第15話王の脅威

グレイザーとガイオーがセンチピードゲイラーと戦っていると、突然暗雲が立ち込め雷鳴と共に何者かが現れた。

「来た……我らが王……」

ギレンが言う王とは一体!?


暗雲の中から現れたのは2つの影。

1つは勿論ゲシェードの王、その名は……。

ゲシェード大帝アルギルス·ウル·ゼレブロ。

そしてもう1つの影の正体は……。

王の側近バルバ。

王の降臨にはギレンだけでなくジェイガとリラも立ち会っていた。


「なっ……何だコイツは……!?」

驚くグレイザーとガイオー……。

その2人にバルバが言い放つ。

「控えよ、無礼者め!こちらに居られるのは我がゲシェードの大帝アルギルス·ウル·ゼレブロ様であらせられるぞ!」

「何っ!?コイツがゲシェードの王……」

そして、アルギルスがグレイザーを睨み付ける。

すると、その眼光はグレイザーに物凄いプレッシャーを与え身動きを取れなくする。

「なっ……何だ!?体が……動かない……!?」

「テメェー!!」

ガイオーがアルギルスに攻撃を仕掛ける。

だが、その攻撃はバルバに阻まれ更に反撃を喰らう。

ガイオーはバルバの一撃で大ダメージを受け吹き飛ばされる。

更にアルギルスはグレイザーに強力な衝撃波を喰らわせる。

グレイザーも吹き飛ばされ、大ダメージを受けた。

更にその威力は凄まじく川は激しい波が立ち、周りの建物は窓ガラスが割れ外壁にもヒビが入った。

それはパトカーも同じだった。

フロントガラスや窓ガラスが全て割れボディーが大きくヘコむ。

ガイオーはビルの壁に叩きつけられ気を失い、グレイザーは瓦礫に埋もれていた。

「流石我らが王……物凄い力だ……」

それを見ていたジェイガが関心する。

「フンッ……余興はここまでにしておくか。行くぞバルバ」

そう言うとアルギルスは去って行く。

「ははっ!ギレン、アルギルス様をお前達のアジトにご案内しろ」

バルバがギレンに指示する。

「え……あっ……はいはい……」

ギレンは言われるがままアルギルスとバルバをアジトの洋館に案内する。

「俺達も行くぞ」

ジェイガとリラもアジトに戻る。


現場は騒然となっていた。

葛城が周りを見渡すと牧田が倒れていた。

牧田は割れたガラスが体に刺さり大怪我を負っていた。

「牧田さん!牧田さん!!」

すぐに救急車が数台来て怪我人を搬送して行く。

ガイもいつのまにか変身が解除されていた。

ガイもまた救急車で病院へ……。


グレイザーはと言うと……。

瓦礫に埋もれて居る為、レスキュー隊による救助作業が行われた。

その様子を見ているのは守の友達……。

「グレイザーが……負けたぞ……」

そう口走ったのは金光だった。

誰もが皆、ヒーローであったグレイザーやガイオーの敗北に驚きを隠せない……。

グレイザーの救助作業が進んで行くと、守の手が見えて来た。

どうやら変身が解除されている様子……。


その時、晴香が口を開いた。

「ねぇ……戻ろうよ……」

晴香が声を震わせながら言った。

晴香の訴えに皆、西山の家に戻る事にした。


気づけばもうすっかり暗くなっていた。

ここで西山が気付く。

「あれ?そういえば守は?」

皆が守が居ない事に気付いた。

皆は手分けをして守を探しに戻る。 

しかし、守は見つからない。

それは当然だ。

誰もグレイザーの正体が守で瓦礫に埋もれているとは思うまい。

その頃、その守も救助され病院へ搬送された。


それと入れ違いになり晴香が現場の河川敷まで戻って来た。

「居ないなぁ……」

晴香は諦めて戻る。


そのまま勉強会は解散となりそれぞれ帰宅する事になった。

だが、皆行方がわからなくなった守を心配していた。

流石にあの金光さえも……。


それから数時間後、病室のベッドの上で守が目を覚ました。

そこには藤波博士が居た。

「大丈夫か?守君……」

守は幸いグレイザーの強化スーツのお陰で骨等には以上は無かったが、打撲を負っていた。

