第87話 悠のからかい
僕たちは僕の家を出て楓を送るべく、道路を歩き始めていた。
もちろん、手は繋ぎっぱなしである。
「今日はありがとうな」
僕は今日来てくれたことのお礼を言う。恋人になって初めて来てくれたからなのだろうか
「うんん、こちらこそありがとう!」
そう言って、僕の腕に身を寄せてくる。
そして、
「あぁ、やっぱり夢みたいだなぁ」
「何がだ?」
僕が聞き返すと、
「いや、今みたいに両方の親にも認められて、大好きな悠君と付き合えること」
その言葉にやはり、僕は照れてしまう。好きな人とか大好きな女の子に言われて、照れない男子はこの世界にはいないさ。
そんなこと気にせずに楓が続ける。
「それが更に両想いから発展した恋だ、と言うこともかな!」
(確かに、現実では起きないだろうと言えるほど良い状況で付き合うことができている)と、僕も思った。
なんとか照れを隠して言う。
「そうだね! 本当に僕たち運命! 僕もずっと前から楓のことが好きだし!」
死にたいぐらい照れながら、言った。
「もー、嬉しいけど、照れる…」
そう言って、楓は下を向いてしまった。
しっかり耳まで赤くなっており、すごく照れていることが見てとれた。
「照れてるの可愛いね!」
僕は(ちょっとからかってみよう)と思い、言ってみる。
「も! そんなことないしからやめてよ!」
そういい、僕をぽこぽこと言った具合で叩いてくる。
軽く叩いているため、本当に嫌がっているわけではなさそうなので、からかいを続けてみる。
「そんな事あるよ! 楓は世界の誰よりも可愛いよ!」
(それほど可愛いと思っている)と言うことが伝わって欲しかったので、そう言う。
「もぉ………」
と、下を向いたまま言った後に
「ありがと…」
もう、消えそうな声でそう言った。耳も更に赤くなっており、更に照れていると言うことが分かった。
それからは、楓が照れをさますために黙り込んでしまった。
(もっと楓と一緒にいたい!)と、思った僕は
「ちょっと公園に寄って行かない?」
僕は楓にそう提案する。
すると、下を向いたまま首を縦に振った。と言うことは、どうやらいいらしいので
「ありがとう、じゃあ行こうか」
(楓といれる時間が増えるし、もっとしゃべれるぞ! やった!!)と、とても喜ぶ僕だった。
と言うことで、楓を家まで送る前に夜の公園で少し話すことにするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます