超戦士グレイザー

山ピー

正義の味方

第1話超戦士グレイザー誕生

桐崎守(きりさき まもる)20歳、城北大学に通う大学2年生。

彼がこの物語の主人公だ……。

今日も守は電車に乗って大学に通う。

大学に着くと早速友人達と会い挨拶を交わす。

守が友人達と雑談をしながら教室に向っていると前を同じ学科の美山晴香が友人と話ながら教室へ向っていた。

守は無意識に彼女に魅入ってしまっていた。

そこを友人の西山に突っ込まれる。

「何見惚れてるんだよ!」

ふと我に返った守が言い返す。

「バカ!そんなんじゃねぇよ」

すると、西山がまた返す。

「声掛けないのか?」

また、守が返す。

「いや〜、んな事言われても無理だって……」

そんな話をしながら教室へ入って行く。

彼らは宇宙工学を学んでいた。

宇宙工学、それは文字通り宇宙に関する技術に付いて学ぶ学科だ。

中には将来宇宙飛行士を目指す者もいる。

そう、一言で言えば頭の良い人間の集まりだ。

彼等はお互いをライバル視しているが、守と西山は小学校の頃からの親友でとても仲が良かった。

教室内では勉強している者、雑談している者、読書している者など、様々居たが、守と西山は……雑談だ。

そんな事をして時間が過ぎて行くと……。

教室に森川教授が入って来る。

森川教授は早速講義を始める。

森川教授は宇宙工学に関する論文の提出を言い渡す。

そして、講義が終わった。

講義の終わりに守は森川教授に呼ばれた。

用件は論文の事だった。

森川教授は守が何について論文を書こうとしてるのか尋ねて来た。

森川教授は前から成績優秀な守を気に掛けていた。

守は少し考えて【多次元宇宙論】についての論文を書こうと思っていると答えた。

それを聞いた森川教授は……。

「そうか……。それなら私の学生時代の友人に多次元宇宙論を研究してる人が居る。彼に話を聞いてみるか?」と返した。

守は是非にとお願いし、後日森川教授の友人に会わせて貰える事になった。

しかし、同じクラスの中には成績優秀で教授からも一目置かれている守を快く思わない人物も居た。

それは、金光義則(かねみつ よしのり)と言う男だった。

金光も成績は良いが、いつも守が居る為、成績は2番か3番だった。

その日の昼休み、守と西山は学食でお昼を食べようとしていた。

しかし、昼休みの学食はかなり混んでいて、席を探すのが一苦労……。

守と西山が席を探していると……。

西山が何かを見つけて守に声を掛けた。

「おい守、アレ見ろよ。チャンスだぞ!」

そう言って西山が指を指した先には美山晴香と友人2人がお昼を食べながら話していた。

しかも、そこのテーブルは3席空いていた。

西山はあそこに座ろうと勧める。

しかも、晴香の隣が空いている。

西山と守がそこの席は向かうと……。

横から金光がやって来て晴香の隣の席に座ってしまった。

しかも、晴香に話し掛け楽しそうに談笑を始めた。

席を取られた守達は仕方なく端の席に座った。

金光は相変わらず晴香に話し掛けている。

どうやら、2人は提出する論文についての話をしている様だ。

すると、晴香は守と西山にも話し掛けてきた。

「ねぇ、桐崎君と西山君は何について論文を書くの?」

余りに突然の予期せぬパスに守は動揺し、むせてしまう。

慌てて水を飲み落ち着くと、守は【多次元宇宙論】について書くと言う。

すると、晴香は思いの外興味を持ち、今度聞かせてと言ってきた。

守にとっても断る理由はない。

もちろん約束した。

しかし、晴香の横では金光が面白く無さそうにしている。

そして、数日後の土曜日、守は森川教授に教えて貰った藤波博士と言う人物の研究室を訪ねた。

少し緊張しながら玄関のチャイムを押すと、中から小太りのおじさんが出て来た。

この小太りのおじさんこそ、森川教授の友人で【多次元宇宙論】を研究する藤波司(ふじなみ つかさ)博士その人だ。

藤波博士は守を快く招き入れてくれた。

研究室兼自宅の藤波博士の家に入ると、おそらく藤波博士が書いた物であろう論文の山……。

本棚には【多次元宇宙論】に関する書物。

中には藤波博士の著書の物もある。

守が周りを見回していると藤波博士が声を掛ける。 

