2

 物音に、ハッ、とする。


 感覚としては夜中十二時。


 だれかが部屋にくるだろうことは予想していた。


 が、でていくとはちょっと想定外だ。ユリちゃんのやることはわりといつでも斜め上だ。


 ユリちゃんが、部屋をでてゆく。鍵をかける音を聴きとげて身体を起こす。


 ユリちゃんの足で、エレベーターホールまで三十秒。エレベーターが三階までくるのに三十秒。のりこんで扉がしまる…一分半待って、オレも部屋をでる。


 鼻を鳴らす。


 ユリの香りをたどって、あとを追った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る