧嘩した時、別れた時。


家族と離れて、ホームシックになったときとか

身内がなくなった時

ありもしないことを、SNSで誹謗中傷されたときとか、


ペットの死なんて私は無理ね、目の前で亡くなられたら、ご飯も作れないし食べれないし慰めてくれる人も居ない…


肌も荒れてこの美貌もあっという間にかわりはてるのね。

あ~辛いから、貴方が召使になってくれるしかないわね???


いや、何で召使いなんですか?

最後とりあえず手近な俺を雑に誘っただけで、感情がこもってませんよね?


華麗にスルーされると


で?どうなの?


軌道修正して来た


寂しい時、貴方は何をたよる?

何を考える?


しばらく真面目に考えた、言いたくないのでペットの話も出たことだし適当に嘘をついた。


猫を愛でますね。かわいいんですよ、うちの猫、足下ですりすり甘えてきて、オヤツとか寄越せってつぶらな・・・、


高貴、

おい、


なんです?


この前犬って言ってなかったっけ?


犬も、


へぇ。


犬の名前は?



…ハチ、

猫の名前は?

……オム、


あなたこの前犬の事、ポチって言ってなかったっけ。


・・・。


いつものことじゃないですか

前田さん


強めに息を吸い、こう切り返した。


心が、


遮るように前田さんはこう返した、


部屋が狭いけど心は広いから飼えるって?

渇いた笑いが場を包む。



まだ、何も



ごめんなさい嘘です、

耐え切れずにバレているであろう雑な嘘を自白してしまった。


高貴さぁ、

いつも思うけど何に怯えてるの?

あ!あてようか?

ニッコリとその笑顔見せつけるかのように俺を覗いてきた

そして、こういった。



家族に怯えてる?


 


震えた、そして言葉が出て来ず


思考をしようとする


怯えてる?



なにに?

なにが?



動揺をする俺をジッ、と見る

目付きが全てを見通す様に、入り込んでくる

何時ものクセで不意の一言に押し黙ってしまう、

おそらくポーカーフェイスとは無縁の俺は顔がみるみる曇っていく。




あ、ごめんごめんビックリさせたね、違かったのかな?ニッコリとこっちを、改めて見てくる



じゃあこうかな?

人差し指を立て、

こう放った、



リアルな別の自分を見たとか、


夢で


この人は本当にいやだ、

いつもいつも俺の心に土足で入り言いたくもないところまでも掘り起こし、かき乱すかき乱しまくり怒りにも似た悲しさを想起させる。


で?


はい?


だから、なにを思ってる?


いや別に別に何も、

歯切れ悪く下を向く、


スッと近づいて耳元で囁く


私は貴方に興味があるの。



ドキッとしながら考えた


前田さんはキレイだし、とても穏やかな清楚な人だでも、ソレは表だった顔だ、中身?比喩が思い浮かび難い、探求心?探究心?それを向けられた人は俺以外に居るのか

どちらにしても脂汗が止まらないほどの圧が来る、美人な方にここ迄迫られたら、普通は嬉しいが俺はいつもいつも逃げたくてしょうがなく、どうしようもなくくだらない嘘をついて誤魔化してしまう、そこで引いてくれるのは、この人はある意味楽しんでいるとも言えるが、今日は変に図星をつかれてしまい現在に至る訳だ


変な思考が止まらなくなる


(いや、いや、いや。

え、なんで?)



察しの良い、いや、感の優れた人が居たとして

それは嬉しい事か?


しかし普段からそんな事に誰が考えを巡らせるだろうか、答えのない答えが幾つもやって来る


過去をこの一瞬にいくつも思い出し自己嫌悪が止まらなくなる 




それもコレもあのときの夢が始まりだった、




認識してしまったがために、


過去を思い辿り、

遡る事は兎に角不毛だと思う。

しかし、それをしないと前に進めない状態になった時


どうしたら良いのだ。

目の前の彼女は


ニヤリと笑い


こう言い放った






貴方私の家族になりなさい。

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ソライエ シッケ◯ @soraie

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