「散らかっているが、適当に座っててくれ」

そう言うと藤波博士は奥の部屋へ消えて行った。

守が椅子に座って待って居ると、しばらくしてから、藤波博士がコーヒーとクッキーを持って戻って来た。

藤波博士は守にコーヒーを差し出すと、ミルクとお砂糖を渡してくれた。

そして、席に着くと藤波博士が口を開いた。

「善治(よしはる)から話を聞いてるよ。多次元宇宙論についての論文を書くんだって?」

守は聞き慣れない名前に聞き返した。

「善治?」

藤波博士は笑いながら答えた。

「あっ、ごめんごめん。森川だよ、君の教授の」

守は納得した表情で笑った。

「あ〜!」

そして、早速守は藤波博士に話始めた。

藤波博士の本や論文は今までに全部読んだ事、そして、藤波博士の推奨する多次元宇宙論についての論文を書きたいと言う事を。

藤波博士は守の熱意を感じ何でも答えてくれると言う。

それからしばらく守は藤波博士に聞きたい事を聞きまくった。

すると今度は藤波博士が守に問いかけた。

「君は別の宇宙があるとしてそこには何が居る思う?」と。

守は少し考えてこう答えた。

「その宇宙にもよると思いますが、私達と同じ人間も地球には居るんじゃないかと思います」

別の宇宙には別の地球があってそこには自分と全く同じ人間が居るかも知れないと言う説。

しかし、それを証明する手段は今は無い。

藤波博士の理論は科学者達の間でも否定され、机上の空論と言われる事が多い。

しかし、その理論に興味を持ってくれた守の事を気に入った様子。

そして、藤波博士は最後にこう言った。

「私は多次元宇宙論を研究している過程である仮説に行き着いた。それは悪意を持つ者がこの世界を襲ってくるかも知れない」と。

少々驚く守。

そんな現実味の無い事を言われたらそうなるのも当然だ。

しかし、藤波博士はそんな事は読んでいたと言わんばかりに続けた。

「私はその時の為に数人の科学者に協力して貰いグレイザーシステムを開発して居たんだ」

グレイザーシステム…聞き慣れない言葉が出て来た守だった……。

しかし、守と藤波博士がそんな話をしている頃……。

近所の公園には黒いフードを被った若い男が辺りを見回していた。

「この世界の地球……中々面白そうだ……」

そう言うとフードの男は公園の木に謎のシールを貼った。

すると木は形を変え人形の木の怪人となった。

フードの男はその怪人を見て名前を付ける。

「そうだなぁ…木の怪人だから…ウッドゲイラーって所か」

この木の怪人はウッドゲイラーと命名された。

突然現れた怪人に公園に居た人達は大パニック。

ウッドゲイラーは人々を捕らえ始めた。

そして、フードの男は何処かへ消える。

このパニックはどんどん広がり藤波博士の家からもわかった。

守も異変に気づいた。

そして、藤波博士は何かを察した様に外へ飛び出して行く。

守も後を追い掛ける。

公園に行くとウッドゲイラーが数人の人を捕らえ苦しめていた。

藤波博士は守にグレイザーシステムを使ってくれるよう頼んだ。

守は目の前で起きている光景が信じられず困惑していた。

そんな守に藤波博士は問う。

「今、ここに居る人達を救えるのは君しかいないと言ったら救うかい?」

守は周りを見渡した。

ウッドゲイラーに捕まっている人達は気を失っている。

そして、周りには恐怖で怯えてる人々、大泣きしている小さな子ども……。

様々な人が居た。

そして、守は決意する。

「俺の力で救えるなら、俺はやります!」

藤波博士は守のその言葉を信じグレイザーシステムを起動させた。

そして、変身アイテム『グレイアクセラー』を守に渡す。

『グレイアクセラー』は腕にはめボタンを押す事で装着者を超戦士へと変身させる。

守は早速『グレイアクセラー』のボタンを押す。

『変身』

すると、『グレイアクセラー』から光の粒子が出て守の体を包み込む。

そして、光の粒子は強化アーマーとなって超戦士グレイザーへと変身させる。

赤を基調とした仮面とアーマーを装着した戦士、超戦士グレイザーが誕生した。


つづく……。

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