守が起き上がろうとすると全身に激痛が走った。

だが、それだけではない……守はアルギルスとの戦いを思い出し全身が震えた。

アルギルスの圧倒的な強さと威圧感に守は戦う事への恐怖を覚えた。

守自身も戦いに慣れたつもりでいた。

しかし、改めて命懸けで戦う事の怖さを痛感させられたのだった。


藤波博士は守を心配したが、自分が居ては戦いを思い出してしまうと思い帰る事にした。


一方のガイはまだ意識が回復して居なかった。


−アジトの洋館−

その頃、ゲシェードのアジトにアルギルスとバルバもやって来た。

「まったく……こんな小汚い所にアルギルス様をお連れするなんて何を考えているのだ……」

まるで、姑だ……。

文句を言われながらもギレンがアルギルスとバルバをある部屋に案内すると……。

そこにはジェイガとリラが待っていた。

アルギルスが部屋に入るとジェイガ、リラ、そしてギレンも、アルギルスの前に膝まずく……。

「お待ちしておりましたアルギルス陛下」

ジェイガがそう言うとアルギルスが口を開く。

「この世界の破壊があまり進んでいないようだが?」

「はっ……それはこの世界には我々に歯向かう者がおりまして……」

ジェイガが申し訳無さそうに言うと……。

「フンッ……あの戦士共か……まぁよい……ならば、奴らをまず消して参れ」

アルギルスがジェイガに命令する。

「はっ!」

ジェイガは従うが……。

ギレンが割って入る。

「ちょっと待って下さい。まだ俺のセンチピードゲイラーも残ってます。俺にやらせて下さい」

ギレンがそう言うが……。

「バカ、黙れ!」

ジェイガが慌てて止める。

アルギルスはギレンの方を睨み付けると、センチピードゲイラーを念力の様な力で殺してしまった。

驚くギレン……。

アルギルスはギレンにも重圧を掛ける。

ギレンはその凄まじい重圧に恐怖を覚え、アジトの洋館を飛び出して行ってしまった。

敵にも味方にも凄まじい重圧で恐怖を与えるアルギルスの前には誰も為す術が無いのかも知れない……。

更にアルギルスの重圧にジェイガもリラも身震いをしていた。


この日、病室で寝る守もまた恐怖にうなされていた……。


アルギルスと戦うグレイザー……。

しかし、アルギルスには全く自分の攻撃が通用しない……。

グレイザーは必死に戦おうとするが……。

アルギルスの攻撃により、グレイザーは大爆発に巻き込まれてやられる。


守は飛び起きる。

だが、飛び起きるとまた激痛が走る。

恐ろしい夢だった……。

守は汗だくになり、ベッドのシーツもびしょ濡れだっだ。


−翌日−

守は病室を抜け出し、西山に連絡を入れた。

西山は電話越しに物凄い勢いで質問攻めをしてきた。

何故突然居なくなったのか、そして、何故今まで連絡をしなかったのか。

当然だが、皆心配していた。

守は近くで見たかったが、近くまで行ったら巻き込まれて病院に運ばれた事にした。

また、今日は月曜日、大学も休む事になってしまった。

ただし、大学の方には葛城が気を利かせて休むと連絡を入れてくれていた。


守はまだ体は痛むが、病院を抜け外に出た。


その頃、藤波博士は研究室でグレイザーのパワーアップを検討していた。

しかし、グレイザーのパワーアップには藤波博士も頭を悩ませていた。


ジェイガは工事現場からトンカチを盗みシールを貼る。

すると、両腕と頭部に巨大なハンマーを持った、ハンマーゲイラーが誕生した。

ハンマーゲイラーはそのまま工事現場の作業員達を襲い次々に撲殺して行った。


通報を聞き、葛城は警官隊や自衛隊と共に現場に出動した。


葛城の連絡で守にも電話が行ったが、守は電話に出なかった。


守は街を彷徨い何処かへ行く……。

そして、ガイはまだ目を覚まさない。

グレイザーもガイオーも居ないこの街を救うヒーローは現れるのか!?



続く……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る