#43.リハビリ・ワークな日々
職場に戻って転院先を探し、日々をなんとかこなすうちに、3週間ほどが経ちました。そろそろカバネにも仕事を振ろうかという話が挙がり、事業部長と面談し、今後の身の振り方を話し合うことに。
当時の僕は正直、体力的にも精神的にも余裕はありませんでした。ですが確かに、次のステップへと進む良いタイミングにも思えます。いつまでも業務を全くしない、というのも却って居心地の悪い部分もありましたし。
とは言え、このまま流れで仕事復帰も少し不安。
なので本格的に仕事を始める前に、これから僕が進むであろう道筋を幾つかに整理してみました。選択肢と言ってもいいかも。元の業務に戻るだけが全てではない。他にも色々と採れる道はあるのではないか?
そんな感じで整理したルート分岐をここに記載してみます。それぞれのメリットとデメリットも併せて。
●ルートA.元の部署に戻る
一番の王道と言いますか、慣れた仕事なのである意味では楽。けれど過重労働になる点は否めない。夜も土日も関係ないほど忙しい部署で、いくらリワークで色々と学んだと言っても、そんな残業体質な組織そのものを変える権力は僕にはありません。うむむ。
●ルートB.別の部署に異動して新しい仕事をする
業務負荷という意味では、元いた部署よりも楽になる可能性がある。けれど新しい業務を覚える必要があり、異動先が今まで以上に忙しい可能性もある。自分で部署を選べるわけではないので、ある意味で博打、デメリットもハッキリしている。
●ルートC.別の会社に転職する
1つの選択肢ではあるけれど、まだ僕には転職活動をする気力や体力がないように感じる。というかどこまで働けるのかも自分で分かっていないし。良い会社と出会える可能性もあるけれど、もちろんそうでない場合も。なかなかハイリスクな選択肢。
●ルートD.退職してフリーランスとして独立する
これもCに同じ。1つの選択肢ではあるけれど、今の時点では見えない部分が大きすぎるというもの。
●ルートE.小説家を目指して高く飛ぶ
まぁ、良いじゃないですか。言うだけは無料ということで。うふふ。
これらのルートを整理したところで、僕は『順番』がある事に気が付きました。
例えばルートAを選んだ場合、仲の良かった同僚や取引先との関係性もあるワケで、恐らくBやCを選べなくなると考えたの。
元気に戻って来てくれて良かった、これからもよろしく! と言われたならば……そんな言葉を振り切って転職を目指すことは、僕にはちょっと不可能っぽい。
なのでアドベンチャーゲームよろしく分岐を整理。ちょっと見難かったら済みません。
●ルートB.別の部署に異動して新しい仕事をする
├ルートA.元の仕事と業務に戻る
└ルートC.別の会社に転職する
├ルートE.高く飛ぶ
└ルートD.フリーランスとして独立する
└ルートE.高く飛ぶ
こうしてみると、元の部署に戻るのは別部署にしてからも可能で、高く飛んでしまうのは最後の最後まで選択可能です。着地できるかは別として。
それに、敢えて考えたくはないけれど、重要なバッド・エンドも明確に存在する。それは『もう1度ダウンする』或いは『2度と働けない身体になる』こと。それだけは避けたい。なんとしても避けたい。
また、戻るにしろ転職するにしろ、僕が一般的な業務を遂行できない可能性もあるわけで。1年間リハビリに費やしたけれど、どれだけ能力が戻っているのかは分からない。というか一度壊れてしまった状態で、以前のように働けなくなっている可能性も十二分ある。
その場合は主治医と相談し、障害者雇用枠を検討しようと考えていました。ですが今の時点では判断できない。まだ復帰したばかりだし。
なので、一旦は別の部署に異動してみる。
そこで骨を埋めるのか、或いは元の部署に戻るのか、やはり転職するかを考える。
フリーランスになる、若しくはフライ・ハイを決めるのはその後でも問題ない。
つまり方針が決まりました。
別の部署に行ってみよう、そうしよう。
「色々と考えてみたのですが、不安な点もありまして……可能であれば、別部署でお手伝いできる仕事があれば嬉しいです」
事業部長との面談で、僕は恐る恐る伝えてみました。
1年もの休職明けから復帰した人間を、あっじゃあウチに来る? みたいな部署があるのか、実際問題わからない部分もあるわけで。
「そうやな。じゃあそうしようか」
ですが事業部長はアッサリと返事をくれました。
「人手の足りない部署もあるしな。時短勤務も考慮して、それでも手伝って欲しいって部署を探してみるわ」
「本当ですか……!」
いやもう本当に有難かったです!
実はこの方、僕が入社した頃から知っている方で、本当にお世話になりっぱなしで。初めてお会いした頃はまだ課長というポジションでしたが、とても頼れる人なのです。
そんな人物に(転職とかフライ・ハイも視野に入れてますが一旦は)別部署で、とお伝えするに心苦しい部分もありました。ですが、僕が優先するべきはバッド・エンドの回避なのです。そう自分に言い聞かせるようにして。
んで、しばらくすると1つの部署が声を掛けてくれました。
なんでも受注した案件がかなり大きく、猫の手も借りたい状況なのだと。時短勤務もOKだし、客先にも出なくて良い。1日中オフィスに籠って資料作りを手伝って欲しいんだ、と。
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