第56話 楓、告白ラッシュ
僕は堀川と共に登校し、今教室に向かっている。
「ん? やけに騒がしいな」
堀川は僕らの教室である、1年3組がかなりうるさい事に気付いた。
「本当だね」
(どうせ僕には関係のない事だろう)と思って教室に入る。すると、柳さんが飛んできた。
「北村君! 大変な事になってるよ!」
柳さんはすごく慌てたような、そんな表情をしている。僕のところに飛んできたということは僕に関係ある話なのだろうか。
「どうした?」
「今、楓ちゃんがクラスメイトに告白されてるの!」
まさかの事態に僕は、
「は!?」
と声をあげてしまった。しかも、
「それだけじゃないよ。なんと今告白してるの三人目なの! 早くしないととられ……」
まさかの三人に告白されていた。柳さんは僕が好きだと言う事を知ってるので、『早くしないと』と言おうとした時に、聞き慣れている声が僕の耳に入った。
「ははっ! すごい事になってるな」
その声の主は大倉 光だった。なぜか笑いながら近づいてくる。
「何がおかしいんだよ。でも本当にな…」
謎に笑っている光に対して当然の返しをする。すると、
「だめでしょ? 光!」
お母さんズラみたいな事を言って近づいてきたのは光の彼女である、森下さんだった。光の近くに近付き、何か口を動かしているようだったが、クラスがうるさすぎて聞こえない。
「何話してたんだ?」
僕は内容が気になり、聞いてみると
「いやー、その悠の…」
と言いかけた光を遮り、
「ちょっとお叱りの言葉を言ってたの! ちょっとこっちに来ようかー? 光!!」
そう言い、光は連れて行かれてしまった。
そして堀川と柳さんと僕が残された。沈黙を破ったのは堀川だ。
「俺も告ってみようかな…」
堀川はふと、そう言った。僕は思わず表情をこわばらせてしまう。
「いや、流石にまずいか。やめとこう」
なんでそうなったかは分からないがやめといてくれるのは好都合だった。僕の顔の表情はこの時大きく変化しただろう。
「そう言えば北村君、お昼に屋上で一緒にご飯食べない?」
急に柳さんは言った。僕は全く意図が掴めなかったので、
「ん? どうして?」
僕は聞き返す。と、
「いいから! とりあえず食べようね!」
と、言われた。僕は特に拒否する理由もなかったので承諾した。柳さんは覚悟を決めたような顔をしていた。
すると近くで話を聞いていた堀川が何故か顔がニヤついた。(なにをニヤついているのだろう?)と疑問に思うが、そんなに仲のいいわけでもないし、聞くのをやめておいた。
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朝のSHRの時間になった。楓はギリギリの時間に1ー3の教室に戻ってきていた。顔は朝だと言うのに疲れ切ったような顔だった。それほどたくさん告白されていたのだろうか。そんな事を思っていると、
「くそー、俺も告白したかったのに、時間なかった……」
近くからそんな会話が聞こえてきた。僕の横に楓本人がいると言うのによく言うものだ。
「明日行くわ」
そんな話をしていた。ここで、僕はある不安がよぎる。(このままだと楓が他の人に取られてしまうのではないか? と言うより、もう既に誰かの告白を承諾していたらどうするんだ? 僕の初恋、叶わず終わってしまうぞ?)こんな感じのことが頭をよぎった。ここで僕は強い危機感を感じたのだった。
そして、流石に高校の5分休みに告白する人はいなかったようで、ご飯タイムになる。
柳さんとのご飯に行かなければならない。
と言う事で僕は放課後にも来ないと行けない屋上にやってきたのだった。
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〜後書き〜
この小説を読んでいただきありがとうございます! 少し変更のお知らせを致します。この章は"テストと夏休み!" となっていますが、それは第3章に回しまして、この章は"不穏な空気からの…?" に変更させていただきます。理由としては計画していたより、大きくずれてしまった事にあります。申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
これからもこの小説をよろしくお願い致します!
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