第二部第五章 ダンジョンの向こうに

58 クリーン

 ヒーリングポーションの手持ちはあと2本増えたので一人一本だ。原料になったトロールがリポップするのかは不明だけど、もしかして全部ポーションにしちゃったらトロール居なくなるとかないかな。スコップ!はビームライフルで消し飛んだので作り直し。


「おにいちゃん、レベルアップおめでとう!」

「無礼講ね」

「レベル3って五回目だっけ」数えたけど自信なくなってきた。

「私を先にレベル3にしていただいてすいません」


 今日のメイはあかりが言うところのドスケベチャイナ眼鏡っ子だ。チャイナドレスのピッタリと縫製されて張り詰めた大きな胸、ノースリーブの腕と足のスリットから覗く白い肌。そして銀縁眼鏡。なんかエロい。


「いいのよ」

あかりがなんか偉そう。

「おにいちゃん、恩恵は?」

「それが……」

「キレイにする恩恵?」

「うん」

やってみせる。さっきまで料理が載っていた汚れた皿がキレイになる。


「なんかとっても便利?」あかりが首を傾げる。

「洗濯も出来るよ」

「すごいじゃないですか!フィン」

メイが褒めてくれた。

「シャリもすごいと思うよ」

慌ててシャリがフォローしてくる。

「部屋の掃除も出来るんだよ」

一応補足してみる。どういう原理なんだろうねこれ。


「お兄ちゃん!」

あかりがジト目で見てくる。

「きょうだい会議を開催します」

「いきなりだね」

「ここはメイのレベルを上げて、お兄ちゃんはやり直しましょう」



 裏庭。牛舎の前。足元を鶏が走る。

「メイちゃんはどんな恩恵が欲しいの?」

シャリが聞く。

「せっかくだから凶悪なのがいいんじゃない?」

あかりが割り込んできた。


「凶悪なのってどういうの?」

「定番はスキルコピーか強奪でしょ」

「そんなのあるのか?」

「見たことないけど」

「他には?」

「最近はガチャが流行」

「もうちょっとファンタジーなのでお願い」

「じゃあ召喚とかテイムとかかな」

「わかるけどどうしたらいいのか分かんないね」

「竜になるとかは?」

「メイ、竜になれる気がする?」

「全然」

「だよね」竜見たことないもんね。

「コケーコココココ」


「何か作るのはどうでしょう?」

メイが聞いてきた。

「生産系か。どうかしら」

「鍛冶やポーション製作は村にもいるけど冒険向きじゃないよね」

「エンチャントとかどう?」

あかりが提案してきた。


「どいういうのそれ?」

「ファンタジーな装備を作るのよ」

「メイ分かる?」

「全然」

「ほら、メイが作る服がそのまま鎧になったらいいでしょ」

「いいですね」

「そういうの」

「そんなの可能なんですか?」

「可能なんですかじゃないのよ」

あかりがメイに顔を寄せて言う。

「信じるのよ」


・・


 メイのレベルを上げる事になった。レベル3から4とかシャリのホブゴブリンの時以来だな。あの時はどうしたっけ。慌ててたからよく覚えてないけど割ときつめにやったような。


「じゃあ、フィン、お願いね」

僕と同じぐらいの背のメイが僕の前に立つ。黒髪で色白でかわいい子だ。スタイルはいいけどこうやって改めて顔を間近で見ると中学生か小学生だな。格好はドスケベチャイナの眼鏡っ子だけど。


 メイにそっと顔を寄せる。眼鏡に当たりそうだな。どうしたらいいんだろう。っていうかこの眼鏡って伊達じゃなかった?目が合う。そのまま顔が近づいてくる。メイが僕の頭の後ろに手を回してきた。


 僕は眼鏡に当たらないように首を右に軽く傾ける。メイの唇が僕の唇に軽く接触する。僕の唇を探るように動く。僕はメイの背中に手を伸ばして軽く抱きしめた。

「ちょっと初々しいわね」

「でも4回目よねメイちゃん」


 メイの手が僕の頭にかかると、唇の間に舌が入り込む感触。口をちょっと開ける。そのままメイの舌は僕の歯を舐める。僕もちょっと舌を出してその舌を出迎えると、メイがちょろちょろと舐めてきた。唇で相手の舌を挟んだり相手の唇を舐めたり。


「初々しくなくなってきたわね」

ていうか唇もなんだけどメイの胸が僕の胸に当たってその感触がすごいんだよね。抱きしめても潰れないで弾力で反発しているのがわかる。


『こんな感じでいいかな?』

僕はメイの口に強めに舌を差し入れる。僕の舌がメイの口の中に入っていくとメイの体の力が抜ける。僕はその体を下から抱えるように左手で抱き寄せ、右手は頭を支える。メイの顔を上に向けて舌を絡ませる。僕の唾液がメイの口の中に流れ込んでいく。


レベル接続コンタクト!』


 メイは目をつぶったまま。軽く開いた口はやさしく僕を迎え入れる。僕との間にレベル回路が形成される。


レベル譲渡トランスファー!』


「いつまでやってるのよ!」

「なんかメイちゃんばっかりずるくない?」

「コケーコココココ」

「好吃」


――


フィン:レベル2(down)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン


シャリ:レベル5(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術


あかり:レベル6(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング


メイ:レベル4(up)(人間:転生者)

・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント(new)


――

キス待ちメイちゃんの挿絵です

https://kakuyomu.jp/users/yamamoriyamori/news/16817330652810394279

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