プロローグ2 (合格発表)◎
僕は合否を見に、再び学校に訪れていた。
僕の受験番号と張り出された合格番号と睨めっこをしている。
そして僕は自分の番号を見つけた!
「よっしゃぁぁぁ!!」
僕はありったけの声で叫んだ。「正直厳しいだろう」と、担任の先生から言われていた高校に合格できたのだ。誰でも叫びたくなるだろう。
喜びの後に出てくるのはそう。僕の初恋の相手である彼女だ。僕は周りをキョロキョロと見回す。そして受験番号と合格番号を睨めっこしている彼女を僕は見つけた。
「こんにちは! また会えましたね!」
美少女の彼女に話しかけたことにより、一気に周りの目線がこっちに向いたように感じた、が無視しておこう。
「あ! 受験の時の! どうでしたか? 受かってましたか?」
これはちゃんと受かっていたと言う報告をしよう。まあ、実際に受かってた訳だし。
「はい! 僕は受かってましたよ!」
すると彼女の表情は明るくなる。
嬉しいのだろうか?
「おめでとうございます!!」
にありがとうございます! えっと、あなたはどうでしたか?」
僕は恐る恐る聞いてみる。もし一緒なら大喜びしても仕切れないほど嬉しいだろう。
「それがまだ自分の番号を見つけてないんですよね。良ければ探すのを手伝ってもらってもいいですか?」
(まだ見つけてなかったのか)と、少し落胆する。だが、不合格と決まったわけではないし、彼女は受験後の表情などから、自信ありげだったのできっと番号があるだろう。
「はい! 喜んでお手伝いします! 何番ですか?」
彼女はニコッと笑った。
久しぶりの天国を体験した後に番号を聞く。
「私の番号は25219番です!」
言っておくが、番号は25219だが、25219人受験を受けたわけではない。ただ、謎に大きいだけである。
「わかりました! 探してみますね!」
そう言って一緒に番号を探し始める。僕は呪文のように頭の中で(25219、25219)とリピートしている。
その時、僕はその番号を見つける!
「あ! あったよ! 25219!」
僕はこの時今までの人生が全て報われた気がした。全てはこの美少女である彼女と同じ学校に通える。つまりは告白するチャンスがある。付き合える可能性があるのだと!
「え!? ほんと!?」
そう言って少し離れたところにいた彼女が声を弾ませて近付いてくる。すごく混み合っていて彼女は人に押されてしまって、バランスを崩し
「「あっ」」
彼女が僕の腕に抱きつく形になってしまった。
周りの視線が一気に殺気のあるものに変わったような気がした。
「………そ、そのー、本当に申し訳ありません」
僕は顔を真っ赤なりんご色に染めて必死に謝罪する。(あぁ!! 僕の好きな人に抱きつかれてる! めっちゃ幸せなんだけど! 高校生活楽しくなりそう!)そんなことを思ってしまいました。ごめんなさい。
「……………わ、私の方こそすいません。って! そんなことより番号どこにありました?」
彼女の方も顔が真っ赤に熟したりんごになっていた。僕よりよっぽど照れているのだろう。
でも、そんなことを水に流すぐらいに合否が気になるのだろう。
そりゃ、受験合格ほど喜ばしいことはそうにはないのだから。
「えっと、ここにありましたよ」
そう言って僕は彼女の合格番号の書いてある場所を指差す。
彼女は僕の指を真剣に見つめて、それから大体の指している場所に目をやる。すると、
「あー! ほんとだ!! やったぁあ!」
彼女も大はしゃぎしながら喜んでいる。
まるで幼稚園児みたいだ。よっぽど嬉しいのだろう。まあ僕も嬉しかったし、気持ちわかるものがある。
彼女は電話とか友達とかとメッセージをしたのだろうか。スマホをいじっていた。
その後に、彼女が落ち着いたぐらいに話をかけてくる。
「本当にいろいろありがとうございました! これからも同じ学校の生徒として、出来れば友達としてもよろしくお願いします!」
彼女は手を出して来た。握手しようと言うことなのだろう。(シンプルにこんな美少女と友達スタートは神すぎんか? きたか? これが僕の最高の青春!)そんな事を思いながら、僕は手を取り、言った。
「いえいえ! この程度全然! こちらこそよろしくお願いします!」
と言う挨拶を交わした。
そういえば、僕は彼女の名前を知らない。(ここは勇気を振り絞って聞く時だ)と思い、僕は尋ねる。
「……そ、そう言えばなんですがあなたのお名前なんと言うのですか?」
彼女はあっ!と言う顔をして答える。
「あ! すいません。まだ自己紹介がまだでしたね。私は
「天野 楓さんですね! 天野さんと呼ばせていただきます! 僕は
「北村 悠さんですね! 私も北村君と呼ばせていただきますね!」
そうしてお互いの苗字で呼ぶことが決まり、僕らの同じ高校の入学が決定したのであった。
「それから北村君。一つお願いがあるんだけどいいですか?」
帰る直前になって天野さんが話しかけてくる。
「はい。天野さん、なんでしょうか?」
「次会った時には敬語なしで普通にお話ししたいんですけど、いいですか?」
こんなことを天野さんは聞いてきた。
そりゃ、友達からスタートなのだから、当然なのだろうか。
「あ、はい! いいですよ!」
「ありがとうございます!」
そう彼女は微笑んだ。
微笑み耐性が少しついてきたのか天国に行くことは避けれるようになってきたのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして泣く泣く天野さんと別れて、僕は家に帰り、父親である
「悠! 凄いわ! 合格おめでとう!」
そう言ってから、母さんが持ていたクラッカーを「パーン!」と鳴らす。
「悠、よく合格できたな。なんと言っても偏差66の学校なんだからな」
父は偏差値の高い学校に合格できたことをお祝いしてくれているようだった。
それから父さんも同様にクラッカーを鳴らす。
「兄ちゃん、おめでとう。でも兄ちゃんより偏差値高い高校に受かって、兄ちゃんを見返してやる!」
司はお祝いしつつも兄には勝ちたいらしく、どうやら66より高い高校を受けるようだ。司は今年で中学二年生なのだからまだ早いだろうに。
「司、今の成績じゃ全然無理ね。もっと頑張ってもらわないと」
司は悲しそうに俯いた。司はそう言ってもオール3、稀に4ぐらいの成績はある。努力次第では全然覆せるだろう。
でも、勝てないと言う事が悔しいようだ。だが負けじと言い返す。
「そんなのわかってるし! 今から頑張る!」
「その意気よ!」
司が勉強に対するモチベーションが上がっているのを嬉しく思った僕だった。
そして、話の区切りがついたところで
「それじゃあ、悠の合格お祝いパーティー始めるか!」
父さんが元気に宣言する。
「「「おーー!!!」」」
と言うことで、存分にパーティーを楽しんだのだった。
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