第100話 文化祭(6) 〜シフト開始準備〜
それから、僕らは、堀川たちに直撃インタビューした。
「え、なんで1年の堀川たちが劇に出てるんだ?」
僕は尋ねる。すると、
「いやぁー、『今日主役の人が休んじゃって、僕らの劇が潰れちゃうんで最後のシーンだけでいいんで、力を貸してくれませんか』と頼まれちゃって。劇が潰れちゃうのもかわいそうだなぁと思ったから俺たちで劇をしたわけさ」
その言葉に僕は納得し理解した。楓も同様のようだ。自分たちの自由時間を削ってまでそうしてあげると言う堀川と柳さんの優しさをとても感じた瞬間だった。
その後、楓とのんびり散策し、担当グループが変わる10分前の時間となった。
「そろそろ戻らないとね」
僕が楓に声をかける。
「そうだね…、もう終わりかぁ…。はやいなぁ」
楓はがっかりと肩を落としている。声のトーンを聞いたら嫌でもわかるほど暗い声だった。もっと散策をしたかったのだろう。
僕も同様、(もう散策は終わりか)と心の中で悲しむ。だが、まだCグループの時間がある。そこでまた一緒に好きなところを回ればいいだろう。その思いの丈を僕は伝える。
「そうだね…。でも、まだCグループの時間があるよ! そこでまた回ろ?」
そう言うと、楓は笑顔に戻り、
「そうだね!」
と暗い声が一変し、明るい声で言った。
どうやら僕の励まし(?)が効果あったようだ。
それから僕たちは各更衣室に向かった。
すると、いきなり肩を掴まれた。そして、
「よお、悠。天野さんとの文化祭前半は楽しかったか?」
と、声をかけてきたのは、先程まで店番をしていた光だった。ニコニコしているので、何かいいことでもあったのだろうか。
「店番お疲れ、光。楽しかったよ。それにしても、何かいいことあった?」
光の質問に答えた後、
ニコニコの原因を聞くべく、光にそれについての質問をする。すると、
「いやー、今からが楽しみでよー! 売り上げも上々上々。 あ、あと、後で面白いことになると思うぜ」
と、不気味な笑みを浮かべている。
僕はもちろん、気になるので、
「え? それって何何?」
と、聞くが、
「後のお楽しみ〜って事で! んじゃ、澪と回ってくるわ〜」
その言葉を残して、光はさっさと男子更衣室を出て行ってしまった。
その裏、楓方面でも同じような出来事が起こっているのだった。
そして、お互いのメイド服をお披露目する。
「悠君、にあってないね…」
彼女にこんな辛辣なことを言われてしまった。まあ、しょうがない。自覚はあった。自分でもびっくりするほど、似合っていなかったのだ。
でも、僕は僕で楓は別だ。
楓はと言うとすごく似合っていた。
下には黒いロングヒラヒラスカート、上は白いエプロンをつけ、黒いシャツを着ていた。
「楓、僕とは違ってすごく似合ってるよ」
僕が素直に楓を褒めると、
「あ、ありがとう、悠君」
ほんのりと顔を赤らめて行った。
「そろそろいいですかね……、もう始まります」
その様子を見ていたクラスメイトが、呆れた様子で言う。
「「ごめんなさい」」
素直に謝罪したその時、
「では、Bグループ始めます!」
と、放送が鳴る。
と言うことで、僕らの店番が始まるのであった。
〜後書き〜
どうも! こんばんは! ともともです!
お陰様で今話で第1話、第2話………とカウントし始めてから100話を達成致しました! わーい!
皆様の応援のおかげでここまで来れました!本当にありがとうございます^ ^
今話は、優しい稜太と美乃梨ちゃんでした。
光と澪の言う、面白いこととは何なのでしょうね?笑
是非、次話をおたのしみに!
後どれくらい、この小説が続くか自分もわかりませんが、これからもこの小説をよろしくお願い致します!
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