第47話 柳さんとの帰路
「ねえ、北村君、今日は一緒に帰らない?」
そう言ってきたのは柳さんだった。正直ぼっちは嫌だったので
「うん。わかった」
と、2つの返事で答え、僕たちは帰路に着くのだった。
それで今、帰宅中である。横にいるのは楓ではなく、森下さんでもなく、柳さんだ。
「で? 何があったの?」
「わからないんだ」
理由はわからないので正直に答える。
「わからない? えっとじゃあいつからあんな感じなの?」
僕は正直に言うか迷った。が、柳さんはそれを見透かしたように
「正直に言ってね」
と、釘を刺されてしまった。(楓が好きなのもバレているし、まあいいだろう)と判断した僕は、
「昨日楓がうちに来てご飯を食べたんだ。ご飯を食べる前までは普通だったんだけど、ご飯食べ始めてからはどうやら僕を避けているような。そんな感じだった。で、僕が楓さんを送っていってるときに『距離を置こう』って言われた。その結果がこれなんだ……」
もう半べそになりながら全て正直に話したのだ。
「ふーん、なるほどね」
(ねぇ!? この二人距離感おかしくない!? 普通付き合ってないのにお家に上がってご飯食べる!? や、やばいわ…、本当に)そんな事を思っている私だった。
「ねえ、ちょっと公園に寄って行かない?」
そう、柳さんが提案する。
「……なんで?」
泣きかけている僕は聞き返す。
「いや、単純にこの件についてゆっくり話したいから」
柳さんはそう言う。僕としても断る理由がなかったので、
「わかった」
そうして僕らは公園のベンチに向かい、隣同士に座っている。
「なんで『距離を置こう』って言われたかの心当たりはある?」
柳さんは聞いてきた。
「……もしかしたら母さんがご飯に誘ったからかも」
僕は泣きそうになりながら思い当たる可能性を言ってみた。
「その時の楓ちゃんの反応を覚えてたりする?」
柳さんは考える素振りを見せながら僕に聞いてくる。
「……確か即答で『はい!』って答えてた気がする」
と言う事はその可能性はないと考えるのが自然なため、さらに(前のように戻れる可能性が低い)と悟った僕は涙が出そうになったが、柳さんの前なので我慢した。が、正直危ない。
柳さんはと言うとその言葉を聞き、柳さんは一瞬目を見開いた。が、すぐに真面目な顔に戻った。
「なるほどね。他には?」
と言われ僕は他には思い当たる節はなかったため、
「……僕が思い当たるのはこれくらいかな」
これくらいしか思い浮かばなかったため、そう言う。
「そっか。わかった。それより北村君、君、今我慢してるでしょ?」
柳さんは僕の考えを見透かしたかのように言ってきた。でも僕は
「そんな事ないよ」
否定した。我慢しているのは泣くことだ。友達、特には女の子の前では泣きたくないと言うのが男の意志だ。
「いま、すごく悲しくて泣きたいんでしょ?」
しっかりと分かっていた柳さんにびっくりするのだった。
「ーーっ、そんなわけ」
頑張って否定をするがほとんど声になっていないのだった。
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