第75話 決戦前夜 〜楓との電話〜

 そして、次に楓に電話をかける。


「もしもし?」


 楓も柳さんと同じような疑問系電話のでかたをする。


「もしもし? 楓?」


 僕もまた、柳さんと同じような対応をする。


「そりゃ、私のスマホなんだから私しかいないでしょ!」


 どこかで聞いたことのあるような、会話をまた繰り広げる。

 そして、楓はガラッと空気を変えて、


「何とかなりそうなの……?」


 不安そうに聞いてくる。だが、(僕から電話がかかってきたことで、何かあるのではないか?)という心情からか、少し期待も入り混じっているように聞こえた。


「うん。何とかなりそう」


 そう言い、僕は計画を話した。

 すると、楓は、


「なるほどね。それならおそらくだけど納得させられるわね。それで行きましょう」


 楓はオッケーをした。という事で、僕はこの計画で行くことにする。


「ありがとう。楓」


「うんん、こちらこそありがとう。悠君」


 そんなお礼を言い合った後、


「絶対に大好きな悠君とこれからも一緒にいるんだから!」


 と、自分に言い聞かせるように言う。康太さんの怒りに負けないようにするためだろう。だが、それがわかっていても照れてしまった。


「そうだね! 絶対にこの関門を乗り越えよう! せーのっ!」


「「おー!」」


 と、最後に息を合わせて、電話越しだが腕を上に伸ばす。


 そうして楓との電話はおわり、遂に康太さんとの面会の日を迎えるのであった。

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